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【酒類大手4社の2011年】
「麦芽100%&一番搾り製法」の「キリン一番搾り生ビール」や、ハイボールを中心に総合提案。
グループ企業メルシャン社との連携も更に強化。
キリンビール株式会社

2011.2.23
酒類大手4社に今年の業務用戦略を聞く恒例の特集。キリンビールは、2010年10月にビールの本場ドイツでも製造が始まった「一番搾り」が好評だ。(ドイツ製造の「KIRIN ICHIBAN」は欧州のみでの展開)また、「富士山麓」、「ジョニーウォーカー」、「フォアローゼズ」等のウイスキーと共に、「杏露酒」や梅酒などを活用したフルーツハイボール等、キリンビールならではの多彩なハイボール提案活動をしていく。もちろん、先行するノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリンフリー」も着実に扱い店を増やし続けている。同社、阿久津勝己氏(営業本部 営業部 営業企画担当 主査)に聞いた。


「キリンフリー」ポスター

・「キリン一番搾り生ビール」で新規店1.2倍に。

「キリン一番搾り生ビール」のウリは「麦芽100%」と「一番搾り製法」。その製法は、麦汁ろ過の工程で最初に流れ出る一番搾り麦汁だけを使ってビールを作る、特別な作り方。麦芽100%のおいしさをさらに引き出し、味わいはすっきりしているのにうまみも充分。

「一昨年リニューアルした味わいに、非常に高い評価をいただいています」と阿久津氏。新規扱い店舗数が昨年は前年の約1.2倍に増えた。ハイボールブームなどで業務用ビール市場は厳しい中、外食からの支持を得ている。来店客にもそのおいしさを知ってもらおうと、店内外でのブランド露出に力を入れている。

「チェーン店だけではなく、個店も含めて店内外で「キリン一番搾り生ビール」のブランド掲出を強化したい。メニュー表でもブランド名の表記をお願いしています。お客様もちゃんとしたビールをお店で飲みたい。何を売っているか明確にしようという意識が飲食店様の間でも高まっています」と阿久津氏。

 さらに、お客様の口元まで「麦芽100%&一番搾り製法」生ビールの良さが伝わるよう品質訴求も続ける。「本当に美味しい生ビール」をお客様へご提供していただく為に、飲食店様まで赴いての研修(ドラフトマスターズスクール)も継続実施する。

 また、キリンは他にも強力なブランドの樽生ビールを扱っている。低価格の樽生として人気の「麒麟淡麗<生>」(発泡酒)、プレミアムビール「キリンブラウマイスター」、17年間毎年売上数量を更新し続けている「ハートランド」。さらには世界のトップブランドであり、スポーツバーの定番「バドワイザー」、エクストラコールドの先駆者「ハイネケン」、アイリッシュパブを日本に広めた「ギネス」も扱う。

・多彩なハイボール、「キリンフリー」、メルシャンワインと総合提案。

 キリンは外食に対しビールだけにとどまらない総合提案を仕掛けている。その目玉が、ハイボールとカクテル。

「ハイボールは自由な発想で、いろんなお酒をベースに炭酸で割ったものと大きく捉えています。『杏露酒』などの永昌源商品や、梅酒、「オリジナルピーチツリー」をベースにしたフルーツハイボール、ワイン、焼酎、紹興酒ベースも昨年から提案しています。ウイスキーだけじゃなく、様々なハイボールが出来ます。バリエーションを広げましょう」と阿久津氏は提案する。昨年、専用のハイボールジョッキを製作したが、今年も積極的に展開していく。


梅酒ハイボール(オリジナルグラス)

 さらに、世界最大の洋酒メーカー、ディアジオ社との提携により、「ジョニーウォーカー」、「I.W.ハーパー」など国際ブランドのウイスキーハイボールも提案可能となり、一層提案の幅も広がっている。

「カクテルというお客様も減っていません。大手居酒屋チェーン様でもドリンクに占めるカクテル比率は7%前後で変わっていません」と、カクテルにも力を入れる。ウォッカ「スミノフ」やジン「ゴードン」「タンカレー」など強力なカクテルベースを揃えている。特に、ジントニックなどワンミックスで出来るカクテルを訴求する。

 そして、一昨年から話題のノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリンフリー」。ロードサイドを中心に定番となり、他ビールメーカーも追随した。昨年は520万ケースと3割増。さらに、今年から麦芽100%麦汁使用に変わり、一段と味の本格感が増した。


「キリンフリー」短冊ポスター。

 飲酒運転根絶のために財団法人全日本交通安全協会が進めるハンドルキーパー運動とコラボ。自動車で飲食店に来て飲酒する場合、仲間同士や飲食店の協力を得て飲まない人(ハンドルキーパー)を決め、その人は酒を飲まず、仲間を自宅まで送り、飲酒運転事故を防止する運動のこと。


グラス(ハンドルキーパー)


グラス(ロゴ)

 昨年10月には、ハンドルキーパー運動と合わせたスターターキットを用意し、扱い店を拡大させた。瓶のネックラベルにもハンドルキーパー運動のマークを付けた。

   
テーブルテント。

「社会的要請も強いですし、飲食店様にも受け入れられました。何といっても味の評価が高いんです。地域・業態問わず日本全国の飲食店様での取り扱いを目指して、提案活動を実施し弊社の生ビールを扱っていただいている全店で扱っていただきたい」と阿久津氏。

 米国ロサンゼルスでのテスト販売も検討中。「キリンフリー」を世界的なブランドに育てようとしている。

 メルシャン社との連携も更に強化します。成長カテゴリーである、低価格帯、スパークリングワイン、ロゼワインなどのカテゴリーに「サンライズスパークリング」ハーフサイズ(375ml)や「フランジア」ペットボトルを導入、オーストラリアワイン「セント・ハレット タティアラ」を3月に新発売します。又フラッグシップである「シャトー・メルシャン」の提案も積極的に進めていく。

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2011年2月3日取材

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