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【仙台・福島特集】
“仙台ホルモン”とは?
〜“仙台ホルモン”で東京進出する「ときわ亭」〜(2−1)
加藤栄一氏 株式会社常盤食品 代表取締役

2011.2.20
豚ホルモンの“仙台ホルモン”を名物にFC展開を進める「ときわ亭」。2005年に仙台・一番町に出店した1号店が大繁盛店となり、現在は直営・FC合わせて19店を展開する。今年3月には東京・中目黒に出店予定だ。食品バイヤー出身の同社社長、加藤氏に聞いた。2回シリーズ。レポートは安田正明。


1号店の一番町本店(宮城県仙台市青葉区一番町4丁目6-16 電話022-224-8331)

“仙台ホルモン”とは?

「ときわ亭」のウリは“仙台ホルモン”の塩ホルモンと味噌ホルモン。共に1人前380円。食べ飽きないあっさりした味が人気となり、地元だけでなく観光客をも魅了している。“仙台ホルモン”の名付け親が加藤氏だ。


加藤栄一氏。

 終戦後の食糧難時代、仙台では焼鳥屋と豚ホルモンをガスで焼く店、通称「とんちゃん屋」が多くあり、価格の安い庶民の味として人気があった。仙台で有名な牛タンも当時、豚タンが庶民の人気メニューだった。その後、希少で高級な牛タンを炭火で焼く店が現れ、仙台の牛タンが有名となったという。

“仙台ホルモン”は当時をルーツに、豚ホルモンの中でも食べやすく、クセのない大腸、小腸、ガツだけを使用した新しいスタイルのホルモン焼。仙台味噌を使った特製タレに付け込んだホルモンを、仙台醤油で食べる独自のスタイル。

 宮城県、山形県、岩手県産の新鮮な豚ホルモンを即日加工し、創業72年の老舗味噌屋の専用タレに付け込み零温熟成。焼いてもやわらかくモチモチ感のある噛みごたえが特徴。


仙台味噌を使った特製タレに付け込んだホルモンを、仙台醤油で食べる独自のスタイル。

 加藤氏は1965年生まれ、仙台で育つ。食品会社に勤め、バイヤーとして活躍していた。そこが焼肉店のFCを展開していたので、加藤氏は新たにホルモン焼店の展開を会社に提案。そして出店を始めることになる。

「店の並びに牛タンで有名な太助さんがあって、そこが連日長蛇の列だったんです。店頭をよく見ると、仙台牛タンと書いてありました。コレだと思って、仙台ホルモンという名前を思いつきました」と加藤氏。そして、上記のような“仙台ホルモン”の定義を生み出した。

 その後、独立して仙台ホルモン店を出店することとなり、2005年に1号店を仙台のホルモン発祥の地といわれる一番町に出店。オープンから大行列で、2号店も大盛況。

「遠方からもわざわざお客様がいらして、手ごたえがかなり凄かった。それで、フランチャイズに出来るなと思いました」と加藤氏。そして2008年からFC展開を始めた。

 現在は、直営5店、FC14店の計19店。仙台市内のホルモン店は一時増えたが、今は淘汰され約40店。「ときわ亭」がその半分を占めている。今年3月には東京でFC店を初出店する。場所は中目黒駅近く、川沿いの15坪の店。


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき)  2011年2月16日取材