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次に流行るお店  *バックナンバー

缶詰メニューと飯盒ごはん、
ハイテーブルで炭の囲炉裏を囲む。
「□(KAKOMU)」
(東京・恵比寿/大衆囲炉裏酒場)

第305回 2010年2月23日

飯盒メニュー。
「□」と書いて「KAKOMU」。恵比寿駅から徒歩3分の立地に、全く新しいスタイルの囲炉裏酒場が昨年末の12月21日にオープンした。運営は株式会社野口堂(代表取締役 野口朋広)。

「カコム」という、店名にも使われたこの言葉には同店のコンセプトが詰まっている。「囲炉裏を囲む」というスタイル、囲むことで生まれる会話。それぞれの囲炉裏ごとの配置も絶妙な距離感で隣の「囲む人達」とまた新たな会話が生まれるような配慮と仕掛けがさりげなく感じられる。単に飲食をする場にとどまらず、コミュニケーションツールとして店舗全体が最大限の力を発揮するような空間に仕上げられている。


窓際の席。

 トータルコンセプト及びデザインを手掛けたのは株式会社スタジオナガレ。(本社・千代田区紀尾井町/代表取締役・横井 貴広)。同社は活動開始からわずか3年でデザイン賞を受賞し、数多くの飲食店や商業系空間をデザインしてきた急成長中のデザイン集団。作り出すものは全てアイデアの結集で過去に例がないものをゼロから形にしていく。

 店のいたるところにも、斬新でセンスの光るアイデアが随所に垣間みられる。「和バル」という業態コンセプトがベースにある中で「何か店内に吊るすものはないか」と考えていたところ、スタッフの一人が持ってきた一枚の写真は「寒い冬の北海道、軒下にぶら下がる鮭とば」の写真であった。それを見て「これだ!」と、天井からは鮭が吊るされているのだ。 

 又店内の壁は50cm四方ほどの正方形の木の板が貼り合わせられているが、その板の間に「馬の毛皮」が数枚配されている。それはアクセントとなって、程よい上品さを漂わせる。


外観。


店内への階段。


店内。


馬皮の壁と吊るされる鮭とば。

 吊るされている鮭とばはオーダーごとに削られ、炭火であぶっていただく。あったかい囲炉裏の火と炙りものの程よい塩味はまたお酒もすすむ。


「炙り盛りあわせ(鮭とば・ホタルイカ・えいひれ)」 780円。

 炭火の焼きメニューに加えて、囲炉裏を囲む看板メニューは「缶詰メニュー」と「飯盒料理」。缶詰はシェフのひと手間が加えられて提供される。缶のまま直に炭火で温めて、アヒージョ風にいただくスタイル。バケット(250円)との相性も抜群。「トマトソース缶DEグリル野菜(630円)」はキャンベルのトマトスープ缶を使用し見た目もかわいらしいテイスト。牛肉大和煮炙りチーズ(580円)は、とろけるチーズと緑の万能ねぎがトッピングされ彩りもよくコクのある一品。


牛肉大和煮 炙りチーズ(580円)とバゲット(250円)。


缶詰メニューのバリエーション。

 飯盒を用いた料理は、季節野菜を中心にそれぞれに相性のよい肉や魚を組み合わせたスープ仕立ての各種と、〆に人気の「飯盒ドライカレー(950円)」など。

 一番人気の「ラムチョップ 男爵芋と小蕪(1480円)」は味付けにブランデーとバニラビーンズを使用していて本格的な味わい。飯盒のカラーも赤や青などカラフルでそれを囲むだけで、なんとなく懐かしい気分であったり、キャンプの時のワクワク感であったりを感じることができる。

一方でドリンクの最大のこだわりが、店内に6台設置された酒自販機。復刻版で、同店のオープンのために新規で作ったもの。購入方法はまず、1,000円で専用のコイン5枚をスタッフからもらい、自販機にてコイン1枚で一杯を。焼酎、日本酒、ワインなど幅広いメニューが選べて直接注ぐ楽しさと、一杯200円という安さは大きな魅力。


酒自販機。


酒自販機にコインを入れる。

 グラスワインは氷一杯のジョッキに注いで飲むスタイルの「長野井筒かち割りワイン(赤・白)380円」や、今の季節に心も体もあたたまるホットワイン(525円)などを提供。ボトルワインも国産からニューワールドのものまで幅広くそろえていて価格は2000円台からとリーズナブル。

 料理とお酒が手ごろな価格で楽しめ、それでいて「大衆囲炉裏酒場」とうたうにはお洒落でシームレスな空間は会社帰りの一杯に毎日でも足を止めたくなる恵比寿の落ち着ける一軒となりそうだ。


【大衆囲炉裏酒場 □ 〜カコム〜】
住所 東京都渋谷区恵比寿西1−3−9 2階
電話番号 03-3780-8240
営業時間 18:00〜翌3:00
定休日 不定休
客席数 着席30席 立食40人
客単価 3,000円
目標月商 非公開
開店日 2009年12月9日
経営母体 株式会社野口堂
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
国井 直子(くにい なおこ)     2010年2月7日取材

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