フードリンクレポート


『わるならハイサワー!』
〜「タモリ倶楽部」も大絶賛、飲んで不況も吹き飛ばそう〜

2010.5.27
ここ最近の不景気の影響もあり、飲食店は軒並み売り上げを落としている現状がよく聞かれる。そんな中、集客力アップと単価アップを取れる商材を検討している外食企業も多い。そこで、注目されるのは博水社の「ハイサワー」である。その進化系の1つであるビアテイストの「ハイサワーハイッピー」も人気だ。「ハイサワー」を実際に提供している繁盛店、4店をレポートした。レポートは長浜淳之介。


「エビス」三鷹店の賑やかな店内。

インパクトあるPOPで宴会需要が伸びる

「わるならハイサワー」のキャッチコピーで知られる、お酒を割るための炭酸飲料「ハイサワー」は、1980年に博水社(本社・東京都目黒区目黒本町、田中秀子社長)より、焼酎を使った新しい和風カクテルをつくろうという発想で考案され大ヒット。「サワー」というお酒のジャンルをつくり出した。

 そして今、ロングヒット商品「ハイサワー」はもちろん、その進化形であるビアテイストの「ハイサワーハイッピー」を提案。

 さらに、新しい飲み方として「がっつり飲み」、つまりは「ハイサワー」の1リットルぺットボトルと焼酎ボトルをセットで提供するスタイルを確立し、居酒屋のオペレーション簡略化にも貢献している。

 最近ではそうした「ハイサワー」の魅力が、テレビ朝日系「タモリ倶楽部」で紹介されるなど、業界内外の話題も何かと多い。

 ます最初に訪ねた千葉県市川市の「和風ダイニングきざみ 南本八幡店」は、オープンして2年目になる、イベリコ豚を使用したしゃぶしゃぶをはじめ、随時9種類のイベリコ豚メニューを中心に提供している店。経営はビーベスト(本社・中央区銀座、荒井秀樹社長)。

 メニューの特徴として、たとえば「イベリコ豚の炙り焼きわさびの香り」(1250円・ハーフサイズ650円)のように、一品一品の料理に独自のアイデアを込めて提供。また、ほぼすべてのメニューをハーフサイズで楽しめる。

 一品一品の料理に対しての自信があるからこそできる提供方法であると共に、スモールポーションの料理を少しづつ数多く楽しみたいユーザーを取り込み、顧客満足度を上げる対策となっている。

 同店では今回「がっつり飲み」を団体用の個室で限定販売し、通常営業では「ハイサワーハイッピー」をセット450円で提供した。


「きざみ」 団体席にはがっつり飲み。


「きざみ」 店内POP。

「非常にユニークなメニューで、特にお尻が前面に出ている販促物はインパクトがあります。まだ始めたばかりですが、お客さんの反応は上々です。」と話してくれたのは望月店長。

「また、団体客からの注文をがっつり飲みのスタイルで提供することにより、お客様からの催促も少なくなり、確かにオペレーションの簡略化につながっています」と、「がっつり飲み」ならではの提供スタイルにも、期待を寄せていた。


「きざみ」 望月店長。


ハイッピーは2日で1ケースが売れて入荷待ち

 次に訪れた「食べる居酒屋! 馬車道 縁日」は、エイト(本社・横浜市戸塚区名瀬町、近藤一美社長)横浜の繁華街・関内の馬車道通りに面した120席ある大箱の料理居酒屋。


「縁日」 外観。

 昆布塩味の「浜っこおでん」(120円〜)、ワイン粕を与えて育てた「甲州健味鶏」をメインにした串焼き(120円〜)、三浦半島三崎漁港で上がった地物を中心とした鮮魚が、3大名物となっている。昨年の横浜開港150周年を記念した「刺身 黒船七点盛」(1980円)はボリュームたっぷりの迫力あるメニューで人気がある。

「肉巻きおにぎり」、「食べるラー油」のような流行のアイテムも取り揃えており、このようなメニューは時流を見て変えていくそうだ。

 お酒も100種類以上ある地焼酎をはじめ、日本酒、洋酒、ビール、ホッピーなど、豊富に取り揃えている。

 そうした中「ハイサワーハイッピー レモンビアテイスト」を、1杯480円で5月12日より提供したところ、1ケース20本がたった2日で売り切れてしまい、酒屋からの入荷待ちとのことだった。


