フードリンクレポート


お客様・従業員・お取引先と感動を共有できる企業創り。
〜かっこつけるな! お客様に喜ばれる地域一番店を目指せ〜(7−7)
大山 敏行氏
株式会社イーストン 専務取締役

2010.3.16
米国大好きの大山兄弟は、1986年5月に札幌ススキノに「アルズ・バー」をオープン。前衛的クラブとして一躍注目を浴びた。しかしもっとたくさんのお客様に喜んでもらいたいと業態を転換。現在、イーストンは「イタリア居酒屋 クッチーナ」「焼鳥ダイニング いただきコッコちゃん」など大衆向け31店舗を札幌、仙台、首都圏で展開している。弟で専務の大山敏行氏にインタビューした。7回シリーズの7回目。


東京オフィスに掲げられた企業理念とともに、大山敏行氏。

お客様・従業員・お取引先と感動を共有できる企業創り

「カッコイイのはもういいかなと思っています。皆がハッピーになれる会社にしたい。クオリティ、ホスピタリティ、アトモスフィアのQHAを払ったお金以上に感じてくれれば、また来たいに繋がる。そのためにはスタッフがお客様に感謝の気持ちを持たなきゃだめ。でも、お客様はありがとうとはめったに言ってくれない。売上目標に達したら、イエーイと仲間と楽しむ。プロ野球じゃなくて甲子園みたいなもの。面白おかしくいこうや、です。」

「4店目を出した時、4店全部を1人では見れなくなりました。サービスがいいとお客様からいい評価を受けて大きくなった。でも4店目からクレームの電話が来る。酷い目にあったとか、ボッタくられたとか。東京で別の会社に働いていて札幌に帰って、ウチで働く。彼らはお客様は来て当たり前という感覚です。僕らはいかにしてお客様をゲットしようと考えているのに。DJが好きな曲ばかりかけてもお客様は踊らない、今流行っているお約束の曲をかけないと盛り上らない。A面の1曲目じゃなくB面の3曲目をかけようとする。誰も踊らない。お客がダサいんですと言う。何やってんだ、ダサいのはお前だよと言ってやります。」

「ソムリエが入ってきた。元東京の有名店にいました。グラスをもっていって、どうですか?美味しいです、とやる。札幌の人はタダかと思います。でも伝票についちゃう。飲みましたよね。札幌ではボッタクリになる。東京はいいサービスかも知れませんが。その人がやめると急に売上が上がりました(笑)。バーテンダーもだんだん苦いのを作りたくなる。 田舎は甘いカクテルが好まれる。お勧めあります?と聞かれて苦いのを作ると、一口飲んでウエー。でも1000円。じゃ、替わりにカルーアミルク下さい。500円です。これじゃ、ボッタクリです。」


東京オフィスに貼られた、札幌で働く社員の自己紹介シート。東京オフィスと札幌本社の交流を促している。

「経営理念を作りました。『お客様・従業員・お取引先と感動を共有できる企業創り』です。経営書を読むと、腹の底から湧き出るような経営に対する思いを文章にしろと書いてありました。何のために働くのかから議論しました。外食は生産性も給料も低いけど、美味しいと言ってくれたり、また来るよ、笑顔がすてき、店がいいよと言われたら凄く嬉しい。そういう人の集まりなんだよね。お客様、従業員、お取引先の皆がハッピーなれる会社を目指しています。」

 大山氏は、共に働いていると本当にハッピーになれそうな魅力的な話しぶりだ。イーストンEASTONEとは、英語のEAST(東)とONE(No1)を融合させた造語。食事という場を通して「東洋で一番輝く」企業になりたいという意味。ハッピーを振りまいて、外食の魅力を消費者にどんどん伝えて欲しい。


■大山 敏行(おおやま としゆき)
株式会社イーストン 専務取締役。1963年生まれ。北海道札幌市出身。1986年、大商観光(現・イース トン)入社。すすきのにスタンディングバー「アルズ・バー」を出店し、大盛況店への成長させる。その後、「イタリア居酒屋クッチーナ」でブレイクを巻き起 こし、中華、焼鳥ダイニングなどのジャンルへも拡大。札幌だけではなく、仙台、関東へも店舗展開。2007年秋に首都圏進出を果たした。


株式会社イーストン


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年2月3日取材