フードリンクレポート


「熟成三十年カリーライス」「絶品醤油オムライス」500円。
〜札幌の有名シェフが全国進出。カレーからスイーツ、人気せんべいまで幅広い領域で躍進中〜(4−2)
株式会社YOSHIMI 代表取締役 勝山ヨシミ氏

2010.11.18
札幌の有名シェフが、洋食、カレー、スイーツ、ジュースバーと幅広い業態を次々と成功させ、全国展開を加速させている。リテールでは昨年発売した「札幌カリーせんべい カリカリまだある?」が大ヒットし、月商1億を超えるビジネスに成長。カレーがJALの国際線機内食に選ばれるなど、店舗経営に留まらず躍進するYOSHIMI。これまで全国メディアで語られなかった、その躍進の秘密について勝山ヨシミ氏本人に聞いた。4回シリーズ。レポートは村田麻未。


「熟成三十年カリーライス」と「絶品醤油オムライス」。共に500円。

「熟成三十年カリーライス」「絶品醤油オムライス」500円

 洋食業態のレストラン「ヨシミ」は軌道に乗り、その噂を聞きつけた札幌パルコの担当者からのオファーがあって、2002年、2店舗目となる「ヨシミキッチン 札幌パルコ店」をオープンする。その店も瞬く間に人気店となって、同じ札幌パルコ内に新たな業態、スープカレーの店「札幌カリーヨシミ 札幌パルコ店」をオープンさせた。


スープカレー業態「ラ メゾン ド カリー クゥー」(札幌パルコ内)。

「実は、個人的にはあまりスープカレーは好きではなかったんです。その頃流行り始めていたスープカレーは、スパイシーでとんこつベースの、ガツンとくる男性的な味だったので。そこで、自分の好みに合わせて工夫をしました。スパイスは控えめ、スープはチキンブイヨン。このあっさりとエレガントな味が女性の支持を受けた様です。今では、スープカレー業態のお客様の85%が女性客です。」

 店舗の内装や打ち出し方も、男性的なイメージの強い他のカレー専門店と異なり、女性向けだ。そんなコンセプトがパルコという女性客が中心の商業施設の特性ともよくマッチ。このスープカレー業態もヒットし、札幌パルコ店に続いて、池袋パルコ店、名古屋パルコ店と展開していくことなる。

 さらに、YOSHIMIの定番であったカリーライスとオムライスの2つを看板に掲げた業態「カリーライスとオムライス」をスタートさせる。現在、福岡パルコ店、三井アウトレットパーク札幌北広島店、札幌北洋大通センター ビッセ店の3店舗を経営。レギュラーメニューである「熟成三十年カリーライス」と「絶品醤油オムライス」は、500円という手頃価格(店舗により料金が若干異なる)で提供している。

 カレーは、長年勝山氏がこだわって作り続けているメニュー。「熟成三十年カリーライス」という名前については、「30年かけてこだわって辿り着いた味なので、30年と付けました。商標登録もされているんですよ。年数を入れるとさらに美味しく聞こえるでしょう?(笑)」と勝山氏。そして、味はスパイシーでありながらもどこか馴染みやすいのは、隠し味には醤油だしが使われているからかもしれない。


人気メニュー2つを組み合わせた業態「カリーとオムライス」。


「カリーライスとオムライス ヨシミ」福岡パルコ店。

 そして、オムライスは、「絶品醤油オムライス」と言う名前から分かる通り、和風なのである。これも、勝山氏自身の好物から発想を得て開発されたメニューだ。通常のオムライスがケチャップライスであるところ、醤油バターで味付けしたライスが卵にくるまれているのである。


「ぷりぷりエビときのこのクリームソースオムライス」(850円)

「子供の頃、目玉焼きに醤油をかけて食べるのが大好きでした。それと、バター醤油でご飯を食べるのも。まだバターが高価な時代でしたから、母親に怒られましたけどね(笑)。そこから、オムライスも醤油バター風味だったら絶対美味しいと思いました。」

 誰もが経験したことのある味であり、美味しいと思える味をカリーライスやオムライスで表現したのだ。自らの確かな味覚と感性を武器に、新メニュー、新業態の開発を行ってきた勝山氏である。


【取材・執筆】 村田 麻未(むらた あさみ)  2010年11月8日執筆