旨みたっぷりの体が喜ぶメニューが並ぶ。

　恵比寿の西口を出て、線路脇の坂を上ったマンションの一室。そこが、「中村玄」。住宅かと思いきや中は飲食店というギャップが面白い。


外観は普通のマンション。

　店は以前からあるが、先月業態を変えてリニューアルオープンした。経営は、有限会社イイコ。隠れ家をコンセプトに、ユニークなアイデアを取り入れた店舗「クラブ子羊」、「月世界」、「豆種菌」などを展開してきた。「中村玄」は、そんな同社の1号店「２０１号室」から続く店だ。


店内


店内

　今度のテーマは、パクチー・羊・スパイス。パクチーも羊も、好き嫌いがはっきりしている食材だが、好きな人はとことん好きというケースが多い。「好き嫌いのはっきりしたインパクトのある食材をあえてテーマにすることで、本当に好きな人にとことん味わって欲しい。」と同社代表取締役の横山氏。他とは違うコンセプトを打ち出したいという意味でのリニューアルでもあったようだ。

　お通しから、グラスに花のように活けられたパクチーが登場する。そのままタレに付けて食べてもよし、お好みで料理にプラスしてもよし。なんとお代わり自由。パクチーは滋養強壮の他、消化促進、鎮静効果、デトックス効果も高いヘルシー食材。たっぷり摂れるのは嬉しい限り。


提携している千葉の生産者から直接届くパクチー。


お通しは、パクチーと地鶏と根菜の蒸しスープ。温かいスープは食前に飲むことで、消化を助け、胃にも優しい。

　同社らしく、料理は本格的な味。オススメは、古白鶏を柔らかく蒸した「蒸し鶏の冷製　香菜ソース」（850円）、20種類以上のスパイスを混ぜたトルファンスパイスを付けて食べる「羊串」（900円）、ニンニクたっぷりの「焼き餃子」（5個600円）など。どれも、いい意味でクセのある、旨みたっぷりの料理である。旬の国産中国野菜を使った料理も多く、女性に人気だ。


「蒸し鶏の冷製　香菜ソース」（850円）


「羊串」（900円）

　ドリンクは、漢方にも使われる竜眼や棗などを漬け込んだ紹興酒（700円）や、生姜やレモンなどを漬けた薬膳酒（750円）を選びたい。どちらも自家製。店内で漬け込まれている。ほんのり甘く、非常に飲みやすい。ちなみに料理に使われる醤（ジャン）も自家製というこだわりよう。発酵食をテーマにした店を持つ同社らしく、発酵調味料をうまく中華に取り込んでいる。「時間をかけて手作りすると全然違うんです。旨みもたっぷりで。発酵食品は伝統食。伝統食をまじめにとっていれば、健康になると思います。」と横山氏。


店内で漬け込まれる紹興酒。


薬膳酒


薬膳酒は、ジンジャエールなどで割るとさらに飲みやすい。


手作りの醤は、瓶が天井から吊り下げられている。


鶏の干し肉。店内で干されている。炒め物などに使うという。

　体に良い、新鮮な素材を使った料理やドリンクの数々。食べて飲んで体が喜ぶ嬉しい店である。