フードリンクレポート
第5回HBAジュニアカクテルコンペティション・キリンカップ&カクテルフェスティバル2009が日本のバー発祥の地・横浜で開催。
出場者。
・若きバーテンダーの戦い
今回で5回目になる同コンペティションは、2年に1度開催されている。今年は開港150周年を迎えた「日本のバー発祥の地」横浜に、全国から出場の栄誉を勝ち取ったバーテンダーが集結した。出場資格として29歳以下という年齢制限を設けており、若い世代のバーテンダーが、「おいしさを笑顔に」のテーマの元、それぞれの感性を活かしオリジナルカクテルを考案し、技術・創作性を競い合った。
ショート4分、ロング6分と設けられた制限時間内に自らの技量を披露し、オリジナルカクテルをその場で完成させる
ショートカクテル部門、ロングカクテル部門の2部門があり、それぞれ16名ずつ、計32名の若きバーテンダーが、会場に用意されたテーブル上でスポットライトを浴びながら、リズミカルにシェイカーを振る。技術の完成度は勿論のこと、カクテルのネーミング、また、実技をあえて見ずにブラインド審査によって味覚や香りも審査され、ショート、ロング部門それぞれで優勝者を決定する。
・カクテルフェスティバルのブースも大賑わい
キリンビールのブースも試飲する来場者で大盛況。
会場横の広間では、キリングループの商品が勢揃いしたブースが設けられ、審査や次の選手のテーブルセッティングの合間などに大いに賑わった。当日は500名以上の来場者があり、プログラムと共にエントリーされたカクテルのレシピ表も用意されていたため、気になるリキュールの試飲を求める列が途切れなかった。
また、HBAのバーテンダーによる、「バーテンダー体験コーナー」も用意され、シェイカーを触るのが始めてといった来場者にプロによるレクチャーが楽しく行われていた。若手バーテンダーの育成とブランド認知によって市場の活性化を図る、というHBAとキリンビールの構想がそのままブースで体現されているようだった。
バーテンダー体験コーナー。中にはプロも驚くほど軽やかにシェイカーを振る人も。
実技が終わった順に、色とりどりの競技カクテルが次々とブース脇に展示されていく。
競技カクテルのほぼ半数で使用された、レッドカシスリキュール「ラ・デュセス」。そのボトルカラーが実技のテーブル上でも映え、女性の一般来場者の人気が集中していた。
・選手の技術を間近で見ながら、おいしいお酒と順位予想を
コンペティションが終わると、成績発表の前にカクテルパーティーが催された。ビュッフェスタイルで楽しむ料理とお酒のおいしさが、来場者の笑顔を呼ぶ。もっとも来場者の興味を引いたのは、競技を終えた選手による競技カクテル試飲ではないだろうか。
選手による競技カクテル試作。ステージでの実演よりも、更に間近で選手の技術を見る事が出来る。
その後、成績発表が行われ、ショートカクテル部門優勝者は、「BAR ORCHARD GINZA」の山本浩貴(ヤマモト ヒロタカ)さん、ロングカクテル部門優勝者は京王プラザホテルの岡村朗(オカムラ アキラ)さんに決定した。
左からロング部門優勝者 岡村朗さん・HBA会長 渡邉一也氏・ショート部門優勝者 山本浩貴さん。
ショート部門優勝の山本さんのカクテル「美来(ミライ) Smile Future」。永昌源 リンチンチュウ(アップル)・キューゼニア トリプルセック(オレンジ)・フレッシュ ユズ ジュースにユズピールをデコレーション。笑顔溢れる未来を願って創作。
(中央)ロング部門優勝の岡村さんのカクテル「Precious Smile(プレシャススマイル)〜笑顔という名の宝物〜」。ラ・デュセス(レッドカシス)・タンカレーナンバーテン(ジン)・永昌源ランメイチュウ(ブルーベリー)・フレッシュグレープグレープフルーツ・アマレットシロップを使用。添えるオレンジピールにはチョコレートで笑顔をイラスト。
・まず楽しんでもらうことで認知を高め、市場を盛り上げる
HBAでは、本格バーのあり方や、カクテルを中心とした飲料文化の発展・育成に努めている。各種の資格認定も行っており、技量に関する資格だけではなく、ビバレッジアドバイザー・カクテルアドバイザーといった資格を、実務経験の無い人でも取得することが出来る。
http://www.hotel-barmen-hba.or.jp/index.html
また、キリングループでは、キリンビバレッジグループである小岩井乳業社の牛乳、キリン・トロピカーナ社の「トロピカーナ100%ジュース」など、キリングループの商品だけで様々なカクテルに順応可能な環境を整えてきている。バーテンダーの創作意欲をよりかき立てることだろう。
お酒の楽しさを知ってもらい、その時感じたお酒のおいしさを笑顔に、さらには元気につなげていくことで市場が盛り上がっていくことをHBA・キリンビールは望んでいる。
今回、展示ブースに商売っ気をほとんど感じなかった事も面白い特徴であった。試飲を勧める女性スタッフだけでなく、各ブランドの担当者も皆、笑顔で試飲をまず勧めている。選手の関係者も大勢おり、知識のある来場者が多かったこともあるが、それにしてもパンフレットなどは少ないといった印象だった。
来場者は皆、楽しげに色々な商品を試飲したり、恐る恐るシェイカーを手にしてプロのレクチャーを受ける。そこで見られた来場者の笑顔は、まさに「おいしさを笑顔に」というテーマに沿った、お酒の楽しさ・おいしさから現れてくるものであった。