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【仙台・福島特集】
売上が1/4になっても夏場もおでん。
〜創業62年、独自のおでん出汁を守り続ける〜(2−2)
田村忠嗣氏 おでん三吉 店主

2011.2.28
仙台の老舗おでん店「三吉」。地元だけでなく観光客にも広く愛されている全国区の店。昭和24年に初代が屋台から始めた。最大の特徴は”やきぼし”を使った出汁。店主の田村氏に62年続くこだわりを聞いた。2回シリーズ。レポートは安田正明。


三代目、田村浩章氏(左)。

売上が1/4になっても夏場もおでん

「三吉」はおでんだけでなく、初代の出身地、秋田の郷土料理も揃える。冬場にはきりたんぽも提供する。田村氏は二代目として継ぐことを決めた時、秋田県に修行に行った。

「秋田を看板にしている店だから秋田に行って来いと言われて、県の観光課に3年間勤めました。駅で市内の観光案内をする役。バスの路線、観光パンフを調べて東大に入れるくらい勉強しましたね(笑)。」

「親父の下駄の足音でビビった。厳しかった。顔を合わさずに過ごすにはどうしたらいいのかばかり考えていました。毎日、親父と店から市場まで仕入れに行ってましたから。この親父を交わすにはどうしたらいい、です。でも、女房子供もいるし我慢しました。ある日、理不尽なことで殴られたんです。親父はお客さんに、倅が原因じゃないけど殴ってしまった、それでも倅は一緒に帰るのを待っててくれた、嬉しかったと言ったそうで。それをお客さんから聞いた時には、泣きましたね。厳しかったけど今思うとありがたかった。厳しいのは愛情なんだなとわかりました。」
★続く。
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【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2011年2月16日取材

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