サンシャインシティalpa（アルパ）１階に、神楽坂の路地裏にある隠れ家的存在の和カフェ「神楽坂 茶寮」の新業態「茶鍋カフェ・サリョウ」がオープンした。運営は文商事株式会社（本社・新宿区津久戸町）。「茶鍋」という新しいキーワードをコンセプト軸に、一人ずつで気軽にいただける鍋スタイルの食事を提案する。鍋業態だけに壁には「鍋」の蓋がインテリアとして使われている。ベージュを基調とした店内は気軽で入りやすい雰囲気。


外観。


入口・店長の寺下郁江さん。


店内・鍋蓋のインテリア。

　オーダーはまず、ご飯かうどんのチョイスから。その次に茶鍋の味を10種類から選ぶ。単品で730円の5種類と、特選茶鍋880円の5種類に分かれている。来店されるお客様の男女比は８割以上女性陣で、茶鍋の人気ランキングも「白湯つくねのコラーゲン茶鍋（730円）」が圧倒的な一番人気だという。

　全ての茶鍋のベースとなるのはさっぱりと品のよいカツオ出汁。IH調理器を5台並べ、オーダーが入ると手際よく仕上げられていく。その様子は待っている間も店内から見ることができる。「調理され終わったものを、キッチン内からお客様にお出しするのではなく、シズル感をより伝えたいと、この内装も料理も工夫しました」と広報の渡辺さとし氏。


IHで手早く調理。


オープンキッチン。

　特選茶鍋の中では「牛スジ味噌の特選茶鍋（880円）」が人気。さっぱりよりも少しボリュームがほしく、味も少しこってり濃い目のものを食べたいときは充分にその欲求を満たしてくれる。


牛スジ味噌の特選茶鍋。

　卓上には７種類の味のトッピングが常時置かれている。左から「柚子こしょう」「わさび」「らー油」「ごま」「七味」「ブラックペッパー」、奥の壺にはいったものは「冬菜」という中国の漬物。白菜のにんにく漬けで、韓国でいうキムチ的存在だという。卓上のトッピングを好みで使うことにより、最後まで、又何度リピートしても自分なりに楽しんで食べることができる。


卓上のトッピング。

　10種類の鍋は季節にあわせて定期的に、新しいものも取り入れていくという。夏に向けて「冷たい茶鍋」の開発も現在進めているというので楽しみだ。

　茶鍋メニューとあわせて「和スィーツ」も勿論充実している。「ごまの茶鍋生麩」は生麩にごまを直接練りこんでいて風味が豊か、さらに仕上げにごまをふりかけている。「きな粉の茶鍋葛餅」で使用するきなこも国産の香り高い黒洲(くろず)きな粉、スィーツの素材にもひとつずつこだわりが感じられる。盛り付けは同店のコンセプトにあわせて小さな鍋型の器を使用している。


ごまの茶鍋生麩


きな粉の茶鍋葛餅。

　その他にイートインもテイクアウトもできるカップデザートが380円で10種類ほど。今の季節にぴったりの「桜の杏仁豆腐」は春らしく、ピンク色の透明なゼリーは目にも楽しい。茶寮定番のわらび餅をあしらったカップデザートは「わらび餅と黒蜜のプリン」「小豆わらび餅」など。和のスィーツを扱う店がこの辺りにはあまりなかったので、近隣の東池袋に住む人たちに喜ばれ、買い求めに来る人も多いという。


10種類のカップデザート。

　飲み物では牛乳と豆乳をあわせて作る「ほうじ茶ラテ（320円）」がオリジナル商品で好評。豆乳をあわせることでよりまろやかさが増し、紅茶やコーヒーとはまたちがった新しい味わいで、ホッとさせてくれる。

　落ち着けるゆったりした「古さ」と「新しさ」が共存する和カフェの空間作り。そして幅広く受け入れられやすいメニューバリエーションを軸に神楽坂本店のオープン（2003年）以後、変わらない人気の「茶寮」。渋谷マークシティや軽井沢、東京ドームシティの出店を重ねブランド力をあげてきた。その実力に加えて「茶鍋」で新しい分野をこの出店により開拓した。本部スタッフだけではなく店舗の女性スタッフの意見を積極的に取り入れて開発を進めるという同社。分かり易いメニューと店舗展開も見据えたオペレーションの工夫が感じられる新業態は、今後の展開にも期待していきたい。

【茶鍋カフェ・サリョウ】

住所	東京都豊島区東池袋3−1　サンシャインシティ　アルパ1階
電話番号	03-3986-0063
営業時間	10：00〜21:00
定休日	不定休（館内予定により）
客席数	20席
客単価	850円〜
目標月商	非公開
開店日	2010年2月18日
経営母体	文商事株式会社