フードリンクレポート


ウイスキーブームを引き継げるか。
ジョニ黒とハーパー、キリンに移行。

2009.12.18
本年10月から、ディアジオ・モエヘネシーが輸入販売してきた「ジョニーウォーカー ブラックラベル12年/レッドラベル」「ホワイトホース」「I.W.ハーパー」「スミノフ」「ゴードン」「タンカレー」「ベイリーズ」など洋酒13ブランドがキリンビールに移った。外食市場向け商品と位置付ける「ジョニーウォーカー ブラックラベル12年(ジョニ黒)」と「I.W.ハーパー(ハーパー)」の販売戦略をマーケティング担当のキリン・ディアジオに聞いた。


ハーパーのマーケティングを担当する末田明氏(左)と、ジョニ黒を担当する松浦純也氏。

ジョニ黒は若者にはモダンに映る

 1980年代辺りまで高級スコッチウイスキーの代名詞として知られたジョニ黒。小売価格一万円という時代には贈答用として日本家庭のサイドボードを飾ってきた。ところが85年ころから並行輸入が盛んになり、価格がどんどん下がってきた。モエヘネシー・ディアジオの販売先の約9割が量販店、いわゆるスーパーやディスカウントストア、コンビニとなっていた。

 今回、ジョニーウォーカー ブラックラベルをキリンビールは外食市場にも売り込む。キリンビールの営業マンが約20万件の生ビール販路を活用して、居酒屋などでの扱い店を開拓している。また、これ以外の外食店向けに、輸出元のディアジオ社とキリンが共同で設立したマーケティング会社、キリン・ディアジオの専任営業チームが活動している。東京・大阪・名古屋で若者向け洋風業態(“モダン・オン・トレード(MOT)”と呼ばれている)での扱い店開拓を行っている。

 ちなみに、ジョニ黒よりアッパークラスの「ブルーラベル」などは、10月以降もモエヘネシー・ディアジオが販売している。ジョニーウォーカー・ブランドは2社に分かれて販売されていることになる。

 ジョニ黒はハイボールブームに乗り、国産ウイスキー「富士山麓」の廉価版に加え、本格派ハイボールとしてオンメニューするよう提案している。

ジョニ黒


ジョニ黒を使ったブラックグラスハイボールのPOP。

 消費者調査を行うと、ジョニーウォーカーの認知度は高いが、年配の方々の間では「古臭い酒」、40代の方は「オヤジ世代の酒」というイメージがあるが、若い世代では他のスコッチに比べると「現代的」と好意的。スタイリッシュになったボトルデザインやF1レースへの協賛などが若者に響いているようだ。


ハーパーは、現代のスタイリッシュさを追求

 1980年代バーボンブームで一世風靡したハーパー。通常のバーボンが西部劇のイメージを持っていた中で、唯一の都会派バーボンとして個性を放っていた。ソーダで割った、今で言うハイボール「ハーパー・ソーダ」はバブル時代のディスコ等ではキラー・ドリンクだった。

 I.W.ハーパー


ハーパーソーダのPOP。

 ジョニ黒に比べ、量販店での販売比率は約4割と低く、外食市場で売れ続けてきた。ボトルキープアイテムとして根強い人気がある。

 キリンビールは、バーボンとしては既に「フォアローゼズ」を持つ。2002年にキリンが買収したブランドだ。棲み分けで、キリンビールが強い居酒屋ではフォアローゼズが優先される。従って、ハーパーの販売は、キリン・ディアジオが直接営業する前出のMOTを中心に展開される。

 現在のハーパー・ユーザーは、バーボンブームを経験した40代以上が中心。20代では認知が低く、MOTに集まる若者を啓発することが必要。そのためには、ハーパーらしい都会的でスタイリッシュなイメージ、しかも現代風に変えたイメージを作りだそうとしている。

 キリンビールにとり新たに加わったジョニ黒、ハーパーの外食市場での活動はスタートしたばかり、来年に向けキリンビールらしい新たな戦略が生み出されようとしている。ハイボールブームを引き継ぐ、ウイスキー復権に向けての試みがキリンでもなされている。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年11月25日執筆