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ホルモン焼、肉屋、持ち帰り寿司の3店舗複合業態を開発、
「内臓専門卸問屋(卸)芝浦食肉 西葛西直賣所」
(東京・西葛西/ホルモン焼)

第310回 2010年3月30日

店内には「塚田農場」のように生産者(卸)の写真。
「芝浦食肉 西葛西店」は、2月11日、東京メトロ東西線西葛西駅近くにオープンした、株式会社エー・ピーカンパニーのホルモン焼の店。同社では8店目のホルモン業態の店である。


外観。


メニューを表示した立て看板。

 しかし、この店はホルモン焼1店で営業しているわけではない。

 注目すべきは、飲食店であるホルモン焼と、物販の肉屋、持ち帰り寿司を合わせた3店舗複合店であることで、同社では「TCスタイル」と呼ぶ新業態の一角を形成している。  

 三毛作店舗TCスタイル1号店なのである。どうしてこのようなユニークな店舗ができたのだろうか。

「最初から3業態一緒にやるという発想はなかったですね。しかし、西葛西のこの物件を紹介されて、競合がないのでホルモン焼の業態をつくろうと思った時に、ホルモン焼にしてはスペースが広すぎたのです。そこで他の業態と組み合わせてはどうかとなった」と、開発の経緯を語るのは、株式会社エー・ピーカンパニー広報担当の岡田英樹氏。

 同社には宮崎県日南市の直営塚田農場で育てた、みやざき地頭鶏の炭火焼を出す「じとっこ」などの地鶏業態があるが、ちょうど隣が焼鳥屋でもあり、ホルモン業態をつくることとなった。駅のそばで、店のすぐ裏にも団地があり、サラリーマンを集客するには好立地。

 ところがホルモン焼の店にしては箱が大き過ぎる。解決策として、スペースの有効活用から発想したというわけだ。

 社内で検討してみると、ちょうど持ち帰り寿司の「十七代目紀ノ重(きのしげ)」も新しく出店する場所を探していたので、共同出店することになった。

 さらに、昼間厨房が休んでいるのはもったいないので、精肉と惣菜で活用して、肉屋として店頭で売ってはどうかというアイデアが出て、肉の物販も「芝浦食肉」の営業の一環として行うこととなった。

 3店舗が合同したメリットとして、出店と月々のコストを抑えるのに成功している。

 集客は順調だ。「芝浦食肉」のホルモン焼は、夜7時半頃には満席になり、目標を上回るペースで推移しているという。


「芝浦食肉」店内。


ホワイトボードに書かれた内臓図鑑。

 客層は20代後半から40代のビジネスマンが多く、男女比は7:3ほど。郊外でもあり早時間に老夫婦が食べに来たり、子供連れの若い夫婦が来たりといったこともある。

 肉は主に複数の仲卸から仕入れているが、仕入れ担当者がしっかりした関係を築いているので、新鮮な肉が安く手に入る。鹿児島のJAなどから直接買っている肉もある。

 人気メニューは、もつ鍋(1人前880円)で、塩味と醤油味があるが、特に塩味がお勧め。塩味のスープは宮崎地頭鶏の鶏がらを骨がなくなるまで長時間煮立てた、濃厚な白濁スープが売りである。


もつ鍋塩味 地頭鶏のこってりスープで煮込む。

 ホルモン焼(1人前580円)は、スタッフが顧客の席まで来て、四角い鉄板で調理してくれる。その間、コミュニケーションが取れるというわけだ。


調理前のホルモン焼。


ホルモン焼を調理中のスタッフ。


完成したホルモン焼。

 霜降り塩ユッケ(1,180円)は、高級店なら4,000円くらいで出すような極上の肉。肉の刺し盛り(1,480円)は、霜降り、赤身、ハツ、レバー、センマイの盛り合わせで、霜降り、赤身は鹿児島のJAから直接取り寄せている。


霜降り塩ユッケ(1,180円)。


肉の刺し盛り(1,480円)。

 そのほか、居酒屋メニュー、ご飯物、サラダなどのメニューも豊富にあり、飲むにも食事にも対応できるように構成されている。客単価は3,200円ほどである。

 肉屋は、行列ができるほどの人気で、西葛西にはスーパーはあっても、専門の肉屋があまりなかったこともあり、非常に好評という。


西葛西に肉屋がないので、販売は好調。行列が絶えない。

 惣菜の値段は、から揚げが5個105円、かきフライ1個19円など激安の目玉品もあり、主婦のハートを早くもつかんでいる。客単価は675円。


物販 惣菜コーナー。


若鶏唐揚げ5個105円。

「十七代目紀ノ重」は昨年グループ会社でもある築地仲卸の看板を使って、仲卸直営スタイルの持ち帰り寿司を展開したもので、西葛西が3店目。グルメ回転寿司レベルのおいしい持ち帰り寿司が、現状少ないことから展開を始めている。


「十七代目紀ノ重」外観。


持ち帰り寿司もプライス面ではおトクな設定

 あら汁をサービスしているのも好評で、定着をはかっている。客単価は2,000円。


サービスのあら汁。

 今後、「十七代目紀ノ重」は製造設備を持った母店を近隣地域に1店つくり、そこから複数の子店へと配送する仕組みを構築して、コスト圧縮に努めていく計画。西葛西店は母店ではなく、4月にオープンする東陽町の店舗が母店となっていく。

 いずれにしても、それぞれ個性ある3店が複合した「TCスタイル」。昼は物販、夜は飲食で、1日中賑わいをつくり出すことに成功している。

 スペースの有効活用における先進的な事例として、地域の名物店となっていく勢いだ。


【内臓専門卸問屋(卸)芝浦食肉 西葛西直賣所】
住所 東京都江戸川区西葛西5−5−16
経営母体 株式会社エー・ピーカンパニー
開店日 2010年2月11日
●ホルモン居酒屋【内臓専門(卸)芝浦食肉 西葛西店 】
電話番号 03-3686-5580
営業時間 17:00〜翌1:00
定休日 無休
客席数 83席
客単価 3,200円
目標月商 900万円
●精肉・惣菜販売【(卸)芝浦食肉 精肉部 】
電話番号 03-3686-5583
営業時間 11:00〜20:00
定休日 水曜
客単価 675円
目標月商 300万円
●持ち帰り寿司【 十七代目 紀ノ重 】
電話番号 03-3686-5582
営業時間 11:00〜20:00
定休日 無休
客単価 2,000円
目標月商 600万円
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年2月11日取材

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