フードリンクレポート


「地球食」ラーメンが、子どもファンを獲得。
〜「寝た子を起こす」食体験。親子3代ファンを育てる“奇策”とは?〜(3−1)

2010.5.30
子育てにかける予算が、先進国のGDP比で最も少ない国の1つである日本。合計特殊出生率もG7諸国中最低。その状況を踏まえて生まれた子ども手当法。2010年3月に成立、4月より施行となり、今なおさまざまな論議があるが、6月より支給が開始される。一方、親子連れをメインターゲットにしたファミリーレストラン業界は不振が続いている。とはいえ、ファミリー層が飲食店から姿を消したわけではない。少子高齢化の中で、「顧客を育てる」という発想の食育事業が広がりつつある。3回シリーズの第1回目。レポートは水口海。


「一風堂」は5月5日、子供の日に「チャイルドキッチン」を開店。子供向けにラーメンやギョーザ作り教室をスタート。

「地球食」ラーメンが、子どもファンを獲得

 栄枯盛衰激しいラーメン業界。全国およそ4万軒、約1兆円といわれる市場の中で、1店舗あたりダントツの売上を誇るのが「博多 一風堂」。平均客単価950円だが、2010年5月現在、国内外に「一風堂」47店舗を経営し、2009年度売上高が78億円、前年比売上8.3%と勢いに乗っている。


一風堂の誇る豚骨ラーメン「白丸元味」。

 1985年にオープンし、その名の通りラーメン業界に一陣の風を巻き起こした「一風堂」。「店は舞台」として画期的な店作りを展開し、女性ニーズを掘り起こした。「女性が気軽に入れるラーメン屋」をコンセプトに、店内には木目調のテーブルを据え、壁はシックな黒をベース。また紅白の丼を使用。温かみのある接客で、女性を虜に。そして今、「一風堂」ファンの女性たちが店に連れてきているのは、子どもたち。
<続く>

【取材・執筆】  水口 海 (みずぐち うみ) 2010年5月18日執筆

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