・多くの飲食店はグローバルダイニングから学んだ
トレンドの最先端を制しその時代を走りぬいた店は、当時ターゲットとしていた20代〜30代半ばと同じ年齢層の現代の若者を集客することが時代の流れと共にいくつかの理由から容易ではなくなった。「誕生日のお祝い」も今はどの店でも当たり前である。グローバルダイニングが先行して日々やってきたことの多くは「店舗努力」「スタッフモチベーション」を維持できれば「当たり前にできること」でもあった訳だ。厳しい人事制度の中、毎日お客様との生中継で育てあげられた人材はそれぞれに巣立ち、新しいステージでまた新しいトレンドを作りだしている。つまり当時同社の差別化であった部分は、今は強いそれになりにくい。多くのスタッフ、多くの外食店はグローバルダイニングから学びそれを真似て成長してきたのだ。
ピークの時代を共にした今40代を迎える人々の中には、1990年代強烈に植え付けられたそのブランドイメージを持ったまま「人数」「価格」「気軽さ」と目的が明確であれば、今も「間違いのない店」として利用し続ける人は少なくない。雨の振る火曜の夜、客層をつかむことは出来ないのではないかと不安もありながら店に行ったが予想を超える稼働率、200席の恵比寿「ゼスト」は7〜8割りは見事に埋まっていた。オープンから10年以上過ぎ、足元の悪い平日の夜にこれだけ集客できているのは単純にすごいと言わざるを得ない。西麻布の「権八」も同様に2001年のオープンから9年が経つのである。
年月を重ね当時の客層を中心に引き続き利用されているグローバルダイニング。若い店舗スタッフに客層について質問したところ「私達はいつもご来店いただいてるお客様を大事にしています。リピーターの方も多いです。ドラマに使われていた時代はその頃の若者が多かったですが、今はサラリーマンの方も多く利用されます」と丁寧な受け答えがあった。この大所帯を引っ張り続けている長谷川耕造氏は今のトレンド、今の若者を「スタッフとして」「お客様として」双方向からどう捉えているのか是非一度聞いてみたい。