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北海道の空間も味もそのまま体感できる。
「椿サロン sapporo」
(東京・銀座/カフェ)

第330回 2010年8月24日

天井の高い空間に、一枚板のケヤキのテーブル。北海道の豊かさをそのままに伝えてくれる。
 東京銀座7丁目(コリドー街近く)に8月1日オープンしたのは「椿サロンsapporo」。経営は札幌に本社を置くデザイン会社の株式会社アトリエテンマ(長谷川演 社長)で外食店としては札幌市内で「椿サロン」を既に運営、東京へはこれが初出店となる。店内は、銀座にいながらにして時間の流れさえも北海道を感じられるような「料理」「サービス」「雰囲気」三拍子が揃った空間が広がっている。


「椿サロンsapporo」 外観。


カウンター席。

 通りに面した部分はオープンテラスで、ガラス戸からは店内が広々と見渡せる。中央には5mにもなる一枚板のケヤキのテーブルが配され、床にも北海道のカエデ材を使用。木のぬくもりは北海道の豊かさをそのままに伝えてくれる。店舗奥のスペースでは中央にグランドピアノが置かれ、ミニコンサートなどの開催も予定している。その壁には北海道のアーティストの作品などを展示しギャラリーとしても使うことも考えている。


グランドピアノを配した奥のスペース。

 アトリエテンマの社長であるデザイナーの長谷川演氏は札幌市内で「デザイン塾(NPO法人)」と題し「子供が色々な扉を開いていき気付きを得て欲しい」という目的のイベントを定期的(毎週火曜18:30から)に行っている。たとえば「国旗」や「水」、「着物」などを使用してインスピレーションを広げていくなど、その内容はオリジナルで個性的なもの。「銀座のこのカフェでも、この空間だからこそできる『デザイン塾』を開いていきたい」と語る。飲食はもちろん、それだけでなく北海道に関わる様々な情報提供や子供達の想像力を広げる企画など長谷川氏ならではの視点から「文化の発信」を事業コンセプトのひとつとしている。

 同店は江戸と北海道の融合も新たなデザインテーマのひとつ。着物好きな長谷川氏は自身も日常から着物を着るという。トイレの壁に使われているのは男性用が「総絞り」、女性用が「江戸小紋」の布地。眠ったままで使用されていない着物地を再利用したという。長谷川氏が住んでいた北海道札幌市の「桑園」では蚕を飼っていた歴史もあり、生まれ育った場所とのつながりを持っていたいという想いも背景にある。


女子トイレ壁面に着物地を使用。

 料理メニューはもちろん、北海道の食材を中心に構成されている。コーヒー豆は北海道石狩の「徳光珈琲」のものを使用、通常のコーヒー(600円)と並んで白樺樹液で抽出した一日限定10杯の「白樺樹液のコーヒー(1,200円)」も他では味わえない一品。コーヒーカップのデザインも目を引く。銀座オープンを機に今回新規でデザインしたという、椿のカップ&ソーサーは、椿の葉5枚の上に花が咲いている。


椿の柄のオリジナルコーヒーカップ。

 サラダは「まるごと野菜サラダ(800円)」が特にオススメ。今の季節は北海道の農業家島田氏のつくるブロッコリーを丸ごとゆで、そのままお皿に盛り付けて提供している。湯気のあがったブロッコリーの房を、お客様自身が切り分けてあたたかいうちにいただくスタイル。「野菜をいただいてる」と実感できるのが嬉しい。


まるごとブロッコリーの温かいサラダ 800円。

 札幌の「椿サロン」でも人気の一品で銀座にも登場したのが「フライパンカレー(1000円)」。辛口のカレーはフォンド・ヴォーからとったスープと北海道の野菜を特製スパイスであわせ半日がかりで作ったもの。16穀米の特大おにぎりの中には無添加の福神漬けを入れチーズをトッピング、窯で全体に焼き色をつける。このおにぎりに、お客様の目の前で熱々のカレーをかける。ボリュームもあり中からでてくる福神漬けの甘みも辛口カレーにぴったりだ。


フライパンカレー 1,000円。

「北海道ピッツア」は全て北海道食材を使用し「取り合わせを楽しむ」ことがスタイル。ニセコの「北あかり」と音更の「インカのめざめ」という2種類のジャガイモを1枚の生地に花びらのようにちらした「じゃがいもピッツア(1000円)」はピッツアの中でも特に北海道らしさを感じる。生地は北海道産小麦を天然酵母で低音長時間発酵させたもの、モチモチでサクッとした食感だ。


じゃがいもピッツア 1000円。

 デザートにもここでしか味わえない逸品、「北海道ホットケーキ」がある。「白樺樹液」と北海道産の牛乳を使用し焼き上げられたホットケーキは北海道の木の板に盛り付けられ、江戸切子のグラスには北海道バターと「銀座みつばち」の蜂蜜をブレンドしたものが入り添えられる。味も盛り付けも江戸と北海道の融合を品よく演出するというこだわり。


北海道ホットケーキ。

「どこにもないもので羽織るだけでアレンジが可能なものにしたい」と考られたオリジナルのスタッフの制服も目を引く。ナチュラルなベージュ地に木のボタンでスタッフそれぞれの品のいい着こなしと個性が光る。他にも店前にはオープンテラスの席があり、今後このスペースでマルシェ(北海道銀座夕市)の開催が予定されているなど話題は盛りだくさん。


シンプルでかわいいユニフォーム(オリジナルデザイン)。

 同店は3年間の期間限定営業。「銀座に店を開くなんて生涯でそうあることではないと思っています。銀座に出店することは世界のひとに見てもらえる機会だとも思ってます。だからこそ体全体で感じてもらえる店でありたいしアンテナショップとしての役割も果たしていきます。限られた時間だからこそ大胆に表現していきます」と長谷川氏は語った。


ライティングに北海道の牛乳瓶を各種使用。


椿サロンsapporo
住所 東京都中央区銀座7丁目2−17 旧不二家本社ビル1階
電話番号 03-6255-6767
営業時間 11:00〜23:00
定休日 無休
客席数 85席
客単価 3,500円
目標月商 非公開
開店日 2010年8月1日
経営母体 株式会社アトリエテンマ
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
国井 直子(くにい なおこ) 2010年8月13日取材

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