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フードリンクレポート


シーバスリーガルはウイスキーにこだわる。
「シーバス・ポップ」で若者を狙う。

2010.1.28
ハイボールブームでウイスキー復権の声があちこちから聞こえてくる。ペルノ・リカール・ジャパン(PRJ)がスコッチ「シーバスリーガル」の輸入販売を昨年10月にキリンビールから引き継いだ。スコッチ12年クラスでシェア1位のウイスキーだ。


若者向けのバーやクラブでプロモーションを展開。

ウイスキーはミステリアスでカッコイイ

シーバスリーガル12年

 シーバスリーガルを製造するシーバスブラザース社の元は1801年創業の高級食料品店。ウイスキーのブレンドを行うため店内のセラーでウイスキー樽を熟成させていた。個性的なモルトウイスキーを柔らかなグレーンウイスキーとブレンドさせたブレンデッド・スコッチウイスキーを1850年代に完成させた。シーバスリーガルの誕生だ。そして米国での大成功、第一次大戦と禁酒法時代を経て、ラグジュアリー・ウイスキーとして世界中で絶賛されるようになった。


シーバスブラザーズの元となる、高級食料品店。


店内のセラーでウイスキー樽を熟成。


当時のウイスキー樽を馬で搬送する様子。

 英スコットランドのストラスアイラ蒸留所を初めとするスペイサイド産のモルトウイスキーがシーバスリーガルのブレンドの中核として使われている。

 日本では、1980年代まではホステスクラブ等の“TOT(トラディショナル・オントレード)”と呼ばれるボトルキープアイテムとして大きな市場を構成してきた。シーバスリーガルもその中心的ブランドとして広く親しまれてきた。今もシーバスリーガルの販売量に占めるTOT市場のシェアは高い。

 いわゆる「バブルエコノミーの崩壊」以後、接待需要の縮小やワイン、焼酎を頂点とした急速な酒類消費の多様化により、ウイスキー市場は衰退を続けた。そのような環境の下ウイスキーが長い間守り続けた「大人の男のステイタス・シンボル」的存在感と、その次世代への継承は縮小してしまったようだ。

 現在の20代から30代の前半の男性で、スコッチのブランドを言い当てるものは当然少なくなってしまったが、昨年のハイボールブームにより、若者の間でウイスキーが「今時」「旬」のお酒に変化しつつある。

「消費者と同じように、バーテンダーの方々も20代、30代の多くの方がスコッチウイスキーの活き活きとした時代を体感していないため、あらためてその商品特性や本格的なクオリティーの高さに興味を感じてきています。老化している(ように見えた)カテゴリーに一旦成り下がったスコッチからの「新しい息吹」を敏感に感じ取って、今時というより、むしろ不変のスコッチのクオリティーに対して自然発生的に生まれた興味と言えるかと思います。特にシーバスリーガルというグローバルブランドへの関心は高いと感じています。若いバーテンダーが1日のピリオドを打って心を休めるお酒として、カクテルではなくシーバスのオン・ザ・ロックをお客様に勧める時代が再開するようにも期待しています。」とPRJでマーケティングを担当する渡辺一人氏(マーケティング部 マーケティングマネージャー)は語る。

「ハイボール人気で、若者はウイスキーを意識しています。先日も電車で大学生が合コンでウイスキーを飲んだと話していました。ウイスキーという言葉が、“古いもの”という意識から、時代とセンスが一巡して、ミステリアスでカッコイイお酒に変化し始めていると実感しています」と渡辺氏。


蜂蜜の香りを引き出す「シーバス・ポップ」

「シーバスは最低12年スコットランドで熟成を経ているもの。本来のアロマとテイストは消費者に余すことなく楽しんでいただきたいという親心みたいなものはありますが、若いウイスキー・ビギナーのことを考えますと、慣れ親しんでいくための最初のステップとして「飲み方提案」を行なうことにもチャレンジしていきます。スコットランド人には理解できないかも知れませんが日本人にとってのアルコール40度を、ある程度「飲み頃」度数までもっていくのも1つの大事な処方箋だと思います。シーバスのブランドらしさを失わずに、アロマとテイストを楽しんでもらうことを前提とした「飲み方」を伝えていきたいと考えています。」と、PRJは、若者に向けて4種の飲み方提案を始めている。

  
① シーバス・クラシック
 最も由緒正しいシーバスリーガルの飲み方。大きな氷が溶けるにつれ、ハーブ、蜂蜜、果実の香りがゆっくり優雅に立ち上がる。口に含めば、バニラやヘーゼルナッツのフレーバーが現れ、幾重にも溶け合って広がる、贅沢でまろやかな味わい。


  
② シーバス・ポップ
 シーバスリーガルの持つ蜂蜜香をより魅力的に引き出すカクテル。ソーダの弾ける泡と、レモンピールのほのかな香りが、甘いアロマを際立たせます。炭酸の刺激にも失われない、スムースでリッチな味わい。


  
③ シーバス・アップル
 完熟リンゴのアロマとアップルジュースがグラスの中で共鳴する初めての味わい。優しく、甘く、豊かで、なめらかなハーモニーは、女性におすすめ。


  
④ シーバス・ミント
 ミント香などのスパイシーなハーブのアロマと、バニラの甘いフレーバーを引き出したカクテル。スタイリッシュで新しいシーバスリーガルが体験できる。

 中でもお勧めは、アルコール度数も程良い「シーバス・ポップ」。人気のハイボールの一種だが、レモンピールをひとかけらグラスに落とす。シーバスリーガル特有の蜂蜜香を立たせるためのソーダ。そして、鼻で香りをより感じてもらうために、レモンピールを搾らず落として香りを強調する。レモンを搾っては味が中和してウイスキーらしさが無くなるという。

 この「シーバス・ポップ」、若者向けのお店でもイベントやキャンペーンを展開していくとのことだが、以前からの愛好者が多い社交業態でも広めようとしている。ウイスキー未経験の若者と、ウイスキーを懐かしむ中高年の双方に刺激を与えそうだ。


若者にトライアルを促進する。


→「シーバスリーガル


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年1月7日執筆


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