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フードリンクレポート


クリーンな分煙で喫煙も可。ストレスを抱えず自由に生きて健康になりましょう。
福政 惠子氏
株式会社アクアプランネット 代表取締役

2009.3.31
副都心線池袋駅に3/26、東京メトロの商業施設「エチカ池袋」がオープンした。商業施設を中心にベルジアンビア・カフェ業態を展開するアクアプランネットも出店。スパイスをテーマとしたビストロカフェ新業態「エピスカフェ シェフズキッチン」。そこには、新開発の排気装置を備えた喫煙スペースを設けた。禁欲的ではなく、「自由にポジティブに生きて健康になりましょう 」という福政氏のメッセージが込められている。


開業直前の「エピスカフェ シェフズキッチン」にて、福政惠子氏。

スパイス料理で体の中から元気に

 店名の「エピス」とはフランス語でスパイスの意味。福政氏は、「ビストロ&ビアカフェ カンカル」(名古屋・JRセントラルタワーズ)出店時にスパイス使いの素晴らしい日本人シェフと出会い、スパイスへの興味を強めたという。「カンカル」とはブルターニュ地方の地名。大西洋に面し、海のスパイスロードのヨーロッパの玄関口。 ブルターニュ出身のシェフはスパイスの使い方が上手いと言われている。今、パリで人気の「ネオビストロ」。高品質の素材を高い技術で調理し、適正な価格で提供するレストラン。そこでは、 ブルターニュ出身のシェフが多く働いている。

 スパイスというテーマを温め続けて出店したのが、「エピスカフェ シェフズキッチン」。


副都心線池袋駅のエスカレーターから店が見える。


デリの「シェフズキッチン」


「エピスカフェ」外観


「エピスカフェ」のメニューイメージ。

「アクアプランネットは“リビングウェル(よりよく生きる)“をテーマとして、教育・美容・外食事業を行っています。外食では、美味しく楽しく食べることまたそのための空間づくりでリビングウェルを追求しています。 美味しいものかつ体にいいものを積極的にとって 体の中から元気になっていく。それがスパイス。美味しくするだけでなく、体の血管を中からきれいにしたりや、抗酸化作用等もあります。中国で言う薬膳です。美容にもいいし、効能が沢山あります。美味しく食べて健康になって、きれいになれる店が、『エピスカフェ シェフズキッチン』です」と、福政氏。

「あれだめ、これだめと食べることに強いストレスを持ち込むと人はかえって不健康になります。メタボ対策という発想じゃなくて、例えばチリやマスタードでポジティブに代謝を上げていく。ダイエットするにしても代謝が悪い人は代謝せず老廃物が残ってしまうし、良い人はもっと代謝しますし、体の中から元気になっていきます。それを助けるのがスパイスです。スパイスを上手く取り入れると代謝が良くなります。胃の調子も良くなります。食材とベストなスパイス使いそれを上手く組み合わせて、美味しいものをちゃんと食べて代謝も良くして健康な体を作っていくことが正しいと思います。」

 同店は、店内で食べるカフェと持ち帰りのデリの2つの複合店です。ビストロカフェメニューは店内の厨房で調理しますが、デリは同社のベルジアンビア・カフェ「アントワープセントラル」(丸の内)、「アントワープシックス」(銀座)、「アントワープポート」(赤坂)、イタリアン「イル・デジデリオ」(青山)の4店で作られたものが毎日届けられます。各店のシェフ自信の本格フレンチやイタリアンのデリカテッセンです。しかも、100%自家製。


タバコを吸うことで精神的に落ち着く人もいる

 アクアプランネットは、全店が分煙。「エピスカフェ シェフズキッチン」ではユニークな分煙システムを導入した。通常は天井から床に空気を吹き付けるエアカーテンでタバコの煙を遮断するが、同店では逆に床から天井に吹き付けて、天井のダクトに煙を吸わせる。それにより、全62席の内、18席で喫煙スペースを作った。


奥の低いガラスで仕切られた18席が喫煙席。


喫煙スペースを取り囲む送風口。下から天井に向かって風を起こし、タバコの煙を天井に押し上げる。押し上げられた煙はダクトに吸い取られる。

「全面禁煙の店は 今のところ弊社の店舗では存在しません。私自身は、煙草を吸いませんが吸わない選択、吸う選択を考えてしていくのは個人の嗜好の問題であり、吸いたくない人は吸わなくていいし、吸いたい人は吸えばいいと思います。ただ、吸う人は吸いたくない人に迷惑をかけてはいけない。同じ嗜好品であるアルコールを売っている店でタバコはダメというのは成り立たないような気がします。」

