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足踏み仕込みでコシに差!あり。
本場手打ち讃岐うどん「谷や」
(東京・人形町/讃岐うどん)

第331回 2010年8月31日

ぶっかけうどん 500円。
 7月31日にオープンした本場手打ち讃岐うどんの店「谷や」は水天宮駅徒歩1分(人形町駅徒歩6分)に位置し、初日から2週間で4,500人の来客があり一気に地元の人気店となった。運営するのは中古クレーン・重機の売買とレンタルを手掛ける株式会社シンセイマシナリー(本社/東京都中央区)、飲食店としては同店が1号店となる。


店前。


カウンター。


奥のテーブル席。

 香川県にも支社のある同社、代表取締役の山本新(やまもと しん)氏は香川に行く度にうどんを食べ「味が全然違う」と毎回感じ「また行きたい」と思う店も多くその地にあったという。10年後に本業が順調であれば「本場の手打ち讃岐うどんが食べられる店」を東京で開きたいと当時から考えていた。

 又うどん職人で料理長をつとめるのは25歳の谷和幸(たに かずゆき)氏。山本氏と劇的な出会いを経て今に至る。谷氏が当時働いていた店で客として来ていた山本氏はその味に惹かれ声をかけた。一日19時間8杯のうどんを食べて毎日暮らすという谷氏の生活、その話を聞いた山本氏は真面目で実直なその人柄に心動かされ、自身の讃岐うどんの店を東京で繁盛させるのだという気持ちが自然と「彼を日本一の職人にしたい」という気持ちへ変わっていったという。


右・社長の山本新氏 / 左・うどん職人の谷氏。

 昨年9月に物件を探し始め、11月にこの物件を見つけたときは30分経たず決心した。店舗引渡しまでも予期せぬ外的要因のトラブルもあり、着工からオープンまでに10ヶ月程かっている。そしてついにグランドオープンを向かえ喜びもひとしお、意気込みがちがう。


うどんの仕込み(谷氏)。


うどん切り(谷氏)。

 毎日の仕込みは11時の開店にあわせ早朝の3時から始められる。その日の天候・気温・湿度に応じ配合された小麦と良質の軟水を練り合わせ、店内の製麺室で生地を足踏みする。讃岐うどんの発祥のルーツは足踏み仕込みだが今もその製麺スタイルを守る店はほとんどない。「谷や」では足踏み仕込みにこだわり、出来上がった生地は手打ちで延ばし麺切りして釜でゆであげる。出来上がった麺は最後釜からあげるタイミングが重要「何度のお湯で何分」というマニュアルではなく熟練された職人にこそ分かるその「瞬間」がある。


大釜からのゆであげ。

 麺のコシと並んでもうひとつ大事なのが麺つゆだ。化学調味料は一切使わず体に優しく1杯目も100杯目も変わらない同店の麺つゆは無添加だからこそ「葱」「生姜」「胡麻」の薬味にも本当によく合う。削り節は京都の老舗のものを何種類も使用、昆布は北海道の利尻昆布、いりこはカタクチ鰯で有名な伊吹島のイリコで、これにするめやどんこをブレンドし独自の味わいをつくっている。更にかけうどん、ぶっかけうどん、ざるうどんで全て仕上がりの味わいは変わり、それぞれを一番美味しくたべれるように研究され尽くしている。


カウンター席に並ぶ「谷や」のこだわりの素材。

 天ぷらはオーダーごとにあげたてを提供、うどんの出来上がりとタイミングをあわせる。特上天ざるにはエビとかしわと野菜三種が付いて1300円。きつねうどんに使うおあげは山本氏が以前からファンである葛飾の豆腐屋から、分厚く甘さを抑えた同店用専用のおあげを特注で仕入れている。かけは450円から13種類、ぶっかけは500円から11種類とメニューラインナップも幅広い。


特上天ざる 1300円。


きつね 600円。

 その他にも夜の一品は「茄子の揚げ出し(450円)」「出汁巻き玉子(400円)」など出汁を味わえるメニューを中心にお酒のおつまみになるものが10種以上あり、日本酒は四国、焼酎は山本氏の出身である宮崎のものを中心に各種揃えている。

 店内設計はうどん作りの工程をお客様に見てもらえるような設計となっていて「このオープンキッチンのスタイルによって、お客様から直接感想をいただけたりコミュニケーションが(予想以上に)あります」と谷氏。地元の皆様のまず来ていただき、この地で根付いていけるように自分のもてる力を全て出し切っていきたいという。

 また、二階は「本格和食 灯」を7月31日に同時オープンさせている。出汁は一階でとったおなじものを使用し化学調味料は一切使わない。旬の素材にほんの少しだけ薄化粧するように味を加えて仕上げる「毎日でも食べたくなるような体に優しい和食」がウリ。「みつくろい御膳(5000円)」は日本の季節がぎゅっとつまったような色とりどりの内容で一番のオススメとなっている。少しかしこまった席やゆっくりと四季を味わいたい時などは2階を利用したい。


谷や
住所 東京都中央区日本橋人形町2-15-17 1階
(2階は同社経営の「本格和食 灯」)
電話番号 03-5695-3060
営業時間 11:00〜20:30(L.O.) *日曜は〜16:00
定休日 木曜
客席数 85席
客単価 昼700円 夜1500円
目標月商 600万円
開店日 2010年7月31日
経営母体 株式会社シンセイマシナリー
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
国井 直子(くにい なおこ) 2010年8月20日取材

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