小売業では今までなぜ問題にならなかったのかとの反響。
〜混迷するロース表示問題。正しいのは消費者庁か焼肉業界か?〜(4−4)
ロースの語源は英語のroastで焼いて旨い肉といった意味だった。
・小売業では今までなぜ問題にならなかったのかとの反響
食肉流通では、焼肉業界の「ロース」表示をどう見ているだろうか。
全国の小売店6146店舗を傘下に持つ、全国食肉事業協同組合連合会では、「焼肉屋と肉屋では感覚が違うのでしょうが、正しい部位を売るようにと厳しく言われてきた自分たちからすれば、なぜ今まで問題にならなかったのかが不思議でしょうがない」とのこと。
巷のスーパーが「ロース」と表示してもも肉を売ったならば、直ちに食品偽装として社会問題になるであろう。肉の小売業者には、BSEや輸入肉を国産と表示する偽装問題が表面化した2000年代初頭からは、特に厳正な販売を心がけ、消費者の信頼を回復してきたと自負がある。
スーパーではロース部位の肉が「ロース」。かた部位は「かた」と明確に区別されている。
最近では焼肉店でも肉をカットする技術に長けた人が少なくなり、枝肉で買うのは減少傾向にあるそうだ。あらかじめカット業者が切り分けた肉を買っているのであり、同じ部位の肉が、小売店に行けばもも肉となり、焼肉店に行けば「ロース」になるといった珍妙な現象が起こっていると、全肉連は指摘した。
部位としては、一般にロース肉の卸値はもも肉はよりも3割くらいは高い。同じもも肉が焼肉店では「ロース」の高級イメージで提供されているのは、どうにも納得できないというのが、小売サイドの意見の大勢であるようだ。
「しかし、もも肉であってもロースに近い部分では、ロースと味が似てくるのです。肉は切り方によって味が変わってきますから、上手にカットしたロースに近い部分のもも肉をロースと表示して出したとしても、違いに気づく消費者はほとんどいないでしょう。カットの技術と部位とは区別して考えています」。
一方で、JAS法の権限を持つ農林水産省では、外食がJAS法の適用外であることもあって、焼肉業者に同情的だ。
★続く。
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