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名古屋の手羽先を全国区にした。
「世界の山ちゃん」
(東京・新宿/居酒屋)
第26回 2011年6月27日「あの店最近空いているらしいよ。全然予約が取れなかったのに。」「利益××%増ってニュースで見たけど、本当?」・・・たくさんの噂が飛び交う飲食業界。誰もが気になる、実際のところどうなの?を潜入レポート。噂の店の真実に迫る!

名古屋発で、2003年に関東に初出店以来18店舗店を展開する。
気付けば関東に18店舗を誇っている「世界の山ちゃん」。その関東第一号は川崎砂子店から始まった。2003年の8年前からその歴史を関東で繰り広げて来た、その名古屋名物甘くて辛くて病み付きになる「手羽先」が、名古屋で産声を上げて今年で30周年を迎えた。名古屋に行けばご当地グルメとして大小様々な店のいろんな手羽先屋があるだろうが、全国に広めていく先駆者的存在となっているのがこの世界の山ちゃんなのだ。その節目の味を探りに行って来た。

銘々皿とお箸。
選んだ店舗は「世界の山ちゃん新宿靖国通り店」。都内は華やかな飲食店であっても、節電ムードは変わらない。いつもならはっきりとライトがつくサインも、オープンしている時間にも関わらずついていなかった。特に新宿という場所柄、ネオンの記憶とのギャップが激しいが、地下2Fのドアをくぐると中央に位置する厨房から、「いらっしゃいませ!」と、赤いTシャツのユニホームに包んだ若いスタッフたちが一斉に声を上げた。
節電も吹っ飛ばすこの元気、こっちまで笑顔になった。
喫煙か、禁煙か?と聞かれ、席に案内された。その数十歩の間に、スタッフは“120番テーブルにお客様ご案内です~。”と、216席ある店内に響き渡る声で言う。ハウスルールなのだろう、新規客が入る度にその声が店内に響き渡る。
席は半個室をイメージされていて、隣の客がまったく見えない作りになっていた。当然スタッフも見えないので、注文はすべて呼び鈴を鳴らす。その都度、手の空いているホールスタッフ、もしくは近くにいるホールスタッフがポスを持って来るのだが、この時来た若いアルバイトのホールスタッフのユニフォームの着方がだらしないのが、気になった。「お待たせしました。ご注文をどうぞ。」という滑舌が良いだけに残念だった。

オリジナルのグラスに入って出て来るビール。
全国で69店舗を展開するこの店は、いたるところにロゴマークが入っている。ジョッキグラスにも入っていて、「世界の山ちゃん」にいるのだという気持ちをくすぐられる。
そして、一口喉を潤したころに、手羽先(「幻の手羽先」1人前5本400円)が運ばれて来た。この絶妙な配膳は、名古屋っ子の心意気を感じる。しかし、この時になってもスタッフはおしぼりを持って来る気配がなく、リクエストし持ってきてもらった。出し忘れを詫びながら、袋に入ったまま差し出してくれたが、既に手が手羽先で汚れていたので、袋から出してくれるホスピタリティがあっても良かっただろう。

「冷やっこ」(230円)と「枝豆」(310円)
名古屋カラーを打ち出した「みそかつ」「あんかけスパゲティ」をはじめ、居酒屋らしいメニューがずらりと並ぶ。店長おすすめという刺身が半個室の壁に写真付きのチラシで貼られていた。その他の印刷物も壁には貼られているのだが、メニュー、チラシ、ポスター等の統一感がなく、内容もあまり特徴がなかった。30周年のメモリアルイヤーだと言われなければわからないほど、それすらも扱いが小さいのがまた残念だった。
世界の山ちゃんが運営する居酒屋であるべきで、居酒屋に世界の山ちゃんの手羽先があるでは本末転倒だろう。それは、ロゴマークが入った食器ではカバーしきれるものではないはずだ。せっかくブランドとしての知名度も上がったのだから、もう少し世界の山ちゃんらしい主張があって欲しい。

食事中に依頼されたアンケート。
店を向上させるためにご協力をとの要請はわかるが、なぜか、そのお願いをするタイミングが食事をしている最中だった。客が落ち着く頃を見計らってということなのだろうか。しかも、お願いをするスタッフが客へのアンケートのお願いを嫌がってい様子で、さらに疑問が残ってしまった。
店にとって客が意見をくれることくらい大事なことはないだろう。スタッフが誇りをもって「30周年を向かえた当店が、これからもご満足いくお店にしていくために、是非ご協力を!」というスタンスが伝われば、客から気持ちよく率直な意見をもらえるはずだ。しかも、客層は新宿副都心で切磋琢磨するビジネスマンと、畑は違えどアパレルや物販の接客業の人たちだ。この客層は店のレベルを見抜く人たちだろう。
私が予々素晴らしいと思っているのは、世界の山ちゃんが提供する「手羽先」だ。なぜなら、全国に誇れる面白い地方食文化と個性なのだから。それを継承し、さらに多くの人がこの手羽先を定期的に食べたいと思わせる店になってもらえたらと願う。
■店舗情報
「山ちゃん 新宿靖国通り店」
営業時間 pm5:00~am0:15
定休日 無し(年末年始は除く)
住所 東京都新宿区新宿5-17-11白鳳ビルB2F
TEL 03-5272-3555
http://www.yamachan.co.jp/index.html
【取材・執筆】 ROMAKO 2011年6月23日執筆
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