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メディカル・レストラン

メディカル・レストラン

第6回「ニルヴァーナム」

07.28
現役の医師が、健康になれるグルメ情報をお伝えします
 
 毎日暑い日が続いてますね〜皆様お元気でしょうか?さて、これまでメディカルレストランでは、和食、イタリアンや韓国宮廷料理など各国の料理を取りあげて参りました。さて今度はどこの国の料理にしようかなぁ。。。スペイン?ドイツ?ギリシャ?タイ?、、、、、何か忘れちゃいませんか??

 そうで〜す♪ 夏と言えば、「海だ!サザンだ!カレーにビールだ!!」

 暑くて食欲の落ちる時には「カレーと鰻」と宇宙の相場が決まっておりまーす!?

 今回メディカルレストランの選んだ国はインド。よって、カレーはカレーでも日本的なカレーでなく本格的なインド風。それも今ブレーク中の南インド料理を取り上げまーす。

 そもそもカレーは日本に上陸後、まったく本家本元と違う物体として日本全土に拡散してその土地土地の文化に溶け込む一方、和食の1品目としての地位を確立し定着しております。もう完全に国民食です。大量に作れる事もあって給食にも取り入れられ子供の頃からスリコミを行われればそりゃ〜皆好きになっちゃいますよね。

 学生時代、夕方になると学食のカレーが入っている特大鍋のカレーが残り少なくなり・・鍋の下の方は肉などの具が多く残ってんだよね〜♪っと毎日楽しみに食べに行く奴らを「カレーなる一族」と我々は呼んでしました(爆)

 先日も函館にて黒い「昆布カレー」を所長は発見!・・なんじゃい、この味?インドの人が食べてもこれをカレーとは絶対に認めないだろうなぁ。。。

 一方でインドで食されている本格的インド料理は焼肉などとは違い今の日本でも大都市でないとお目にかかれないのが実情です。

 ところが先日新聞にも出ておりましたが、近年のインドの人々の世界流出はIT関係方面を中心に激しく(もともと数字の『0』を発見した国ですから理系に強い)世界中でチャイナタウンならぬインドタウンが出来上がってきているそうです。日本のインド人の数もIT及び多国籍企業の幹部を中心にこの7年間で2倍に増加したと言います。それに伴い今後はインド料理も広く世界に流出され広まって行くことでしょう・・なんか、新聞の社会面の様な文章になってしまいました(泣)

 しかしニルヴァーナムを訪れた際も、神谷町と言う土地がらか・・ITか金融関係者と思われるインドのパーティー軍団に囲まれ、我々以外には日本人はだ〜れもいない・・ここはどこ?私は誰?新聞の書面どおりのインドワールドに迷い込んだ所長&スタッフでした。

「ニルヴァーナム」

(住所)東京都港区虎ノ門3-19-7 大手ビル2F
(電話)03-3433-1217
(営業時間)11:00〜14:30、17:30 〜22:30
(定休)日・祝

 
さて、席に着きましょう。今夜の所長の夕食は、

1、海老のマラバルフライ
2、ショーレイケパブ
3、ローストマトン
4、フィッシュフライ
5、マサラドーサ
6、チーズドーサ
7、マトンカレー+ケララパロータ
8、ケララシチュー+ヌールプットゥ

 1は海老、2は鳥肉、3は羊肉、4はお魚のカレーです(今回はラボのスタッフ3名と訪れましたので4名分の食事としてお考え下さい)。どれもカレーカレーしててピリッと爽やかな辛さ。それでいて見た目ほど油を感じず爽快感が口に残ります。

海老のマラバルフライ


ショーレイケパブ

 5と6はドーサ料理。これは南インド料理の名物の一つで大きいクレープ状の物に色々と包んで食します。見た目が面白いのはマサラドーサ。チーズドーサはロール状ではなく、まさにピザでした(生地がモチモチタイプの奴です)


マサラドーサ


チーズドーサ

「巻物」ってお寿司などでも出てきますが、なんか美味しいですよね。色々な物を手で巻いて持って食べる動作は縄文以前、ひょっとして「火」が我々の前に登場する以前から行われている原始的な食行動なのではないでしょうか?パブロフの犬みたいに、何かを巻いて手に持った瞬間に反射で唾液が出てくるよう遺伝子にすりこまれている気がします。

最後はカレーに副食を添えて食べようって事になり、パロータ(ナンのようですがまったく違う味の物)とヌールプットゥ(お米のヌードル)と共に食べました。

ケララパロータ


ヌールプットゥ

 この間お酒はインドビールにインドワイン(白)とインドのラム酒を頂戴しましたが流石にお酒は本家には負ける感じでした(笑)

所長のコメント:
 今回カレーを食べていて「いったい俺は何種類のスパイスを今食べているんだろう?」・・と、ふと思いました。一見油と辛さが前面に出ていてスパイスの事を忘れてしまいますがよくよく味わってみますとかなり複雑な味わい。

