フードリンクレポート


<春のメニュー提案 5>
雪の中から春野菜「春摘み蒸し鍋」、ミツカンが提案。

2010.3.3
食酢市場のトップメーカー、ミツカンがメニュー提案に力を入れている。外食の来春のメニュー変更に向け、提案が始まった。イチオシは「春摘み蒸し鍋」。


「春摘み蒸し鍋」。

大根おろしと卵白で雪をイメージ

 蒸し鍋は、野菜がたっぷり取れて健康、具材の美味しさをそのまま味わえる、つけダレのバリエーションが楽しいと、女性の間で人気上昇中の鍋メニュー。2008年頃から登場し、じわじわと広がっている。ぐるなびで「鍋」を検索すると、21069件ヒットするが、「蒸し鍋」は237件とまだまだ少ない(2010年3月3日現在)。また、蒸し鍋は寒い時期以外でも食べたいと思わせることができる。

 ミツカンは、09年冬、既存の土鍋に安価な蒸し器をセットするだけで簡単に、費用もかからず蒸し鍋が提供できると提案した。蒸し、つけだれ、〆の3用途に同社「地鶏昆布白だし」又は「料亭白だし」を10倍に希釈して使う。蒸し用にも希釈した白ダシを使うことで野菜の青臭さがなくなる。つけだれには、ぽん酢「味ぽん」だけではしょっぱく感じるので、希釈した白だしと1:1で割ったものを勧めている。蒸し器を引き上げて〆のうどんや雑炊用にも、希釈した白だしを足して使う。蒸し鍋には薄い色のダシが好評だ。

  
「地鶏昆布白だし」、「料亭白だし」。

 そして、10年春向けにミツカンが提案するのは、「春摘み蒸し鍋」。春野菜や金目鯛を蒸し器に敷き、その上に大根おろしと卵白を混ぜ合わせたもので全部被ってしまう。蓋をして蒸すと雪が積もったようになる。その雪を掘ると春の野菜が出てくるという仕掛け。


お酢は内臓脂肪を減少させる

 お酢を毎日15ml摂取し続けることで、肥満ぎみの方の内蔵脂肪を減らす効果があることをミツカン中央研究所が09年5月に学会で発表した。12週間で効果が現れた。

今まで、疲労回復、食欲増進だけでなく、カルシウムの吸収を促進、血圧を低下、コレステロール値を低下、食後の血糖値上昇をおだやかにすることが分かってきたが、さらに内臓脂肪の減少が効果に加わった。

 ミツカンにはお酢を飲みやすくした食酢飲料「ビネグイット」がある。リンゴ、トマト、グレープフルーツ、いちご、レモン、ぶどう、パインなどの果汁をお酢にしたドリンク。5倍希釈タイプで、ビジネスホテルのモーニング用に100%オレンジジュースより安く、しかも健康に良いと評判だ。居酒屋のサワーの割材としても人気。


「ビネグトマト酢マンゴードリンク 5倍濃縮」。

お酢は専用調味料ではなく、ベース調味料。ミツカンは使い方を提案して消費を増やそうとしている。メニュー開発担当者が各支社におり、常にメニュー開発を続け、外食用で約8千件のメニューをストックしている。消費者調査も定期的に行い、嗜好の変化を敏感にキャッチし、提案の裏付けもおこたらない。さらには、メニュー提案に合う調味料を開発している。

「お酢をそのまま使うメニューは増えてはいませんが、複合調味料に変えられて使われています。感覚的にはお酢を使ったメニューは増えていると思います。今の嗜好は、さっぱり系とこってり系に2極化しています。しかも1人が両極を行ったり来たり。ちょっと加えるとまろやかになるお酢はさっぱり系には不可欠です」とミツカンでメニュー開発担当の根津拓生氏(業務用ビジネスユニット 営業企画部 MD企画課 課長)はお酢の将来性を語った。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年2月15日執筆