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フードリンクレポート


利益還元主義のエムグラント、
最初の一杯、「麦とホップ」で出卓率15%アップ!

2010.4.16
ロードサイドのハイエナこと井戸実社長の率いる株式会社エムグラントフードサービスは現在72店舗42億円(2010年3月4日現在)を売上げ、2011年3月期180店舗以上、年商100億円以上を目指す。主力業態の「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」では2月から新しい取り組みとして直営店において新ジャンル(いわゆる第3のビール)の「麦とホップ(サッポロビール株式会社)」の導入を開始した。3月1日からはFCを含む全店でこれをスタートさせる。


「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」で「麦とホップ」を導入。

2月から生ビールを「麦とホップ」に変更

 全店のメニュー企画・構成を手掛けるエムグラントきっての手腕である役員の中村嘉利氏に今回のメニュー変更の背景について伺った。

 メニュー変更前、生ビールの価格は「小ジョッキ399円(240ml)」「中ジョッキ504円(400ml)」「大ジョッキ609円(800ml)」。「麦とホップ」へ変更すると同時に大ジョッキをメニューから外し、価格は小ジョッキ190円、中ジョッキ290円で設定した。大ジョッキを敢えて外すことは、「安い」という第一印象を強くさせる。更にお客様が「繰り返して注文し易い」という点でメリットが大きい。同2品は「常にイベント商品」ともいえる扱いで、この切替えにより先に始めた直営店では生ビールだった時よりも出卓率が15%増という結果となった。


「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」。

 話題になったのはイタリアンのファミリーレストラン「サイゼリア」。○99円(下二桁99円)という値付けはサイゼリアの特徴的な戦略のひとつである。同じように「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」の看板をみたら「最初の一杯が190円!」という風に必ずそれが思い浮かぶくらいまでイメージ訴求していければいい」と同社はその狙いを語る。

 肉料理をメインディッシュ扱う業態なので、元々ワインやビールがよく合う。その大前提の中で「麦とホップ」を、顧客満足度を下げずにリーズナブルな価格で提供できることは業態力を更に高める大きな利点となった。「麦とホップ」の味について「第3のビールと言われなければ分からない人もいるほど美味しいと思う」と社内での評価も上々。商品そのものが持つ実力が今回の切り替えに踏み切った大きな要因のひとつである。「安くても美味しいと感じていただけなければ何の意味もない」とは言うまでもない。

第3のビールはどんなお店に置いて欲しい?

「麦とホップ」の販売元であるサッポロビール株式会社実施のアンケートではこんなデータもある。

【以下、文中で記載する調査結果についての調査概要】
・実査時期2010年2月17-18日
・飲食店で「麦とホップ」を提供されたことがある人200名とそれ以外の200名の合計400名。
・20代〜50代男女半数ずつ
・居住エリアは全国

 一般的にビールや発泡酒よりも安い“新ジャンル(いわゆる第3のビール)”が飲食店で提供されるとしたらどんなお店にふさわしいと思うかという質問について、ヒアリングし対象の69.5%が「ふさわしい」と答えたのが「ファミリーレストラン」でトップ。それに続き「定食屋」や「全国チェーン系の居酒屋」などでの提供が望まれているようだ。

 又価格については「価格」という要素が判断基準にはいってくるとビールへのこだわりが一気に下がる結果となった。価格を意識することで「やっぱりビールがいい」「どちらかといえばビールがいい」と言っていた5割近くの人が3割前後に減少、新ジャンル派が半数近くに増加した。

質問:「ビール」と「新ジャンル(いわゆる第3のビール)」、(銘柄を問わず)全体的に味の違いについてはどのように感じますか?


質問:価格の違いについてどのように感じますか?



他のチェーン店ではできないスタイル追求

 お客様はお店を選ぶ際「安くて美味しいもの」を求めていて、決して生ビールが飲みいという動機で来店する人はいないと中村氏はあらためて言う。考え方は実にシンプルで「旨くて、安ければ喜んでいただける」ということ。それをびっくりするような形で、エムグラントでしかありえないスタイルで実現できている状態を目指す。

 原価は創業当時から高めの設定で、スリム化し35%、32%・・とすることは可能で、その方が儲かるわけだが敢えてしないという。38%のラインは割らないようなメニュー内容を維持している。「利益はお客様へ還元」という創業時からの理念は今もこれからも変わらない。


【取材・執筆】  国井 直子(くにい なおこ) 2010年4月7日執筆


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