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7店の名店がコラボレーションした新感覚のコリアンダイニング
「KollaBo(コラボ)」
(東京・池袋/コリアンダイニング)

第302回 2010年2月2日

「KollaBo(コラボ)」 外観。
「KollaBo(コラボ)」は、2009年10月30日に池袋駅東口三越跡に出店した、ヤマダ電機 「LABI1 日本総本店池袋」7階レストランフロアー「LABI ikebukuro dining」にオープンした、新感覚のコリアンダイニングの店。

 一番の特徴は、7つの韓国料理、焼肉、カフェの専門店がコラボレーションして、フードコートではなく、1つの店になっていることで、このような形態のレストラン自体が珍しい。コリアンダイニングではもちろん日本初である。

 コラボレーションしている店は、元祖スンドゥブチゲ「ソゴンドントゥペギ」、明洞チヂミと生マッコリ「トゥクタ」、焼肉「高麗屋」、「元祖 燻製サムギョプサル」、「本家 野菜サムパ」、喫茶「グラスゴー」、韓国伝統茶「イルサドン・カフェ」の個性的な7店。これら7店の代表的なメニューが提供されている。このうち「高麗屋」、「グラスゴー」は大阪からの初進出で、あとは韓国から初進出である。


外壁の上部にはコラボした店の名が掲げられている。


外から調理の様子が見える、オープンキッチンになっている。

 どういった経緯で、このようなユニークな店が企画されたのだろうか。

「東京都内の韓国料理のお店を食べ歩いていると、韓流ブームが起こってから非常に高額な料理を出したり、自分のお店でつくれない料理をメニューに加えて出したりするところが、増えてきたように思いました。そもそも韓国料理はそんなに高いものじゃないし、自分のお店が得意じゃない料理を食べた日本人のお客さんが、韓国料理に対する間違ったイメージを持って帰られても困ります。そこで、韓国料理の専門店の味を、心地いい空間で食べられる、理想のレストランができないかと考えたのです」と、語るのはオーナーの任和彬(イム・ファビン)氏だ。


オーナーの任和彬(イム・ファビン)氏。

 任氏は大阪生まれの在日韓国人で、2009年4月まではファンドマネージャーとして、多くの上場企業の要人と交流した。ファンドマネージャーであった頃は、接待で東京やアメリカのさまざまな高級店で食事をし、プライベートでは新大久保のコリアン街を制覇するほど食べ歩いたという。

 そうした中で、韓国料理のあり方に疑問を感じ、起業するチャンスをうかがっていたが、今回第1号店「KollaBo」へと結実した。韓国語、日本語、英語を操り、韓国人の情熱と、大阪人の食い倒れ精神と、国際感覚を合わせ持った任氏だからこそできた店である。

 任氏は自らのレストラン構想を、熱心に7店のオーナーに説き続けて、ついに実現したのだという。1つの厨房で7店の味を各店オリジナルレシピで調理しており、この点でもコラボである。

 任氏によれば「日本の和牛の味は格別で、韓国の焼肉よりも旨い。その中でも一番旨い」という、「高麗屋」の焼肉は、岩手南牛を中心に黒毛和牛で提供しており、「特選3点盛合」(ザブトン、ミスジ、栗三角)が3280円、ロース、カルビ、タンは各490円とリーズナブルだ。「石焼ビビンパ」(スープ付 1080円)も、「高麗屋」の人気メニュー。

 1962年に創業し、スンドゥブチゲの元祖となって、アメリカで模倣する人が出て、それが日本に伝わったという「ソゴンドントゥペギ」の、まさに流行の元となった「スンドゥブチゲ」(980円)が、日本で初めて食せるのも嬉しい。なお、ソゴンドンはソウルの繁華街・明洞の旧名である。コラーゲンがたっぷりの「参鶏スンドゥブチゲ」(1080円)もある。


