メディカル・レストラン
『健康×美食ラボ』が送るメディカルフードレポート
『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫
第18回「マルズバー」
(ワインバー、東京・六本木)
2008.12.20
現役の医師が、健康になれるグルメ情報をお伝えします
お久しぶりのメディカルレストランでごんす。いやー言い訳になっちゃうのですが色々と本職が多忙でとても執筆活動などする余裕がありやせんでした。。。。すんまへん。
それにしてもこの「サブプラから始まったグローバルな不景気」ってのが今年のナンバーワンの話題なのではないでしょうか。ホンマに「風が吹いて桶屋からホケン屋までぜ〜んぶ潰れた!」ってな状況です。先日も銀座の美味しい串揚げ屋さんに金曜の夜に妻と参りました所・・・あんまりガラガラなんでビックリ!いつもは予約なしではまずは月曜でも入れなかったのに、何と私達以外誰もいな〜い。
だけどーこんな時でも美味しい物は食べたいですよね〜。そこでメディカルレストランでは「美味しくって身体にも良い」と言うラボの合言葉に「オシャレでコストパフォーマンスも良い」って言葉を添えて今回スペシャルなお店を御紹介致します。
今のご時勢ですからね〜所長はタクシーではなく、シャビーなチャリでキコキコしながら寒風にもめげずに六本木に参りました(医師も走る師走でござんす)。到着した六本木はこの不景気のためか路上も閑散とし、客引きの方々も少なくお蔭でチャリが走り易かったでーす(笑)。
さてさて目指す先は瀬里名の奥の胡同(フートン)にあります。お店の前にチャリを泊めて重厚なドアを開けて中に入ってみます。そこには懐深いワインバーを長年営まれているマスターとマダムの力量が漂い、スタッフや常連客の醸し出す会話が心地よく聞こえてきまーす。完璧なワインバーのシチュエーション!!
さあ、コートを脱いでバーカウンターに座りましょう!勿論デートの時なら女性のコートはお店の人に任せていてはいけません!エスコートしているあなたが優雅に取ってあげて下さい。エスコートってのはコートを取ってあげる事の意から発生しているのですから。。。。。ウッソでーす(それにしても田中康夫的な文章だなぁ。。。なんとなくクリひろったる!)。
それにしてもこの「サブプラから始まったグローバルな不景気」ってのが今年のナンバーワンの話題なのではないでしょうか。ホンマに「風が吹いて桶屋からホケン屋までぜ〜んぶ潰れた!」ってな状況です。先日も銀座の美味しい串揚げ屋さんに金曜の夜に妻と参りました所・・・あんまりガラガラなんでビックリ!いつもは予約なしではまずは月曜でも入れなかったのに、何と私達以外誰もいな〜い。
だけどーこんな時でも美味しい物は食べたいですよね〜。そこでメディカルレストランでは「美味しくって身体にも良い」と言うラボの合言葉に「オシャレでコストパフォーマンスも良い」って言葉を添えて今回スペシャルなお店を御紹介致します。
今のご時勢ですからね〜所長はタクシーではなく、シャビーなチャリでキコキコしながら寒風にもめげずに六本木に参りました(医師も走る師走でござんす)。到着した六本木はこの不景気のためか路上も閑散とし、客引きの方々も少なくお蔭でチャリが走り易かったでーす(笑)。
さてさて目指す先は瀬里名の奥の胡同(フートン)にあります。お店の前にチャリを泊めて重厚なドアを開けて中に入ってみます。そこには懐深いワインバーを長年営まれているマスターとマダムの力量が漂い、スタッフや常連客の醸し出す会話が心地よく聞こえてきまーす。完璧なワインバーのシチュエーション!!
さあ、コートを脱いでバーカウンターに座りましょう!勿論デートの時なら女性のコートはお店の人に任せていてはいけません!エスコートしているあなたが優雅に取ってあげて下さい。エスコートってのはコートを取ってあげる事の意から発生しているのですから。。。。。ウッソでーす(それにしても田中康夫的な文章だなぁ。。。なんとなくクリひろったる!)。
「マルズバー」
(住所)東京都 港区六本木3-9-3 第2六本木ヴィレッヂ1F
(電話)03-3478-6424
(営業時間)18:00〜翌2:00 日・祝〜23:00
(定休日)日曜
(客単価)5000〜7000円
さて、席に着きましょう。今夜の所長の夕食は、
1)生牡蠣(三陸)
2)平田牧場のなめらか生ハムと静岡産完熟トマトのマリーネ
3)蝦夷鹿のカルパッチョ
4)ウニと卵のオマール海老ソース
5)新鮮野菜の盛り合わせ
6)和牛メンチカツレツ
7)チーズ
1)生牡蠣(三陸)
やはり冬のワインバーでのスタートはシャンパンに生牡蠣が王道でしょう。生がダメな方はオーブンで焼いた牡蠣もマルズバーのは美味しいですよ。ワインバーはボトルでのオーダー以外にその日のお薦めのシャンパンやワインが各種あるのが楽しいですよね。その品揃えもワインバーのレベルを見るのには宜しいと思います。ただ高いワインを置くだけの会員制のバーなどと違いそこそこのお値段で優良なワインを提供するマルズさんの心意気にいつも嬉しくなってしまいます。
今日のシャンパンはアンリオにしました。適度なシャープさが優しい牡蠣にピッタンコ。目をつぶって牡蠣の中の汁を吸い込むと。。。豊穣たる海の体内を感じます。この海の香りと僅かに塩分が入った汁こそ・・多分人類が原人だった頃に知った海からの素晴らしい贈り物の味です。だからこそ日本でも、そして遠く離れたフランスでも冬には手づかみで紳士も淑女も生カキをチューチュー吸っているわけです。最近はアイラ島のモルトウイスキーを牡蠣に垂らして食するのも流行っているようですが・・スターターとしての牡蠣はやはり牡蠣とレモンだけで食べたい所です。
2)平田牧場のなめらか生ハムと静岡産完熟トマトのマリーネ
トマトにハムを巻きつけて食べると。。。う〜ん、美味し〜い。生ハムにこのトマトの甘さが完璧にマリアージュしております。この塩分も少ないハムは舌に吸い付く様で〜巷で時々見かける平田牧場の製品は侮れないのですね。勉強になりました。クセも少なく脂分もあっさりしており日本人向きの生ハムだと思います。そう言えば生ハムはメロンやイチジクや柿などと食す事が多いですよね。その医学的なマッチングの理由としては、生ハムは塩分が多いのでカリウムが多い果物を一緒にとって塩分を早く腎臓から出すため。。。とか何とか言われてますがはたして本当でしょうか?
