フードリンクレポート


2007年9月、東京進出。
〜かっこつけるな! お客様に喜ばれる地域一番店を目指せ〜(7−6)
大山 敏行氏
株式会社イーストン 専務取締役

2010.3.15
米国大好きの大山兄弟は、1986年5月に札幌ススキノに「アルズ・バー」をオープン。前衛的クラブとして一躍注目を浴びた。しかしもっとたくさんのお客様に喜んでもらいたいと業態を転換。現在、イーストンは「イタリア居酒屋 クッチーナ」「焼鳥ダイニング いただきコッコちゃん」など大衆向け31店舗を札幌、仙台、首都圏で展開している。弟で専務の大山敏行氏にインタビューした。7回シリーズの6回目。


「焼鳥ダイニング いただきコッコちゃん」は船橋ららぽーとにも出店。

2007年9月、東京進出

 仙台に初出店してから3年半後、2007年9月に念願の東京進出を果たす。東京・成城学園前の「トラットリア ディ ホッカイドウ ミア・アンジェラ 成城」。北海道の厳選素材を使用した本格イタリア料理をカジュアルにトラットリア スタイルで提供する店。そして、同年10月には新規開業した商業施設、霞ダイニング(霞が関)にもプレミアム版の「リストランテ ディ ホッカイドウ ミア・アンジェラ 霞ヶ関」をオープン。

 東京進出と時を同じくして上場を計画するも、2008年9月のリーマンショックも重なり頓挫した。

「上場するために規則が厳しくなりました。ウチは規則がきつくなるとやる気がなくなるみたいです。2006年、07年と2年連続で赤字になり、内部留保がどんどん少なくなっていきました。上場さえしてしまえば大丈夫だと言われましたが、どんどん赤字になり、 店も閉めました。そして、上場するために来た人達が会社を去っていった。」

 そして、不採算店の立て直しをスタート。コンサル会社を入れたり、改善プログラムを実行したりで、2009年4月にようやく、昨年同月実績を超えた。その後も順調にプラスを続けている。特に東京・千葉は業績が良い。

 千葉・船橋ららぽーとTOKYOBAYに2008年5月に「鶏・卵・サラダ いいただきコッコちゃん」という焼鳥店をオープンさせた。イタリアンでは札幌は出店余地がなく、仙台もあまりないので、客層の広い焼鳥業態「焼鳥ダイニング いただきコッコちゃん」を開発。同業態の食に特化版を商業施設版をららぽーとに出店した。

「オープンしたら27坪で300万円くらいしかいかない。社長から東京に住んで関東の責任者になるように命じられました。結婚したばかりで新しい家も買ったところ。単身で東京に行けと言われ、外されたのかなと思いました。東京のマネージャー達と居酒屋で飲んでて、幹部が三人もいるのだから、東京を盛り上げないと存在価値が無い。」

「そして出てきたのが、地域一番店戦略。霞が関は霞が関に住んでいる人がいるから、その人たちにリピートしてもらえばいい。東京のスタッフはスカしている人が多かった。サービスはこうだとか言っているやつは首にしろ、札幌でやっているサービスをやればいい。ロブションでもグローバルでもなく、ウチはイーストンなんだ。店長に、お前のやりたいようにやれ、明日から変えていいと命じました。そうしたら『こんちわ、ハイ!2名様ですね』です。ご近所付き合いみたいなのがウケました。」

「ららぽーともショッピングセンターだと思うからだめなんだ。路面店だと思え。店の前で客引きしろと言いました。『怒られますよ』、と言う。でも、やって怒られたらいいじゃん。文句いいに行くから。高い家賃で客も集めてくれないで。1日客引きで50人くらい入れて、12月売上は前年130%増にもなりました。来てる人じゃなくて、働いている人を客にしろと言いました。商業施設なのに宴会も入って、かつては200万円程度だったのが、昨年12月は600万円にまで上がりました。商業施設なのに今は幟も出してます。」


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年2月3日取材