元祖スンドゥブチゲ。


参鶏スンドゥブチゲはコラーゲンたっぷり。

 豆腐は名古屋の創業150年の老舗豆腐屋「いしかわ」から、豆乳を仕入れて自家製でつくっているというこだわりぶりだ。

「ソゴンドントゥペギ」のメニューでは、秘伝の辛味噌を使った「直火ピリ辛野菜炒め」(豚肉、イカ、ミックスより選択 980円)も、任氏お勧めの料理である。


直火ピリ辛肉野菜炒め。


直火ピリ辛肉野菜炒めの調理風景。豪快にフライパンから火が噴き上がる。

 日本で人気が高まっている豚の三枚肉の焼肉「サムギョプサル」は、ブランド豚の「東京ナチュラルポーク」を使用。それが「元祖 燻製サムギョプサル」と、「本家 野菜サムパ」のメニューでいただける。いずれも1人前1480円。


韓国で流行っている、燻製サムギョプサルセット。

 燻製サムギョプサルは、豚肉を熟成したワインソースに一晩漬け、炭で燻製にした肉を使っており、独特のハムのような食感が味わえる。野菜サムパは、「KollaBo」で使用している、茨城の契約農家が毎日運んでくる無農薬野菜を堪能できるメニューで、特製のアツアツの味噌を付けて、塩焼きの豚肉を包んで食べる。

「トゥクタ」のメニュー、チヂミでは「チヂミ盛合せ」(1080円)のほか、「KollaBo」で使用している全国160の漁港から直送した、海の幸が味わえる「海鮮チヂミ」(980円)が人気である。

 さらに「トゥクタ」より、韓国の人間国宝であるカン・ソクピル名人のつくった、至極の生マッコリ(グラス400円、かめ900円)が味わえるのも、日本ではこの店だけだ。

 また、大阪・心斎橋の老舗喫茶「グラスゴー」の生ジュースづくりのノウハウを活かした生マッコリのカクテル(各デキャンタ980円、1L1880円)も提供されている。こういった店舗間のコラボレーションが起って、同店だけのオリジナルが生まれているのも面白い。


イチゴマッコリ。韓国人間国宝の生マッコリと、大阪老舗喫茶の生ジュースがコラボしたカクテル。

「グラスゴー」ではもちろん、コーヒー、紅茶、ジュースなどソフトドリンク各種(480〜680円)を出している。韓国伝統茶の「イルサドン・カフェ」からは、メシル茶(梅茶)、ユザ茶(柚子茶)、インサム茶(高麗人参茶)など(480〜520円)が提供されている。

 ビールで、アサヒ「スーパードライ」とキリン「一番搾り」が、両方とも飲めるのもこの店の売りで、ビールファンには嬉しいサービスだ。料金は共に中ジョッキ500円、グラス380円だ。

 コースも3480円、3980円、4680円と3種類あり、7店の選りすぐった味を楽しめる。

 ランチは1080円〜1280円で提供されており、石焼で炊くコシヒカリのご飯や伊藤園のお茶が飲み放題といったサプライズがある。


ランチメニュー。


石釜で炊き上げたコシヒカリ。おこげをお茶漬けにすると美味しい。

 空間はスタイリッシュにまとめられており、席数も150席と広く、宴会需要にも対応できる。


ダイニング席。


座敷席。

 理想主義者の任氏が目指すのは、日韓の英知を集めた究極のコリアンダイニング。記述してきたように厳選した素材とレシピを使って、世界の食通をうならせることができるか。

「ソゴンドントゥペギ」と「グラスゴー」からはオープニングにあたって、店の2代目が直接自ら厨房に入り、付きっ切りで汗を流していた。それほどの気合の入り方だ。

 任氏の構想どおりの7店のコラボレーションが高次元で実現すれば、最強のレストランができるだろう。


【KollaBo(コラボ)】
住所 東京都豊島区東池袋1-5-7 LABI1日本総本店池袋7F
電話番号 03-5332-3878
営業時間 ランチ 11:00〜17:00
カフェ 14:00〜17:00(2ブランドのみ)
ディナー 18:00〜23:00
定休日 無休
客席数 150席
客単価 3,000円
目標月商 非公開
開店日 2009年10月30日
経営母体 株式会社アイホールディングス
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ)     2010年1月17日取材

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