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産直比内地鶏と泥つき農園野菜を味わう店
「焼鳥 串焼 どろまみれ」
(東京・四谷三丁目/焼鳥)

第338回 2010年10月19日

石井店長の実家、埼玉・入間の農園直送の泥つき野菜。
 9月23日、東京メトロ・四谷三丁目駅と都営地下鉄・曙町駅から徒歩4分ほどの外苑東通り沿いにオープンした「焼鳥 串焼 どろまみれ」は、比内地鶏の焼鳥と農家直送の野菜を味わう店。


看板。階段を昇って2階が店舗。

 比内地鶏は、秋田県の産地より1羽丸鶏のまま送られてきたものをさばいており、同店を経営する礒部剛宏代表が「旨味が舌に残る一番おいしい焼鳥と自負している」と豪語する自信のメニュー。

 値段も220〜390円と抑え目で、比内地鶏の店としてはコストパフォーマンスが高い。

 お勧めの料理では「キモレア」(580円)は、鶏の肝をニンニク入りの胡麻油に漬け込んだ後、軽く表面だけを焼き色を付けて出す。フォアグラのような風味がある。

 また、「鳥わさ刺し」、「鳥レバ刺し」(共に780円)など刺身はプリンプリンの新鮮な状態で、毎日提供している。


鳥わさ刺し 780円。

 焼鳥を食べる前のアテとして、「チーズの味噌漬け」(650円)は、クリームチーズを西京味噌で10日間漬け込んだ料理で、ヘルシーでお酒が進む。

 比内地鶏と並んで「どろまみれ」の2枚看板である農園野菜は、石井和紀店長の実家である埼玉県入間市、石井農園で採れた新鮮な野菜を直送している。

 石井農園では約1000坪の畑で常時20〜30種類の野菜をつくっており、たとえば大根やトマトでも普段店頭であまり見かけない希少な品種を含め何種類も栽培している。

「大根だけでも8〜10種類を育てています。色も白ばかりでなくて、赤いのや黒いのも。味も辛味が強いものから甘味があるものまで、スーパーでは並ばない大根もあります」と父と共に農作業にも携わる石井店長。

「畑は土づくりが大事ですが、鶏卵で農林水産省から賞をもらっている農家の鶏糞で堆肥をつくっています。水は地下水を引っ張ってきています。有機肥料を使い、夏は減農薬、冬は無農薬で栽培していますが、特に認定の申請をしていません。家庭では食べられない葉野菜の鮮度の良さ、その野菜に合った食べ方を楽しんでもらいたいです」。

 同じ品種の野菜でも、気温、降雨量、日照時間など気象条件によって野菜の味は変わる。そこで野菜の状態によって、提供方法を自在に変えていく。農家ならではの知恵だ。

 店のカウンターでは日持ちがする根菜が泥付きでディスプレイされているが、葉野菜も泥付きで店に送られる。普通、野菜を洗って出荷するのは、農薬を落とす意味合いがある。泥付き野菜を出荷できるということは、安全・安心な野菜をつくっている証しだ。


カウンターでは日持ちがする根菜が泥付きでディスプレイ。


店内。


厨房内にも席が設けてある。


レジ付近のお酒のディスプレイ。

 入間市は狭山茶の産地であり、「どろまみれ」では石井店長の知人の農家がつくった風味豊かな緑茶が飲めるのも嬉しい。

 石井農園の新鮮な野菜を味わうなら、ボリュームたっぷりの「採れたて生野菜盛り」(750円)がおすすめ。茨城の田舎味噌と、スタッフの鹿児島に住むおばあちゃん手製の味噌、2種類の味噌でシンプルに食する。


採れたて生野菜盛り 750円。

「草鍋」(1人前980円より)は、小松菜、チンゲン菜、シャブシャブ菜、空心菜、白菜などの山盛りになった葉野菜を比内地鶏の鶏がらスープと鰹ダシに浸し、ニンニクとコショウのきいた塩ダレで食べるヘルシーな鍋。


草鍋。やまと豚スライスをお好みで付けられる。

 お好みで「やまと豚スライス」(600円)を付けることができ、シメは中華麺を入れて塩ラーメンにする。

 また「丸鍋」(1580円)は、比内地鶏のひな鳥1羽と玉ネギ3〜4個を圧力鍋にかけて、とろとろになった状態のスープで食べる鶏の鍋で、ブツ切りのひな鳥が美味。シメはうどんを入れると良い。

 お酒は、ビールは「ザ・プレミアムモルツ」(580円)を提供。日本酒、本格焼酎を中心に揃えている。

 オープンキッチンの内装になっているが、キッチン内にも1卓金属製のテーブル席があって、シェフと至近な距離で、シズル感が味わえるのがサプライズ。特別な料金を取っているわけではないが、面白いアイデアだ。

 礒部代表は、サントリーの創作和食「響」の出身。石井店長とは「響」の時の上司と部下の間柄。「響」で店長を経験した後、5年ほど前に世田谷・池ノ上の焼鳥・草鍋「鳥山居」に移り、約2年間焼鳥の修業。そして半年ほど溜池山王の焼鳥とワインの店「赤坂 とさか」、さらには1年2ヶ月の間出資を受けて、赤坂の「炬屋(かがりや)」という焼鳥と魚料理の店を実質的に経営していた。


礒部代表(右)と石井店長(左)。二人三脚で運営している。

 焼鳥とマネージメントの勉強を積んで、「かがりや」をスタッフに引継ぎ、このたび独立を果たした。

 四谷三丁目に出店したのは新宿から近くて気軽に飲みに行ける場所で、家賃との兼ね合いで探したとのこと。新宿の「響」で店長の経験もあり、土地になじみがあった。

「自分の好きな料理はわかりやすくて素直でおいしい、妥協しない料理。自分が食べ歩きたい店を形にしました。繁盛店にしてみせます」と礒部代表は力強く宣言した。

 少し駅から離れてはいるが決して遠くない立地も、都会の隠れ家的で面白い。今のところ知人や近所の人が来ている状況だが、料理の評判は上々。リピーターが付きつつある。 

 地鶏と野菜をメインにした、ヘルシーで食の安全・安心を考えた店であり、盛り付けのセンスも良い。女性、中高年から受けそうで、今後の発展が期待できる有望店だ。


焼鳥 串焼 どろまみれ】
住所 東京都新宿区荒木町20 ヤカタビル2F
電話番号 03-6380-1197
営業時間 月〜金 18:00〜翌3:00(L.O.1:00)
土・祝 17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日 日曜
客席数 18席
客単価 4,000円
目標月商 非公開
開店日 2010年9月23日
経営母体 礒部剛宏
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年10月6日取材

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