フードリンクレポート


恵比寿では「グローバル」に行く?
〜若者は今なぜ「グローバルダイニング」に行かないか?居酒屋化する恵比寿「ZEST」、トレンドを制したブランドの今〜(6−5)

2010.6.22
「権八」「ZEST(ゼスト)」「モンスーンカフェ」「ラ・ボエム」などの有名店を運営するのは言わずと知れたグローバルダイニング(本社:東京都港区南青山)。その店舗名は今の20-30代の若者でも一度は聞いたことあるであろう。先日恵比寿のゼストに行った際、サラリーマンが多く新橋の居酒屋に近い雰囲気さえ感じ驚いた。トレンドを制し「お洒落な店」の代名詞であったグローバルダイニングの店舗。今なぜ若者はグローバルダイニングに行かないか、その背景に迫る。6回シリーズの第5回目。レポートは国井直子。


「ゼスト」 恵比寿店。

恵比寿では「グローバル」に行く?

 又グローバルの店が何店舗か存在する恵比寿という立地に関して限定でインタビューを行った。恵比寿は外食業界内でこそニューオープンも多く話題のあるエリアだが、一般ユーザーからすればメトロが日比谷線1本とJRが山手線のみという点で決して利便性が特に高いわけでない。でも新宿、渋谷、銀座、丸の内とはちがう。渋谷や新宿に比べてお洒落で、時々飲み会をする合コン需要としてのイメージが持たれている。(三宿や代官山では特別すぎるので対象としなかった)

 インタビューの結果「ゼスト」も「モンスーンカフェ」も知ってはいるが、「行かない」「行った事がない」という人が多かった。駅から遠いからなどの理由でもなく特に店選びの候補としたこともないという。ただ知ってはいるという。逆に「では行ったことのある店は?具体的に」という質問にほぼ100%共通であがってきたのが「蟻月」であった。口コミはすごい。

 デートでもクーポン券は堂々と出す、一人でいるよりは仲間との安く飲める飲みの席にはなるべく参加はしていたいというのが大方の若者の心理実態で、総合的には非常に現実的思考である。そして賑わい感があり声の響く内装も個室をキーに店選びをすすめる若者からは比較的遠い存在なのかもしれない。

 グローバルダイニングを知る世代と行った事がないという若い世代が混ざって飲みに行く「機会」そのものが、減っている側面も否めない。「セクハラ」「パワハラ」という言葉の横行もあった。上司と部下の関係で飲みに行くケースがあったとしても会社の近くで「ちょい呑み」の時代。飲むシチュエーションであったとしても、わざわざ駅から遠い店を選ぶことや更には駅を変えて飲むことはほとんどない。

【取材・執筆】  国井 直子 (くにい なおこ) 2010年6月12日取材