フードリンクレポート


ツイッター販促はインパクト重視で。
〜かつての「牛角」のように、突き抜ける業態で日本一の外食企業を目指す〜(5−2)
西山 知義氏  株式会社レインズインターナショナル 代表取締役社長CEO

2010.5.11
親会社レックス・ホールディングスが2007年4月、MBOにより上場廃止となり、しばらく表舞台に出なかった西山氏。最近、自社業態の告知目的でテレビ出演も始めるなどレインズの顔として存在感を高めようとしている。今年2月にはツイッターも始めた。西山氏は今や「外食事業に集中する」という。目指す、日本一の外食企業とは。西山氏が沈黙の3年を破って語る。5回シリーズの第2回目。


「牛角」三軒茶屋店は「西山盛り」で話題に。

ツイッター販促はインパクト重視で

 現在、ツイッター人口は500万人という。その中で西山氏は10万人のフォロワーを目指している。今は1日10〜20ツイート程度が日課。

 販促は、「牛角」三軒茶屋店の「西山盛り」に次いで、「しゃぶしゃぶ温野菜」六本木店で日曜日に2480円で食べ放題、「土間土間」東京と大阪の10店で飲み放題248円と、次々に打っている。

「ツイッター販促はフォロワーの方とのやりとりで、その内容が決まっていきます。どんな企画がいいですかと聞くと、こんなのどうですか、あんなのどうですか、と思いもよらないアイデアをいただいたりします。こういったやりとりの後、フォロワーの方の意見を踏まえて、社員と実施のタイミングなどを相談してから、企画内容を発表するとリツイートが広がりますね。今度はどの店でやろうかな?とつぶやくと、何々店でお願いします、とリクエストがきます。その中から、お答えできない店もありますが、そこはお詫びをして、、今回はここでやります、と返答する。このフォロワーとのやりとりが新鮮ですね。フォロワーの方たちも自分のアイデアが実現することも含めてツイッター企画を楽しんでいただいているようです。」

「ツイッターでの販促は太っ腹感でインパクトを感じていただけるようにしています。太っ腹感を出しつつも絶対に原価割れはさせません。企画が決まってからのお店への連絡も牛角や土間土間のアカウント上で、私と社員たちとのやりとりを見ていただいています。お店の準備は大丈夫?、上カルビきらすなよ、とか。こういった普段は見えないやりとりも見ていただくことで、フォロワーの方に安心して楽しんでいただけるようにしています。」

「クレームもいただきます。予約をしようと店に電話したんだけど誰も出ないとか、社長はこう言ってたのにお店ではできていない、といったこともいただきます。そういったときは、ごめんなさい、今確認します、と返します。自分からすれば、当たり前のことなのですが、社長が予約の確認までしてるよ、とお客様は驚いていますね。

「昨日、牛角の上カルビを食べてもらいたい、とつぶやきました。BSE以降、それまで使用していた米国産を出せなくなって、豪州産の肉に切り替えてから、肉が美味しくないと言われ、辛かった時期が続きました。環境が整って、今年の3月のメニュー改定で昔と同じ商品を同じ価格で出せるようになっても、まだまだそれがお客様に伝わっていない。だから、食べてもらいたい、と書きました。すると、社長がそこまで言うなら今晩食べに行きます、そういうことだったんですね、と返ってくる。ツイッターを通して、伝えたいことが伝わる。自分が直接伝えられるこういったやりとりは、ツイッターならではのものだと思います。」

「ツイッターの販促は店の原価を上げていますが、広告費はかかりません。フォロワーが10万人ともなれば、全店の売上に反映してくるのではないかと思います。始めて2ヶ月ですが、目に見えないものが蓄積されているのを感じます。携帯販促では、メールを送る度に読者が減ってしまうが、ツイッターのフォロワーが減らないのは、販促だけじゃないからです。」


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年4月6日執筆