ラーメン屋は全国に約4万軒あり、市場規模は約1兆円と言われる。その中で近年は、毎年約4000店が新規開業し、ほぼ同数が廃業しているという。年々1割の店が入れ替わる新陳代謝が激しい市場において、勝ち組はどのような店舗戦略を練っているのだろうか。マスコミやブロガー、評論家たちがつくり上げるトレンドには、いかに対処しているのか。タイプの異なる繁盛店3店とラーメンコンプレックスの成功例を取材してみた。4回シリーズの第3回目。レポートは、長浜淳之介。
「壱八家」東戸塚店 外観。
・「壱八家」はモバイル会員6000人に店舗情報を一斉配信
エイトが展開する横浜家系ラーメンの店「壱八家」。こちらは横浜を地盤にいろんな業態を開発している、総合外食企業でのラーメン店の成功例と言えるだろう。
横浜市内に、東戸塚、スカイビル(横浜駅東口)と2店あり、神奈川県厚木市の本厚木店を加えて計3店体制となっている。
また、系列の「半蔵」というラーメン屋が東戸塚と神奈川県大和市にあって、ほぼ同様の内容の店である。
系列店の「半蔵」 東戸塚店。
つまり、エイトは合わせて5店の横浜家系ラーメンの店を持っていることになる。
家系ラーメンのフォーマットである「豚骨醤油」の醤油ダレ、豚骨スープは自家製。醤油にグレードの高いものを使い、豚骨は通常のバナーの倍以上のかなり強い火で煮込んでいる。背脂は使わず、チー油を使い、こってりはしているがしつこくない、コクがあって後味を引くスープづくりを実現している。
壱八家 ラーメン並650円。
<続く>
【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年5月17日取材
【全シリーズ】
1)シンガポール進出で世界へ飛び出した、「なんつッ亭」。 【全文(有料会員様)】(5月19日)
豚骨醤油ラーメンで黒マー油がかかった「なんつッ亭」、流行と関係なく成功した店。
2)ラーメン通の米国人シェフが始めた「アイバンラーメン」。 【全文(有料会員様)】(5月20日)
真逆の淡麗なスープで、コシはあるが細めの麺で提供する。
3)「壱八家」はモバイル会員6000人に店舗情報を一斉配信。 【全文(有料会員様)】(5月21日)
モバイルでアンケートに答えた人には抽選でマイ箸をプレゼント。
4)1日平均3000人を集客。東京ラーメンストリートの成功。 【全文(有料会員様)】(5月24日)
高名なラーメン評論家に任せず、スタッフが食べ歩いて店を選んだ。