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ビールにお酢?新しい発想の変わり種スタイル。
~“とりあえず、生”はもう古い?ビールニュースタイル~(3-3)

2011.7.8
梅雨明けし始めそろそろ夏本番。ビールがさらに美味しくなる季節がやってきた。ビールといえば、「とりあえず、生!」が定番だが、最近はビールを新しいスタイルで提供する店が増えてきた。ビールのニュースタイルに注目だ。3回シリーズ。レポートは村田麻未。


お酢を入れて飲むビールも登場。

・ビールにお酢?新しい発想の変わり種スタイル。

 ビールの泡だけを使うニュースタイルもあった。プロントでは、7月1日からジャック・ダニエルのキャンペーンを実施している。16時からのおつまみとのお得なセットや、ジャック・ダニエルを使ったカクテルを“SUMMER JACK”として提供しているのだが、そのSUMMER JACKの中の「クリーミー・ジャック」がそれだ。


「プロント 東銀座店」。ハッピーアワーやハイボール、女性をターゲットにした「プロン女」など様々なプランを打ち出しているプロント。


“SUMMER JACK”立て看板。

 この「クリーミー・ジャック」、ジャック・ダニエルのソーダ割りの上に、プレミアム・モルツの泡だけを乗せたカクテル。その名の通り、クリーミーなビールの泡を楽しむカクテルになっている。


「クリーミー・ジャック」メニュー。


「クリーミー・ジャック」(580円)見た目は、氷が入ったビールのよう。


きめ細かい泡がきれいに乗せられていた。

 口に入れると、最初は泡を、そしてウイスキーと程よく溶け合った泡、最後はウイスキーのソーダ割りが順に味わえる。純粋なビール程すぐに泡が液体と一体化しないので、確かに泡を楽しむいい方法だ。ウイスキーの風味と泡から来るビールのほんのりとした味わいが、うまくマッチしていた。サーバーを使えば手間もかからず、面白いビールのアレンジとなるのだ。他のドリンクにも応用できそうである。


 健康志向の人々に受け入れられそうなのが、お酢を使ったビールのニュースタイル。老舗のお酢醸造メーカー内堀醸造が展開するお酢専門ショップ「OSUYA」では、お酢を入れたビールを提供している。日本で唯一の“酢ムリエ”として商品開発を行っている、同社の内堀光康がプロデュース、昨年オープンした銀座三越新館1階のショップでは、ローズヒップの酢を使った「エキスプレスビール」(380円)、ジンジャービネガーを使った「ジンジャービール」、季節限定のお酢入りビールを用意している。

 まず、グラスに20ml程お酢を入れ、そこへビールを注ぐだけ。今の時期の季節限定ビールは、暑い季節にさっぱりとする梅の酢入りビール(380円)。結構酸っぱいが、少し甘い酢が加わることで、味に深みが出て、お酢らしく後味はすっきり。


お酢を入れたグラスにビールを注ぐ。ビールはアサヒスーパードライ。


季節限定ビール「梅の酢入りビール」(380円)

 この店では、スタッフがお酢選びのアドバイスを丁寧にしてくれ、多数試飲ができる。常時15~16種類のお酢を取り揃えているそうだ。


試飲し、好みのお酢を選べる。 

 お酒に合う酢も、ビールだけでなく、焼酎、赤ワイン、白ワイン、ウイスキー・・・とそれぞれに提案されていて面白い。スタッフに聞いたところによると、ビールに合うお酢は、レモンなどの酸味が強いものよりも梅やオレンジなど、多少甘みもある物の方が合うということだった。


お酒ごとに提案されているお酢。

 ビールは特におすすめとして、ビールに合うお酢をブレンドした専門のビネガーが商品化されている。りんご、グレープフルーツ、オレンジ、ローズヒップのお酢に、りんごやオレンジなどの果汁も加わったお酢。なめらかな口当たりと、爽やかな風味が楽しめる。このビネガー20mlに対して350mlのビールを加えるのが目安だ。


ビール割り用ビネガー。

 泡だけを使ったり、お酢を入れたりと、新しい発想のビールを使ったドリンクも登場している。これから夏本番。ビールニュースタイルは、ビールファンのみならず幅広い層の注目を集めそうだ。

 

【取材・執筆】 村田 麻未(むらた あさみ) 2011年7月7日執筆