フードリンクレポート


日本の業態を現地化させる。
〜「ペッパーランチ」、「元気寿司」のアジア出店をサポート。現地外食企業とのネットワークが強み〜(3−1)
吉本 隆彦氏 株式会社ミュープランニング&オペレーターズ 代表取締役社長

2010.3.29
中国を中心にアジアに進出する外食企業が増えている。しかし、全てが成功できる訳ではない。その中で、企画設計会社、ミュープランニングは現地の大手外食企業とのネットワークを活かして、アジアでの「ペッパーランチ」約50店、「元気寿司」約40店へ拡大の原動力となった。3回シリーズの第1回目。


吉本 隆彦氏(株式会社ミュープランニング&オペレーターズ 代表取締役社長)。

日本の業態を現地化させる

 ミュープランニングと言えば、シンガポールへの日本の外食企業の誘致活動で話題となった。最大の繁華街、オーチャード通りに昨年7月に開業した商業施設「アイオン」に「銀座梅林」「築地銀だこ」「ゴーゴーカレー」などを誘致した。

「『銀座梅林』を出店したポートジャパンさんは、アジアでトップ3に入る日本食レストラン『Takumi Tokyo』をシンガポールで運営されており、両方共に繁盛されています。『ゴーゴーカレー』は立地も良くて行列ができ、次は香港に出店されます。『銀だこ』さんは、いらっしゃいませ!の掛け声が人気で絶好調です」とミュープランニング社長、吉本氏。

 吉本氏は、日本で海外進出に意欲のある経営者を頻繁に海外視察に誘っている。シンガポールへの誘致にしても、現地に何度も渡航させている。それが成功の秘訣だと言う。

「本気でこういうところでやろうと思ってくれないと成功できません。市場を見れば、どこのエリアに合っていて、どんな消費者にウケて、どれくらいの価格帯で、どういうオペレーションしたらできるか、外食のプロは分かります。そして、現地に友人がいるという環境を作らないとダメ。私は日本の会社を連れていったら、現地の友達を作ってあげています。私がいなくても、気軽に話ができるような信頼関係を作ってあげたい。」

 ミュープランニングの得意は、日本の業態を現地化させること。

「アジアに出したい企業は多いです。ウチが総代理店を担当している日本の外食企業は6社。それらの業態をアジアでFC展開したいという現地企業を探すのが仕事です。FCとしてパッケージ化するのが難しい。加盟金は国ごとに物価が違うので、変えなければいけない。例えばうどん店なら、出汁は日本で作るのか。水のPHが国によって異なるので、まずは各国の水のサンプルを集めなければいけない。うどんの小麦粉はどこで調達して、各国への配送はどうするのか。製麺機はどこの国が輸入できるのか、など。やりたい、じゃやろうかとなっても機械が輸入できないと終わっちゃう。再現可能性が大事です。」

「そして、何が売り物か、真似ができないところかを現地の方々と話し合って作戦を立てます。そんなこんなで、FCパッケージが売り物になるまで半年はかかりますね。」


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき)  2010年2月8日取材