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ここは三次元の漫画。
アートとして漫画を表現した「CAFE ZENON」
(東京・吉祥寺/カフェ)
第295回 2009年12月8日
外観。
「設計デザイン」「フードメニュー開発」「オペレーションサポート」を担当したのはカフェを通してコミュニティー文化を発信し続けるカフェ・カンパニー株式会社(代表取締役社長・楠本修二郎/本社・東京都渋谷区)。運営は様々な漫画コンテンツの制作・版権管理を行う株式会社ノース・スターズ・ピクチャーズ(代表取締役社長・堀江信彦/本社・東京都武蔵野市)でトータルプロデュースは週刊「コミックバンチ」の編集をはじめ、コンテンツビジネスを展開する株式会社コアミックスとなっている。
スタッフの集合写真(中央向かって左が堀江社長、右が楠本社長)。
カフェ・カンパニーの楠本社長は今回の出店について「想いやイメージを強く持たれた事業主さんがいてこそ私達はこういった新しいカフェスタイルの発信に携る機会に恵まれるのです。漫画に興味のある人も勿論だが、そうでない方にもいらしていただきくつろいでもらいたい」と語る。「漫画」とは元々「気ままに書く」という意味を持つ。「漫画」と「カフェ」と「アート」をクロスミックスさせた同店はカフェが元々有する日常のゆるい空気感をベースにここならではのスタイルで漫画を風景のひとつとして店内の随所に描いている。又吉祥寺という場所は漫画家が多く暮らす場所としても知られる。ここでの出店は「つくり手」の街であることに加え、普段感じることのなかった新しい漫画の魅力を再発見してほしいという願いがある。”アキバ”にイメージされる漫画=オタクという風潮とは一線を画し、街に馴染んだ温かさやアート性で深化した漫画文化の提案を実現した。新しいクリエイター達の作品も店内に飾られる。
日本ポップキャラクター界のパイオニアであるデビルロボッツ氏によるロゴや小物デザイン。
デザイン集団ライトニングボルトによる巨大グラフィックアート(漫画のコマ割りをデザインに使用、店内の黒い柱に描かれる)。
シャンデリアクリエーター キムソン氏による照明。
席数は105席でその内1階にテラス席が20席と、吹き抜けのロフト席が24席。更に1階は
フロアに段差をつけることで奥行きと広がりを見せている。一階の右奥、一段あがった小さなスペースはクリエイターたちが構想を練る場所というコンセプト。壁の本棚にはデザインやアート本が立てかけられ部屋のような一区画はその場の空気感を再現している。
1階奥の、一段上がったスペース。クリエイターたちが構想を練るというコンセプトの区画。
ロフト席にある日本画家である西のぼる氏の金屏風。奥の壁には現代アーティストである井上隆保氏による絵画。
ロフト席から見下ろした1階空間。
1階のソファー席。壁の絵の中で空を飛ぶ紙飛行機の紙柄は有名な漫画のある頁のコマ割りと吹き出しがモチーフとなって描かれている。
入口右サイドには様々なアーティスト達の作品と展示販売する木製のレンタルボックスもある。
アーティスト達の作品と展示販売する木製のレンタルボックス。
一方で料理は「世界の食文化が入り混じる日本の食卓に並ぶ“いつも”のメニュー」というコンセプト。野菜は街に恵みを届ける武蔵野野菜を使用し、普段の食卓にあるようなメニューをおもてなしの気持ちを添え「楽しさ」「気軽さ」を演出。ランチのメニューは780円から。ランチプレートやパスタなどから丼ものまで5種類ほどが用意されている。ディナーのアラカルトでは、最初の軽いメニューが「おばんざい」として表記されちょっとしたつまみにもなる。「じゃこ&オニスラ(たっぷりのちりめんじゃことオニオンスライス)や「オバ“Q”リ(大葉風味のたたききゅうり」など380円から。その他に夕飯としてしっかり食べられるメニューもあり、熱々の鉄板に盛られた「自家製手こねハンバーグwith目玉焼き(980円)」やハッシュドビーフ・ライス・パスタ・海老天・キャベツなどがワンプレートに盛合せられた「吉祥寺ライス〜GEORGE’S COMBO!!〜(1,280円)」など。幅広い利用シーンにあわせて工夫されたラインナップ。
吉祥寺ライス〜GEORGE’S COMBO!!〜(1,280円)
飲み物も充実、かわいいラテアートは毎回変化があって楽しさを添える。コーヒー豆はシアトルでイタリア系アメリカ人が厳選した生豆をオリジナル焙煎機にて焙煎。シークレットレシピでブレンドされるイタリア伝統の味のこだわりエスプレッソも必見。もうひとつのウリである「ティーエスプレッソ」はエスプレッソマシンで茶葉を加圧抽出する紅茶のエスプレッソ。 更にお茶とあわせていただきたいのは店内で焼かれる出来立てのワッフル。
ラテアート。
ワッフル。
アルコール類は生ビール(ハートランド)やグラスワイン(赤・白)が共に500円から。又ワインやシャンパンのボトルも用意があり2,500円からとなっている。カクテル、梅酒等も各種用意がある。「吉南横丁」と題したハイボールやサワーのメニューラインナップは、横丁の風景のように、店舗のある「吉祥寺南町エリア」でも気軽に集まってワイワイ呑んでもらいたい、というコンセプト。ハイボール550円や各種サワー500円からなど。焼酎ではオリジナルとして珈琲焼酎、紅茶焼酎がある。京都の老舗酒造、北川本家と同店のコラボレーションにより開発されたもの。厳選された豆と茶葉を使用してふんわり香りのあるやさしい味わいで各500円。プラス100円でミルク割りのアレンジも美味しく女性におすすめだ。
今まで平面で表現されてきた漫画を、3次元の世界に作りこんだという新空間のカフェは新しさもあって楽しめる上、料理や飲み物にも手抜きがない。漫画喫茶とは全く違う漫画文化を感じられ、日常遣いができるカフェだ。
【CAFE ZENON (カフェ ゼノン)】
住所 | 東京都武蔵野市吉祥寺2-11-3 |
電話番号 | 0422-29-0711 |
営業時間 | 11:00〜翌1:00 |
定休日 | 無休 |
客席数 | 105席 |
客単価 | ランチ1,000円、ディナー2,500円 |
目標月商 | 非公開 |
開店日 | 2009年11月11日 |
経営母体 | 株式会社ノース・スターズ・ピクチャーズ |
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
国井 直子(くにい なおこ) 2009年11月9日取材
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