 言い方を変えればカレーは肉や魚などを各種スパイスであえたインド風和え物なんですよね。

 スパイスは20種類以上も含まれおり、まずはあの色の基になるターメリックは漢方の世界ではウコンと呼ばれ(ややこしい)浄血、消炎、さらには止血効果もあるのでインドでは手を切ったときなど、ターメリックで傷口を塞ぐそうです(なんか凄いね、アカチンじゃなくってキチンですね、笑) 

 ターメリックに限らず、コリアンダーやタマリンドには解毒作用もあり、それぞれのスパイスは薬にもなる・・つまりカレーは『インド風薬膳料理』なのであります!その他含まれているスパイスには、アサフェティダ、カルダモン、マスタード、チリパウダー、ブラックペパー、ホワイトペパー、クローブ、シナモン、クミンシードなどがあり、各々が複数の薬効を持っております。

 カレーは単に辛いだけでなくこの数え切れない程の薬効があってこそ日本の湿度の高い暑い夏を乗り切るのにピッタリの食べ物として日本に根付いたと考えられます。また、鰻にしろカレーにしろ食欲が落ちる夏にエネルギーの基になる油の供給源として適した食品だと思われます。

 ここ数年「激カラブーム」で巷では異常な辛さが大うけの様ですが、メディカルラボとしましては胃腸への負担が大きい異常な辛さの料理はお薦めできません。
 今回取材したニルヴァーナムで食しましたカレーは激カラではなくサッパリとした大人の味で落ち着きさえ感じました。もう辛いだけのカレーでなく『おとなが楽しむ本物のカレー』を試しても宜しい頃合ではないでしょうか。

 これから暑い暑い毎日がやってきます。日本、韓国、中国などそれぞれ東洋の国々には薬膳料理がありますが、よ〜く考えれば・・そのと〜り。インドも東洋とお考えか!結構!ぜひインド風薬膳料理のカレーを食しこの夏を乗り切って頂きたい!(パネルクイズでの児玉清の感じで書いてみました〜笑)



 さて厚生省の調査では、20〜60歳代の男性の3割が肥満との事。今回もひき続いてメタボリック症候群に関するお話しを二つ程してみたいと思いま〜す。


*体脂肪計に関して。

 皆様の使用されている体脂肪計の多くは体に微細な電流を流して電気抵抗を測る事で体脂肪率を出しています。水分はよく電気が流れ、脂肪の所は抵抗が大きく電流が流れくい事を利用して測定しているわけです。

 成人男性の正常:15〜20%  25%以上は軽度肥満。
 成人女性の正常:20〜25%  30%以上は軽度肥満。

 皆様の多くは適当な時間と状態で測定している方々が多いようですが、それは間違い。電気抵抗はかなり微妙に変動します。正しい測定の方法は、

 ①夕方から夜にかけて抵抗が安定しますのでその頃の決まった時間に同じ条件で測定する様にいたしましょう。
 ②運動、食事、入浴直後は抵抗の変動が激しいので少し時間を置いてから測定する様にして下さい。


*ダイエットに関して。

 低炭水化物食と低脂肪食を比較した論文がでました。低炭水化物食とは「ハンバーガーの外側のパン(炭水化物)は残して中身のハンバーグは気にしないで食べる」なんて手合いの方法です。アメリカではポピュラーな民間療法ですが専門家からはあまり相手にされていませんでした。ところがところが2003年以降の5件の研究をまとめると低脂肪食より低炭水化物食の方が長くやり続ける人が多く6ヶ月後の体重減少も3.3kg多いという結果が出ました。これらは特に肥満度の強い方に有効の様です。


「健康×美食ラボ」から皆様へのアドバイス

 上記の論文から考えますとカレーダイエットなんてのもありかもしれません。カレーはカレーでも日本風ですと「カレー+大盛りのご飯+スプーン」が目の前にドンと出てくる訳ですからあっという間に平らげて「ふぅ。もう1杯いくか。。」てな事になりかねません。

 それではダッメー! 早食い+おかわり=最悪。 ここはおとなになってカレーをツマミにお酒をチビチビやるかお茶で満腹にしてご飯は食べないでさっさと寝る。これですよ!!

 油の多い食品は胃の中の停滞時間も長く(腹持ちが良い)満足感がきっとあるはずですし辛さは代謝を亢進し血管を拡張して熱として摂取したエネルギーを放出してもくれます(以前にお話ししたお酒も血管を拡張して同じようにエネルギーを体外に放出する機構がありましたよね)。

 最近はBARでもカレーを出す所が増えてきてますよね。「マスタ〜。汁ダクでメシ少なめのカレーくれる。」なんて言える様になったらそのBARの常連さん間違いな〜し(笑)。

 最後に所長からのカレーダイエットの秘策を伝授しましょう。それは・・・「インドの人々の様に手だけでカレーを食べる事。」です。まず絶対に早食いはできません(熱そうですねぇ、笑)。ただしBARではしない事ー!常連じゃなくって周りからはただの変態野郎に見られます。。。

執筆 『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫 2006年7月28日

『健康×美食ラボ』所長
医学博士 岡野喜久夫

岡野内科診療所院長
東京都港区新橋1-18-14 三洋堂本館ビル8F
03-3502-8060

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