・ホストクラブではテキーラボール目当てに来店する人も
ホストクラブでも「テキーラボール」を導入する店は多い。
歌舞伎町の「BOMB!」は2008年11月にオープンした店。ホストとして修業を積んだ天使由希(あまつかゆき)氏が起業した。
料金は初回3000円、セット7000円からで、歌舞伎町の中では平均よりやや安い値段設定となっている。席数は20席。
「豪華な内装と、美形なホスト、アットホームな雰囲気が売りです。質の高さでは自信がありますよ」と天使社長はアピールしている。値段が安くて質が高い、ホストクラブのニューウエーブを担う店の1つである。
年齢層は全般に高く、40代、50代も多い。夜の仕事をしている女性ばかりでなく、男性も常連客がいるのだそうだ。
「BOMB!」外観
店内。
「BOMB!」は豪華な内装でリーズナブルに酔えるホストクラブ。
「テキーラボールには根強いファンがいらっしゃって、これがあるから来るお客様もいらっしゃいます。売り上げアップに貢献してくれています」と天使社長。
「テキーラボール」は販促ツールとして有効だと、天使氏は語った。店の中での使われ方は、やはりジャンケンで負けたら食べるといった簡単なゲームが多いようだ。
ワイワイと騒ぐにも、しっとりと語るにも、「テキーラボール」はおいしくてかわいらしい感じのゼリーなので、雰囲気を高めるにはいいとのこと。男っぽいテキーラ一気飲みとは異なり、女性受けするおしゃれなイメージがある。
「お酒が入っていますから、食べれば酔いますが、テキーラを飲むよりはずっと楽です。テキーラに強いお酒のイメージがあるからと今まで避けていた方にも、喜ばれています」。
不況でホストクラブとしても、ドンペリタワーが顧客の間で競われるような派手な飲みっぷりの顧客は減っているだろう。その代わり限られた予算で、印象に残る時間を過ごしたいと思っている顧客を確実に拾っていかなくてはならない。
そういう時にまだ物珍しい「テキーラボール」は話のネタになり、顧客が再来店する動機の1つにもなっているわけだ。
3店の導入事例を取材して、バー、ガールズバー、ホストクラブと業態は違っても「テキーラボール」にお酒を飲む場を盛り上げる効果があり、女性の集客と、女性を目当てに来店する男性の集客に寄与しているのは確かだ。
この「テキーラボール」のヒットは偶然ではなく、ウィスキーを含めて大人の洋酒が復活してきているトレンドがあるように思う。こうした変化はいつ頃から起こってきたのか、次項で見ていこう。