フードリンクレポート


油断、昨年3月から売上ダウン。
〜スタッフの自立を求めて模索中。熱くなった次に必要なものとは?〜(5−5)
黒須 優氏 株式会社エーチーム 取締役店舗統括

2010.4.2
「ハートフルホーム」をスローガンに掲げるエーチーム。コンビニや惣菜店を100店近く展開する企業の新事業部門として設立され、2000年4月に飲食事業がスタート。現在、韓国料理「五湯道(おたんどん)」、高級焼肉店「梨の家(なしのや)」など8店を直営。業績が厳しかった2006年、黒須氏は再建人として入社、3年半の軌跡を聞いた。5回シリーズの第5回目。


「五湯道」目黒店。

油断、昨年3月から売上ダウン

「去年3月から、それまで上がり続けていた売上が落ちた。それに気付かず、3年ぶりに2店舗出店して、私はそれにかかり切りでした。スタッフが育ってきたので、安心している部分もありました。」

「冷めたお湯を沸かしなおし、鍋が熱くなったら具材を入れる技術を教えなきゃだめだった。新店オープンに行ってしまい、具材は自分達が勝手に入れてくれると勘違いです。2009年の決算では利益は、半減してしまいました。」

「熱くなったのは、スタートだったんです。お客様を安定的に入れる方法を教えてきたつもりで、熱くなったので勝手にやるだろうと思っていました。僕の間違いです。もっと行動管理、いつまで何をやれと明確にしていれば、違う結果が出たはず。」

「今、やり直し中。やってきたことは崩れていません。気持ちも高いまま。どうやってお客様のリピート率を上げるのか、どうやれば単価が上がるのか、理論立てて教えてあげる必要があります。説明はしたけど、行動に移してはできてなかった。」

「僕が監督ではなく、店長を監督にしたい。僕はGMだろう。でも、ちょっと認識が甘かった。企業文化ができていればいいけど、一気に行き過ぎました。」

「飲食にロマンを持っている人はスタッフが自立することを期待しています。僕はラグビーをやってきました。ラグビーは自分で考えて動けて楽しい。自分の社員にもそうさせたいです。」

 黒須氏は「嵐が去った時は強くなれる」と信じて、再度、教育を立て直すという。教育の難しさを示すとともに、包み隠さず話してくれた黒須氏に感謝したい。


■黒須 優(くろす まさる)
株式会社エーチーム 取締役店舗統括。1973年生まれ、福島県出身。伊藤忠食品へ入社後、外食産業への道を進む。様々な業態を開発し、2006年エーチーム取締役就任。現在は、人を育てた分だけ店舗ができる、という想いのもと、スタッフの指導、教育、店舗開発に力を注いでいる。

株式会社エーチーム


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき)  2010年2月15日取材