フードリンクレポート
『タモリ倶楽部』で梅ハイボール人気。
ハイサワーはウイスキーにもマッチ。
『タモリ倶楽部』風のポスター。
・ハイサワーは“サワー”の元祖
甲類焼酎にレモンを搾ってタンサンで割る飲み方を考案したのは、1960年に開店した東京都目黒区のもつ焼き「ばん」と言われている。近隣でラムネ製造を行っていた博水社の2代目、田中専一氏(現会長)が、これに目を付けた。
また、田中氏は米国旅行で様々なカクテルが飲まれていることを知り、焼酎に合う日本のカクテルを作ろうと思い立ち、レモンと炭酸とレモンエッセンスをミックスした焼酎用の割材を1980年に商品化。蒸留酒を果汁で割るカクテル“サワー“に習って、田中氏は焼酎ハイボールを“サワー”と呼び、割材には“ハイサワー”と名付け商標登録。そして、酎ハイのもう一つの呼び方“サワー”が日本中に広まっていった。ハイサワーの“ハイ”は吾輩(わがはい)の“輩”に由来し、“オレのサワー”という意味。
現在のハイサワーの製造レシピは、当初と全く同じ。イタリア・シシリー島産のレモンを使い続けている。小さな島なのでトレーサビリティーも完璧。そして、安全・安心を重視し、HACCPをいち早く取得した最新鋭の工場で委託製造されている。
パッケージでも安全・安心を表示。
・美尻ポスター、がっつり飲み
博水社のユニークな点はそのマーケティング戦略。3代目は2人姉妹。現在、姉の秀子氏が社長。大手には出来ない中小企業を逆手に取ったアイデアで異彩を放っている。
アイデアウーマンの田中秀子社長。
『タモリ倶楽部』で人気となった梅ハイボールは、同番組のオープニング映像から発想した女性の美尻ポスターを作り、居酒屋から引っ張りだこになっている。「このポスター、かわいくないですか!」と田中秀子社長は嬉しそうに話す。
梅ハイボールのポスター。
昨年発売した「ホップ&レモン」。ホップとレモンの苦味で大人の味わいに仕上げた新しいハイサワー。焼酎を割ると、ビールのように泡立ち、ほろ苦い。カロリーオフ&プリン体ゼロ。このホップ&レモンの1Lペットボトルは焼酎ボトルをセットとし、1780円などで販売する居酒屋が増えている。氷を入れたジョッキでお客が自分で割る。5〜6杯飲め、割安と人気だ。店も手間が省ける。この飲み方を“がっつり飲み”と名付け広めている。ちなみに、ホップ&レモンは2代目が考案。しかし、ホップの入手が困難となり金庫に眠っていたレシピ。それを3代目が40年の時を経て復活させた。
「がっつり飲み」ポスター。
大企業が缶酎ハイを出し売上が低迷するなどの危機を乗り越えて来た博水社。したたかな生命力が不況の時代に勇気をくれる。焼酎の次はウイスキーの割材になろうとしている。
→株式会社 博水社