次に流行るお店 *バックナンバー
新鮮な魚貝類と生ワイン!
内装もユニークな魚貝専門ビストロ「貝殻荘」
(東京・神楽坂/魚貝専門ビストロ)
第303回 2010年2月9日
貝殻荘の入口(店舗は二階)。
デザインから設計・施工までを社内で全て行うのが同社の大きな強みのひとつ。今回オープンしたこの物件も老舗のキッサテンガあった場所で元々の風情をかんじさせる部分はなるべく残し新しさと上手に融合させている。
天井に渡された太い木の梁やむき出しのコンクリートの壁は以前のまま。そのふるい壁には青色や複雑な淡い色を少し重ねていて、そのなんともいえない色合いが海の感じをだしている。木製のカジュアルなテーブルと木の床。店内の随所にはユニークな小物類が配され、アンティークな金の額縁も飾られている、中に絵はない。ひと際存在感をかもし出しているのが大胆に吊るされたシャンデリア。
なんとなくベストマッチのシャンデリア。
壁に飾られた金の額縁。
これらは代表の下遠野氏を中心に社内のアイデアからうまれたもの。程よい遊び心がセンスよくインテリアに表現されている。全体感はなぜか「地中海に浮かぶ海賊船」のよう。不思議でありながら、トータルでまとまりのある心地よい空間。
店内を見下ろす数段あがった2名席。
ラタンのソファが置かれたロフトスペースも奥に広々とあって、ここは天井も開けることができあたたかい季節にはテラスとなる。
夏にはテラスで使えるロフトスペース。
料理はもちろん新鮮な魚貝がウリ。中でも「塩釜焼き」は看板メニューで一番のオススメ。調理する魚はその日の仕入れによって日替わり。じっくりと焼き上げてシンプルにいただくというスタイル。素材本来の味を堪能できる逸品。
貝類も色々揃えていて、北寄貝やミル貝などがある。牡蠣については特に様々な産地のものを数種類集めていて、生だけではなく塩辛やスモーク、グラタンやクラムチャウダーなど和洋の調理方法で楽しめる。「牡蠣の黒パエリア(1600円)」はイカ墨をつかっていて黒色で食欲をそそる。こちらも好評。
一番のオススメ!「塩釜焼き(調理する鮮魚は日替わりで時価)」。
牡蠣の黒パエリア(1600円)。
三崎から直送される鮪は様々な料理にアレンジされる。「鮪の生ハム(850円)」「鮪のトリッパの煮込み(880円)」など鮪料理の種類は豊富。
鮪のトリッパ(880円)。
カウンター席の前の鉄板で調理される鉄板焼きでは「鮪の筒切りステーキ(1200円)」が豪快に焼かれる。焼いた後の最後の仕上げは各テーブルにてお客様の目の前で行う。寒鰤を骨付きのまま焼き上げる「寒鰤の骨付きあら身の鉄板焼き(1300円)」も今の季節ならではの鉄板メニュー。
鮪の筒切りステーキ(1200円)。
メイン料理の前に前菜として人気なのがテリーヌや魚貝のマリネなど。700円台から1000円前後を中心に揃えていて注文し易く、味は本格的。「牡丹海老のカクテル(830円)」は、通常日本料理で使用する「みりん」にあたるものをワインから作ったという「ワインみりん」を味付けに使用。そうすることで、品よく洋のテイストをだしている。ウニや牡丹海老の卵があしらわれ、彩りも鮮やか。食前の一品としていただきたい。
牡丹海老のカクテル(830円)。
簡単な出来合いのものではなく手抜きのない商品を並べるのも同社のこだわり。全てが社員である料理人の手でつくりあげられたもの。オープンした後のキッチンスタッフも全員が社員だという。こだわりのメニューラインナップと現場のモチベーション維持が実現できているのはこういった同社の基本的な体勢と姿勢がベースにあるからだ。
ドリンクメニューがまた面白い。「とりあえず生」と題したメニューには生ビールではなく、生ワインが記載されている。日本でもなかなか飲めるところは少ないという生ワイン。イタリアから新鮮なまま仕入れられ提供される。(グラス550円/デキャンタ2000円) 加熱処理していないフレッシュな味わいが特徴。
「とりあえず生」のメニュー頁。
生以外のワインでボトルワインも用意があり、こちらの提供の仕方も面白い。ワインの品揃えは固定ではなく日替わり。メニューブックもない。「本日のボトルワイン」をワゴンに乗せ各テーブルにてお客様に選んでいただくというスタイル。ワイングラスはガラスが厚く、ぼてっとしたものを使用。「ビストロ」というコンセプトにあわせ気軽に飲みやすいようにそれを選んだという。貝殻模様がかわいい。
貝殻柄のワイングラス。
神楽坂通り沿いでの出店はその伝統ある街の雰囲気を守りたいという地元の町内会の働きが強い。調整も難しく時間をかけて進める部分があるという。同社も初めての神楽坂での出店、色々と話し合いを重ねオープンを迎えた。街に溶け込み、神楽坂で愛される店のひとつとして今後馴染んでいくのが楽しみだ。
【貝殻荘】
住所 | 東京都新宿区神楽坂3-2 |
電話番号 | 03-3268-1820 |
営業時間 | 火〜金 18:00〜24:00 土 11:30〜15:00、17:00〜24:00 日・祝 11:30〜15:00、17:00〜22:30 |
定休日 | 月曜 |
客席数 | 34席 |
客単価 | 5,000円 |
目標月商 | 非公開 |
開店日 | 2010年1月26日 |
経営母体 | 株式会社スパイスワークス |
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
国井 直子(くにい なおこ) 2010年2月7日取材
【関連記事】
料亭主導で若き舞妓を積極登用@神楽坂「東風吹かば 匂いおこすは 芸の花」東京の花街に吹き始めた新たな風とは?(4−4)(2009年12月14日)
ワインアウトレット「ワヰン酒場」、渋谷・恵比寿に次いで神楽坂に11/5(木)オープン。(2009年11月5日)
加賀生麩割烹とシャンパンバー「神楽坂 前田」が東京・神楽坂路地裏の隠れ家で5/14(木)開店。(2009年5月14日)
祇園のような風情が溢れる神楽坂でフレンチと和食のハイブリット・くずしフレンチ「LAROCHE KAMIKURA」(東京・神楽坂/フレンチ)(2008年4月9日)
風情ある佇まいと昭和のスローフードで、神楽坂の夜に酔いしれる「馳走 紺屋」(神楽坂/日本各地料理)(2008年8月27日)
旬の魚を串でいただく、日本初の新業態店。「魚串 さくらさく」(神楽坂/魚串専門店)(2009年6月2日)