「アルコールを主に扱う店では、今後もクリーンな分煙ができるところは分煙でいきたいと考えています。喫煙スペースがないとしても吸えるスペースをどこかに作りたいと思います。本格イタリアンの『イル・デジデリオ』でもお料理を楽しんでいただくために店内客席は禁煙ですがカウンターでは吸うことができます。」

「ヒステリックにあれはだめ、これはだめというストレスの溜まる採らない健康を目指してはいません。ストレスを溜めず体に良いものを採ることで積極的に代謝を良くしていく、 ポジティブな人間作りが基本です。精神的にリラックスをすることができ、そしてタバコを吸うことでストレスとのバランスを保っている人もいると思います。ストレスを溜めるような禁欲的な健康はやめましょう、自由に生きて、本来人が持っている自浄作用を活かし健康になろうがテーマです。」

「フランスのカフェが店内禁煙で面白くなくなったと聞きます。外のテラスでしか吸ってはいけない。昔のカフェ独特のけだるさ、往年の雰囲気がカフェから消えた。それで、カフェに飲みにもいかなくなっている。カフェの文化は消えつつあるそうです。縮こまってテラスで吸っている。カッコよくタバコの煙をくゆらし文化人たちがカフェを舞台に交流を広げていったのは昔の話になったそうです。」

「片やスパイスを使った料理で健康を謳い、片や喫煙スペースで不健康というのは矛盾するように思われますが、精神性も考えると私の中では矛盾はしていません。強制されるのではなく選択する自由が残されていいと思うのです。ただ、わざわざ吸えるとは表にうち出しません。灰皿も最初から置いておくようなことはしませんしランチタイムはALL禁煙です。」


デリでデパ地下出店を試す

 初期投資のかかる本格的なレストランを出店しつづけてきた福政氏だが、景気の低迷とともに持たざる経営にシフトを始めた。その試金石となるのが今回のデリ。

「持たざる経営もやっていきたいと思います。常に初期投資のかかる箱づくりをしていくのは経営的にも負荷が大きいです。フラッグシップとなる店舗があって、別にセントラルキッチンを持ちたいと思います。セントラルキッチンは地方に作れば施設費は安く済みます。その分、食材にお金をかけられます。それを全国配送する。デパ地下もいつかは考えていきたいと思います。今回はそのための実験ラボ店です。デパ地下はセントラルキッチンがないと供給できない。しかし、セントラルキッチンの投資分を回収するためには複数出店しなければならない。思ったより負担になるかも知れません。デパートからの引き合いもきています。」

 カフェは月商1千万を見込みますが、デリは月商3〜4百万円と低め。デリには売れ残りのリスクがつきまといます。

「デリメニューの一部はカフェでも食べることができます。デリの中から今日はこれが提供できますとボードメニューに書いて、サラダと一緒にお皿に盛って出す。値段はプラス50円程度。そのままの値段で出してもいいような食材ならそのままで提供します。カフェメニューにデリを加えるとメニューのバリエーションは広くなります。」

「通常のデパ地下のデリは、最後の仕上げだけ人がシズル感のあるように盛る。レストランの厨房と異なり、素材をバラバラに作って最後に店舗で合わせる。いわば製造工場です。本気で儲けようと思ったらそこまでやらないと無理でしょう。弊社店舗のデリの原価率は 40%を超え、当面は全く利益が出ないでしょう。余るリスクがあるので作りすぎない。しかし、棚を空にするわけにはいかない。デリは難しい実験だと思います。」

『LIVING WELL』(より良く幸せに生きる)をコンセプトに、「自由に生きて健康になろう」を実践している福政氏。教育・エステ・外食事業だけでなく、不況にあえぐ東京を外食から盛り上げようとする「東京もっと元気に」プロジェクトの発案者としてボランティアで実行委員も引き受けている。次は何を仕掛けてくるのか、目が離せない。


「エピスカフェ シェフズキッチン」 http://www.epicecafe.jp/
東京都豊島区西池袋3-28-14 Echika 池袋
電話:03-3986-8804
営業時間: 【Morning】7:30〜10:00
      【Lunch】 11:30〜15:00
      【Cafe】 15:00〜17:00
      【Dinner】 17:00〜23:00(Food L.O. 22:00、Drink L.O. 22:30)

株式会社アクアプランネット http://www.aquaplan.net/

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年3月18日取材


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