次に流行るお店 *バックナンバー
北海道サロマ湖直送、鮮度抜群のカキ2,980円で食べ放題
「Cucina Stagionare DESERT 」
(東京・六本木/イタリアン)
第340回 2010年11月2日
ヴァポール(蒸し)はピンクペッパー、レモン汁、オリーブ油で味付けしている。
同店では10月20日より来年2月末までの予定で、北海道の東部にあるサロマ湖の漁師より直送されたカキを、一人2,980円で食べ放題という企画を行っている。制限時間は90分で、生、焼き、ヴァポーレ(蒸し)と3種類の食べ方で提供され、全て食べ放題。
カキ好きでたくさん召し上がった人にとっては、間違いなく「東京で一番カキが安い店」と記憶されるだろう。
「Cucina Stagionare DESERT」 ファサード。
店内。
漁師風イタリアン食堂と銘打つだけあって、「DESERT」ではオーナーシェフの吉川尚志氏が全国の漁港を訪ね、漁師と直接交渉して直送してもらっている、新鮮な魚介類が売りの店である。
吉川氏は全国の漁村、農村をお店が休みの日曜日を使って丹念にまわり、本当においしい食材の味をその土地の食べ方で味わってきたという。
「もう10年になるでしょうか。半分趣味のような感じで、土曜日の深夜か日曜の早朝の飛行機に乗ってふらっと地方に出かけるんです。漁師たち、農家の人たちが作業をしているのを見ているだけでも飽きないし楽しい。少し話かけたりすると、最初は相手にされませんがだんだん打ち解けてくるといろんな体験ができます。ホルモンをレアで食べたり、魚でも水揚げしたてをドラム缶に入った油にぶっ込んでフライにしたりしたものを食べてきましたよ」。
自ら長野県の菅平高原に足を運んで採ったキノコや山菜、群馬県の川で釣ったイワナなどをメニューに出すこともある。
オーナーシェフの吉川尚志氏。
黒板に板書された本日のお勧め料理。
東京ではお目にかかれない地方の食材めぐりのおかげで、格段に舌が肥えてきた。そうした中でも自分が好きな魚の料理を近年前面に出してきた。
そうした中でサロマ湖のカキに出合い、そのおいしさに魅了された。淡水とオホーツク海の海水と混じり合う汽水湖のサロマ湖はカキの生育に最適な環境。
そのサロマ湖で養殖された1年物の小さなサイズのカキと、2年物の1年物と比べれば倍以上の大きさがある大粒のカキを、1日毎に交互に出すので味比べができる。
カキの食べ放題は今年の1、2月に初めて実施したが、反響が大きく、期間を拡大して再度開催することとなった。
生ガキは、そのままか、レモンを搾る、または赤ワインビネガーをかけて食べるのがお勧め。
焼きガキは、炭火で金属の蓋をしてサッと3分ほど蒸し焼きにする。香ばしく焼けたカキにマヨネーズ、バルサミコ酢、醤油、わさび、アンチョビソースをあえた特製マヨネーズソースかトマトケチャップ、タバスコをかけていただく。
焼きガキ。
焼きガキはテラスで焼いて提供する。
炭で焼く。
ヴァポーレ(蒸し)カキは、ピンクペッパー、レモン、オリーブ油、パセリをかけて味付けしてありそのまま食べる。これはシンプルだがお酒が進む逸品だ。
ヴァポーレ(蒸し)カキ。
カキは臭み、えぐみが一切なく、お好きな食べ方で幾つでも食べられる。
「カキの食べ放題では女性のお客様が多いです。もう1年分食べたと言ってお帰りになられる方もたくさんいらっしゃいます」と吉川氏。
ワインはイタリアンワインを中心に安価でおいしいものを揃えていて、ボトルで2,620円〜、グラスでは520円〜。
一品料理は仕入れ状況によって毎日変わるが、今の季節だとイサキ、ウチワハギなどのカルパッチョ(980円)、新鮮サバのソテートマトソース(1,260円)、1匹まるごとなので大きさに驚くイシガキ鯛のグリル(1,360円)などが人気。
長野県の農家から直送された露地野菜を使った、農家野菜のバーニャカウダ(1,500円)も山盛りの野菜が好評。タンポポの葉、ルッコラ、トマトなど食卓には珍しいものからポピュラーな野菜まで、野菜本来の味が楽しめる。
パスタも産直の野菜や魚介類を生かしたラインナップ。タコを軟らかく煮た、北海ダコとパプリカの辛いトマトソース(1,360円)、サロマ湖のホタテのクリームソース(1,680円)といったところがお勧めとなっている。
アミューズで出しているカキとホタテのマリネも評判が良いので、今後はサロマ湖産の3年物肉厚の養殖ホタテを本格的に売りにしていく計画がある。
顧客層は20代後半から30代のOL中心で、40代、50代の近隣に住むファミリーも多い。魚と野菜がメインなのでヘルシーなイメージがあり、女性、中高年に受けがいいようだ。
「ウチのようなレストランの場合、250円均一居酒屋のような激安はできませんが、食材とおいしさに見合った価格、驚きと楽しさがあるサービスで勝負していきたいです」と、吉川氏は抱負を語る。
子供の頃故郷、兵庫県宝塚市の山や川で遊んだ記憶が、今の地方での食材探求に結びついているそうだ。
ただの食べ放題ではない、選りすぐりの高級食材サロマ湖産カキの食べ放題。さらなる反響を呼ぶに違いない。
店外の看板。カキ食べ放題は連日盛況のため予約したい。
【Cucina Stagionare DESERT】
住所 | 東京都港区六本木7-15-25 六本木7thビル2F |
電話番号 | 03-5474-9795 |
営業時間 | ランチ 11:30〜14:30 (L.O.14:00) ディナー 18:00〜24:00 (L.O.23:30) |
定休日 | 日曜 |
客席数 | 36席 |
客単価 | 4,000〜5,000円 |
目標月商 | 600万円 |
開店日 | 1997年3月3日 |
経営母体 | 有限会社デザート |
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年10月27日取材
【関連記事】
産地直送の旬のカキが食せるオイスター・ダイニングバー「Ostrea 銀座8丁目店」(東京・銀座/オイスターバー)(2010年8月17日)
フレッシュで美味しい生牡蠣を、さらに美味しく「FISH HOUSE OYSTER BAR(フィッシュハウス オイスターバー)」(東京・恵比寿/オイスターバー)(2010年1月26日)
「生牡蠣とボウモア」ウイスキーと一緒に楽しめる料理って何ですか?ウイスキー人気はホンモノか?現場潜入レポート Day 8(2010年4月12日)