フードリンクレポート


ドンペリを2011本用意。
〜忘年会シーズンの勝ち組はどこ?大手各社のプランとトレンド〜(2−1)

2010.11.21
飲食店にとって、一年で一番狙って取りにいかなければならない忘年会。昨年ほどの不況感はないが、企業の交際費カットや低価格化の波で、引き続き苦戦が予想されている。日取りが悪く短期集中型になりそうなのも今年の特徴だ。そんな中、外食大手各社はどんな手を打っているのか?業界のトレンドと共に探る。2回シリーズ。レポートは村田麻未。


早期に忘年会予約を獲得するには?

ドンペリを2011本用意

 早期予約を確保したいと、飲食各社は企画を打ち出しているが、その特典にドンペリを用意したのはグローバル・ダイニング。翌月のコースを予約、つまり早期に予約すると、会計70,000円毎にドンペリ1本をプレゼントするというもの。しかも、2011年にちなんで、2011本を用意。「ドンペリニヨン・フェア」と名付けられたキャンペーンでは、早期予約の特典用のみならず、店舗にて特別価格(グラス1,500円、ボトル13,800円)で提供もする。

 グローバル・ダイニング広報の齋藤氏によれば、「認知度の高い、かつ特別感のあるドンペリをご用意し、華やかな企画にしました。不況の感はまだ拭えませんが、年末カウントダウンイベント、他企業タイアップのイベント・フェア等でさらに盛り上げていきます。」と意気込む。2011本ものドンペリを用意するあたり、太っ腹で気持ちがいい。ドンペリというわかりやすく、豪華な特典は、年末年始のパーティーシーズンにぴったりの企画ではないだろうか。

 ワタミフードサービスでは、「早得ワタミ夢くじ」を実施。12月の宴会コースを12月9日までに予約すれば、当日に参加できる抽選で1等が出ると宴会がなんと無料になるという企画だ。過去2年も行ったこの夢くじだが、1等が無料になるというのは初めて。広報によれば、「店側としては、年に一度、皆様にはしっかりと忘年会をやっていただきたい。そして、せっかくの忘年会ですから、楽しんで頂きたい。その場の抽選で盛り上がって頂きたくてこのような内容にしました。」店の心意気が伝わる、利用者にとっては嬉しい企画だ。


店側の演出が予約獲得につながる。

 低価格居酒屋の台頭で苦戦を強いられている居酒屋業態では、2軒目、3軒目利用に特化し、常連を囲い込んで差別化を図るチェーンもある。低価格競争で真っ向勝負をし、身を削っても先が見えているからだ。

 パブ業態展開する株式会社HUBの広報駒田氏によれば、「今年の忘年会シーズンの方針は、パブ営業でしっかり売り上げを上げることです。2軒目、3軒目に利用していただくお客様を確保したいと思っています。」とのこと。そのために、年間通してメンバーズカード(入会500円で一年間有効。毎回の会計が5%オフ+ポイント特典有り。)を持つ会員の獲得を強化。入会金無料キャンペーンなどを行い、半期で例年の2倍以上の新規会員を獲得し、会員数は2010年8月に過去最高の全国で7万人に達した。

 来店時には積極的にコミュニケーションを取るように心がけ、常連化に努めている。そして、プラン内容も飲み放題プランのドリンクの種類を大幅に増やして、カクテルは70種類を用意。常連客を増やした上での、2軒目以降の利用に注力している。


【取材・執筆】 村田 麻未(むらた あさみ)  2010年11月19日執筆