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【仙台・福島特集】
加盟金を下げて、東京で200店を目指す。
〜“仙台ホルモン”で東京進出する「ときわ亭」〜(2−2)
加藤栄一氏 株式会社常盤食品 代表取締役

2011.2.22
豚ホルモンの“仙台ホルモン”を名物にFC展開を進める「ときわ亭」。2005年に仙台・一番町に出店した1号店が大繁盛店となり、現在は直営・FC合わせて19店を展開する。今年3月には東京・中目黒に出店予定だ。食品バイヤー出身の同社社長、加藤氏に聞いた。2回シリーズ。レポートは安田正明。


茶系のシックなデザインで家族連れも惹きつける。

加盟金を下げて、東京で200店を目指す

「ときわ亭」の内装は、通常のホルモン店のような原色系ではなく、茶系のシックなデザイン。居酒屋というより食べ物屋を意識している。それにより、繁華街店はサラリーマン・OL客だが、郊外店は家族連れを惹きつけている。

 標準店は15坪で7テーブル。客単価2700〜2800円。月商は約220万円。営業利益は約3割。初期投資は700万円、ロイヤルティは3%。個人で出来るレベルで、ラーメン店や焼肉店からの転向も多い。

「従業員は最大で4人の計算。それ以上はかかりません。仕入れは売上に比例するので、損益分岐点は100万円。1日3万円」と敷居の低いFCとなっている。


本店のメニュー。

 しかも、競争力が強く、近くに有名焼肉店やホルモン焼店が出店してきても勝てるという。東京は牛ホルモンと比べて、「ときわ亭」は毎日食べても飽きない豚ホルモン。しかも小規模なので利益も調整しやすい。

 ホルモンはアウトソーシングする専用工場(宮城県大崎市)で加工。当日の午前中に処理された、宮城・山形・岩手県産の鮮度の良い朝採り豚ホルモンが運ばれ、手作業で丁寧に冷水で洗浄した後、氷でしめ、零温熟成され、各店舗に配送される。ホルモンは鮮度が命で、日本一の鮮度を目指している。

 コンロも火力が強くて均一に早く焼けるガス火に拘る。炭だと時間がかかるし、焼きムラがでる。コンロは強い火力を発揮できるよう独自に開発したもの。


独自に開発したガスコンロ。

 商品開発は加藤氏が行っている。タレは仙台の味噌・醤油を使いPBでメーカーに製造委託。ハイボールに使う柚子は、生産できる最北限のものを使う。金華豚と国産黒豚を交配させた希少な敬華豚も使ったり、牛タンのテールスープでお馴染みのテールを焼いて食べさせる「牛テール焼」など。食品バイヤーならではの食材ルートを知り尽くしたメニュー開発が他店との競争力を高めている。

「東京のホルモンチェーンは必ず牛で脂っこい。何度も食べられない。東京では余裕で勝てると思っています。私が初めて豚の塩ホルモンを食べた時、これだ!と衝撃を受けました。毎日食べても食べ飽きない。しかも、無性にビールが飲みたくなる(笑)。」

「東京で200店くらい作りたい。外部を活用して本部は小さくてよいので、加盟金を凄く安くすることを考えています。例えば無料。ゼロ円パッケージが出来たら画期的ですね」と大胆なアイデアを持つ。新しい商材“仙台ホルモン”が面白い。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2011年2月16日取材