フードリンクレポート


バレンタインに売れる「山崎」や「百年の孤独」ボンボン。
〜広がる「テキーラボール」。ナイト業態の活性剤となるか!〜(4−4)

2010.3.25
歌舞伎町のバーが開発した、テキーラ入りのゼリー菓子「テキーラボール」が、バー、キャバクラ、ホストクラブ、居酒屋などといった、飲みの業態でジワジワと浸透している。甘くて食べやすい食感から女性客にウケが良く、特に女性の集客に寄与しているという。歌舞伎町のナイト業態に、その導入効果を取材した。4回シリーズの第4回目。


サントリー山崎のウィスキーボンボンとウイスキー小瓶がセットになったギフト。

バレンタインに売れる「山崎」や「百年の孤独」ボンボン

 お酒入りのお菓子といえば、パッと思い浮かぶのはウィスキーボンボン。「テキーラボール」の発想のルーツも、甘いチョコレートの中にお酒が入っているウィスキーボンボンがあったようだ。

 ウィスキーボンボンの売り上げは一時期に比べて低迷していると聞くが、実際はどうなのだろう。そこで大正12年の創業の時に、日本で初めてウィスキーボンボンを製造販売したゴンチャロフ製菓に近況を聞いてみた。

「最近、3、4年でしょうか。ウィスキーボンボンの売り上げは上がっています。バレンタイン用のギフトで期間限定で出していますが、おかげ様で今シーズンは完売しました」とのこと。

 そもそもチョコレートの売り上げは冬場が中心であるのだが、ウィスキーボンボンもバレンタインのギフトとして定着し、若い人から年輩まで、多くの女性が買っていくという。


ゴンチャロフのウィスキー、キュラソー、ブランデーのボンボンセット。

 また、ロッテではサントリーの「山崎」、「白州」を入れたウィスキーボンボンを2007年からバレンタインギフトとして販売している。サントリーでもそのウィスキーボンボンにマイクロサイズのウィスキーの小瓶を付けたバレンタインギフトを販売して、好評につき今年の販売は終了したそうだ。

 サントリーお客様相談室では、「ハイボールの人気も後押ししているのではないか」と、ウィスキーの嗜み方の一環として、ハイボールやウィスキーボンボンの人気が再燃しているとの見方をしている。

 お酒入りチョコレートのバリエーションとして、ワイン、焼酎、日本酒などいろんなお酒の入った変わりボンボンも登場している。

 焼酎では幻と言われる「百年の孤独」入りチョコレート、日本酒なら「月桂冠」入りのチョコレートなどが、バレンタインギフトとして販売され、売れ行きがいいようだ。


プレミアム焼酎、百年の孤独ボンボン。


月桂冠の日本酒ボンボン。

 バーなどでも、「山崎」、「百年の孤独」などの入ったボンボンが提供されると、顧客の興味を引くようで、よくお酒好きの人のブログにアップされている。これら各種ボンボンをうまく使えば、おそらくナイト業態では強力な販促ツールになると思うのである。

 元々、ウィスキーにはチョコレートをかじりながら飲む飲み方があるが、一歩進んで、おつまみのメニューとしてボンボンを出せばどうだろうか。

 いずれにしても、「テキーラボール」、各種ボンボンのようにアルコール度数の強いお酒をスイーツに使って、おしゃれに食すというトレンドは、特に女性の間では浸透しているように感じられる。

 次なるヒットも延長線上で生まれてくるに違いない。「テキーラボール」のさらなる飛躍も気になるが、お酒を扱う業態がアルコール入りスイーツにこれからどのように取り組んでいくのか、注目したい。


歌舞伎町のナイト業態ではテキーラボールが飛び交う店も。


【取材・執筆】  長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年3月15日執筆