大衆居酒屋で夏に向けて推せるドリンク。


「縁日」のPOP。


ハイッピー売切れ中。

「ホッピーの人気が定着してきたので試してみたのですが、まさかこんなに早く売り切れるとは思いませんでした。POPの効果も大きいですが、健康を気にする人が増えたのでプリン体ゼロも受けたのではないでしょうか」と吉田卓弘店長。

 同店では「ハイッピー」をジョッキに氷いっぱい詰めて、焼酎を入れて提供。すると「ハイッピー」は半分残るが、その分のお代わり焼酎をタダで出している。このお得感も大人気の要因だが、実はホッピーも同じ提供法で成功した。

 吉田店長は「ハイッピーはホッピーとは違った爽やかな味わいがあるので、新しいお客様を開拓できるのではないか」と、手ごたえ十分であると語った。


大衆居酒屋で夏に向けて推せるドリンク

 東京都三鷹市にある「エビス三鷹店」は、サブライム(本社・東京都新宿区高田馬場、花光雅丸社長)が経営する大衆居酒屋の王道を行く店。


「エビス」 外観。

 屋台の発想で初期投資を抑えるのが花光社長のやり方だが、4種類のスープで楽しむ「博多 牛モツ鍋」、4種類の味で楽しめる「手羽先唐揚げ」、新鮮でまったく臭みのない「馬刺し」を中心に、突出した専門料理が楽しめる、サブライムの快進撃を象徴する店である。

 この店では現在、「ウメ輩ハイボール」(390円)を提供。店内の内装には「ハイサワー」の提灯が一面に吊り下げられており、お祭りを連想させる。


「エビス」 卓上POP。

「店内の内装とマッチしており、夏に向けて必ず売れる商材ですよ」と料理統括の藤代氏は自信を見せている。

 なお「輩サワー」の表記は、昭和55年(1980年)に博水社二代目の手により誕生しました。二代目は「自分の作ったサワー」という思いを込めて「わが輩のサワー=輩サワー」と命名しました。


ビールで乾杯したあとの2杯目、3杯目に最適

 東京・六本木にある「あぶらぼうず六本木店」は、ヘンリーブロス(本社・東京都港区高輪、江嶋力社長)が展開する、漁師から直接買い付ける人気の鮮魚居酒屋。魚の鉄板焼メニューを扱っているのが、系列5店の中で特徴的。

 また、ヘンリーブロスでは漁業に親しむ若い女性を「うギャル」と名づけて支援しており、農業の「ノギャル」の漁業版。「うギャル」が漁船に乗り込んで獲ったサバなどを全店で提供している。

 同店では魚に合うお酒の1つとして、ウイスキーを「ハイサワーレモン」で割る「レモンハイボール」を出しているが、「とりあえずビールで乾杯したあとの、2杯目、3杯目として順調に売れている」(鈴木店長)とのこと。


「あぶらぼうず」 店内カウンターもお尻。


「あぶらぼうず」 一面お尻の店内。

 10杯以上飲む人も多い中、いろんなお酒を試したい顧客のよくオーダーするアイテムの1つとして認知されている。

 今回取材したいずれの繁盛店でも「ハイサワー」とその関連商品に多くの期待を寄せていることがうかがえる。斬新なPOP を使用した効果も現れている。飲み方提案にとどまらない博水社のアイデアに対する期待も高まっている。


<店舗情報>
●「和風ダイニング きざみ」南本八幡店
千葉県市川市南八幡4-7-13 シャンポール本八幡1F
電話:047-393-6101

●「食べる居酒屋 縁日」
神奈川県横浜市中区常盤町5-62
電話:045-222-7699

●「エビス」三鷹店
東京都三鷹市下連雀3-35-6
電話:0422-43-5995

●「あぶらぼうず」六本木店
東京都港区六本木5-9-22
電話:03-6698-3523


【取材・執筆】  長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年5月20日取材