フードリンクレポート


<毎日連載>
ダイヤモンドダイニング100店舗達成記念!
“DD6人衆”の親分
松村厚久氏
株式会社ダイヤモンドダイニング 代表取締役社長

2010.10.19
“100店舗100業態”を2005年1月に掲げた時、ダイヤモンドダイニングはわずか8店舗。07年3月に大証ヘラクレスに上場。08年6月に株式会社サンプールを買収。08年12月に株式会社フードスコープの店舗を買収し、株式会社シークレットテーブルを設立。そして09年5月に居抜き専門の株式会社ゴールデンマジックを設立。破竹の勢いで成長を続け、今年10月29日に本体でついに“100店舗100業態”を達成する。その成功には、松村厚久社長が育てて来た6人の幹部の存在が欠かせない。その“DD6人衆”を1人ずつインタビューしてきた。そのトリに親分である、松村厚久氏に聞いた。7回シリーズ。レポートは安田正明。


松村厚久氏。社長室前の壁には、阪本龍馬のシルエットが描かれている。

言ったことはやりきるのが持論

 松村氏は100店舗100業態達成を目前にして、既にその先を見据えていた。

「近づいたら、感動が薄くなりました。通過点に変わったんです。不思議なものですね。 前は100店達成したらやめてもいいくらいに思っていたのに」と松村氏。

2005年、わずか8店の段階で上場を目指し5年後に100店を宣言し、100店舗100業態を掲げた。その後上場を果たし5年後の2010年、約束通りに100店舗100業態を実現させた。

「ウチの社員が頑張ってくれたんです。言ったことはやりきるのが僕の持論。口に出した瞬間に現実に代わると言うじゃないですか。売上100億円を達成し、この次に、200億円、300億円がいつなのかを決めていかなきゃいけません。」

「僕のやり方は、任せること。悪く言えば、投げっぱなし(笑)。重田(広報部部長)からの提案で『竹取百物語』で池をつくっちゃいました。当時、お金では本当に綱渡りでした。ある銀行から、御社は業績が良いのでいくらでも貸しますよ、と言われていたんです。ところが、ある朝起きるとガンガンに電話がかかっていて、至急来て下さいと言われました。駆け付けると、社長のとこの評価が急に変ってAからBランクに落ちました、融資ができなくなりました、と言うんです。もう店を作ってる、どうすんだよ、ひどいな銀行は、と思いました。仕返しに、上場する時にお金が入ったのでその銀行に全額返しに行ったんです。すると、全員出てきて受け取れません、と言う。返せっていったじゃないですか、借りておいてくれ、押し問答になりした(笑)。」


松村社長とDD6人衆(山本勇太氏を加えて)。


100〜104店まで5店舗同時オープン

 ダイヤモンドダイニングは、100店舗目を土佐十景シリーズの収めとなる「四万十川」に定めた。さらに、以下の4店舗を同時に10/29(金)にオープンさせる。実は、100店舗目はアリスを渋谷に作ってキメる目論みだったが、物件が獲れなかったそうだ。

① 土佐料理「四万十川」(しまんとがわ) 
東京都千代田区有楽町2-1-21 新幹線高架下1F
土佐十景シリーズの10店目。都内で店舗内最長の30mの川が流れ、川床で食事ができる。

② 炭火焼居酒屋「九段下 十段屋(じゅうだんや)」
東京都千代田区九段北1-3-4 九段清新ビル1・2F
焼鳥や骨付きカルビの店。老舗感がある。大手が出さない九段下に出店。

③ 藁焼き専門店「わらやき屋 龍馬道場」(わらやきや りょうまどうじょう)
東京都港区新橋3-22-3 新橋S.PビルB1F、1F、2F
同社定番のかつお藁焼きは、売上も利益もお客の評判も良い。

④ 九州料理「一発逆転酒場」(いっぱつぎゃくてんさかば)
東京都千代田区三崎町2-22-18 西山興行新水道橋ビル4F
東京ドームの近く。勝った人だけでなく、負けた人に飲んでもらう。

⑤ 牛タン専門店「銀座 たん平太(たんぺいた)」
東京都中央区銀座西2-2先 銀座インズ2 B1F
初の牛タン業態。昼間がメイン。

 10/27(水)にレセプションを行い。メディアだけでなく、会社関係や同社携帯サイト“DDモバイル”会員を約1千名招待する。同会員制度は今年7月からスタートし、既に6万人を集め、10〜11月で10万人に拡大させる計画。この10万人が今年の年末商戦のターゲットとなる。

 さらに、年内にもう2店舗出店する。新宿にファミレス版アリスと、池袋にカフェ。ファミレス版アリスは、メニューを簡素化して昼も使える店とする。カフェは、「kawara cafe」が人気のエスエルディーがプロデュースし、ダイヤモンドダイニングが運営する。


エンターテイメント外食企業を目指す

「最近では新橋、品川、浜松町、東京駅を狙ってきました。大手企業に勤める方が多いエリアで、給料も高い方々がターゲットです。今後は、今までのことを続けつつ、リサーチ&デベロッパーとして実験店を作っていこうと思います。特に目標の数字は設けていません。物件次第です。ゴールデンマジックは5年後の14年に100店舗、100億円という目標に向かっていきます。」

「非アルコール業態へ進出します。研究に研究を重ねたんですが、サイゼリヤに勝てないことが分かりました(笑)。DD流のエンターテイメント(エンタメ)ファミレスを作ります。切り口は回転寿司。でも普通の回転寿司じゃない。寿司だけじゃなく色んなものを回します。飲茶だったり。子供連れに来ていただきたい。1号店は今期中に郊外の居抜きか、商業施設に出店します。場所によっては制服がメイド服もありですかね。」

「10店までは試行錯誤。10店作れば方向性が見えてきます。その後、一気にチェーン展開していきます。もちろん店名と社名を一緒にします。今期の決算発表時にはお話できると思います。」

「今後当社はエンターテイメント外食企業を目指します。外食は直ぐに真似されますよね。産直もすぐに真似されました。ただ、唯一、僕らが真似されてないのが、アリスと藁焼きなんです。ここだけは追いかけてこられません。藁焼きもナチュラルなエンタメだと思います。エンタメの概念は幅広いです。」

 松村氏は、100店舗100業態の次の目標に向けて動き出した。ダイヤモンドダイニングにしかできないことを追い求め続けている。来年4月に行われるであろう決算発表を楽しみにしたい。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2010年10月5日取材