ハムを1本食べるわけでもなく薄く切られた数枚のハムの塩分の事を気にするなら塩辛はどうなるのでしょう?メロンに塩辛のっけて食べる人いますかねぇ?笑。そんな事より同時に口に入れた時、美味しさを相互に引き立てる食材か?って事がまずは大事ですよね。所長はこのトマトの適度な甘さこそが平田牧場の塩分の少ない生ハムにはベストマッチだと考えます。レストランでもしもあまりにも甘い果物が生ハムと出てきたら・・それはハムの塩分過多を誤魔化している証拠ではないでしょうか。
3)蝦夷鹿のカルパッチョ
今晩は特別に蝦夷鹿の肉を持ち込ませて頂きました。鹿肉をリュックに入れての飯倉の坂は老体には案外キツかったです。。。実は所長の叔父は案外有名なディアハンターでして毎年北海道から極上の鹿肉を送ってくれます。この時期に最高のジビエをワインバーに持って行かない道理はございません。隣にオープンしてます同系列のビストロ・マルズのシェフのお見立てで今晩は鹿のカルパッチョにしてもらいました。「最高の鹿肉ですので生で食べて下さい。鹿肉の認識が変わると思いますよ。」との事。さっきまで生々しかった鹿肉は美しい正円に盛り付けられて目の前にー。マルズバーだから〇の形にされたのでしょうか?(本当のお店の名前の謂れは「所長のコメント」に書いてありま〜す)
確かに目を閉じて食べてみますと肉なのか赤身の魚なのか判らないぐらいの上品で繊細な味です。鹿は馬などと同じ高蛋白低脂肪な食材でメディカル的にチョーお薦めです。まさに馬鹿にできません!!笑。
これだけのあっさり系ですのでワインは白のシャルドネを合わせました。その名も「ナカイ」と言い日本人の中井章恵 (なかい あきよし)氏がカリフォルニアのソノマで作られているワインです。ルネッサ〜〜ンス!ワーハッハッハ〜!!笑。改めてスタッフ達と乾杯して口に含んでみますと〜キリリとしながらもフルーティーな香りが長く残ります。そう言えばあのルネッサンスの原動力とは「飽くなき探究心」だと本を読んで先日知りました。
長谷川さんと雪原でのマタギの叔父、そして異国の地カリフォルニアでの中井氏の飽くなき探究心があって成立した本日のこの料理とワインの奇跡的な出会い。。。。ボーッと感嘆に浸っている所長をよそに・・気がつくとスタッフ達はあっと言うまに奇跡的な出会いをペロリと平らげておりました〜!犬じゃないんだからもっとじっくりと味わえってーの!!
4)ウニと卵のオマール海老ソース
おー!これぞマルズバーの名物料理!!サッパリ系の肉の次に濃厚系の海の幸!!!こんな一般のレストランでは出来ないような配列のメニュー構成もいやな顔一つせずに作って頂けるのがマルズバーなのです。肉に白を合わせた後ここからは魚介類に赤ワインを合わせて食させて頂きます。選んだのはナパのRAMEY(レミー)。高級食材店「ディーン&デルーカ」が経営しているワイナリーで長年活躍されたデヴィット・レミー氏が独立して世に出した品です。素晴らしいバランスでエレガントなワインであります。「レミーの美味しいレストラン」てなネズこうが活躍する映画がござんしたが〜正に「レミーの美味しいワイン」ってな感じでーす(関係ないんすけどレミーの映画の本編前の短編映画「リフテッド」の所長は大ファンなのです、爆)。
この品の食材を考えますと全て固いカラに囲まれた物でそろえてあります。それは海老、海胆、卵。世の中の本当に美味しい柔らかい物は固い殻でプレデターから守られているのかもしれません。スプーンで口に入れるとあまりの大量の旨味で言葉を出すのも忘れます。残念ながらこの美味しさを写真でお伝えする事は不可能です。来店して頂くしかありませ〜ん!フレンチなどのお店に海胆やアワビなどを使った美味なる魚介のサラダがありますがその対蹠点たる一品。!!この作品こそマルズバーに来ないと出会えない物なのであります!分量も適度ですのでメディカル的にも宜しいと思います(もしもこれを丼一杯食べたら確実に痛風になります、笑)。
5)新鮮野菜の盛り合わせ
ピッカピカのお野菜軍団を見てください!野菜などの植物の細胞は動物と違って細胞壁(cell wall)で囲まれています。だからシャキシャキするのですね。噛んだ時のシャキシャキ音こそ新鮮さの証し。店の中に私とラボスタッフ3名の噛んでいるシャリシャリ音が響きまーす。
カロリーリッチな作品の後にはカロリーオフ系で一時お腹を休める事が必要です。全部こってり系で固めてはメタボになってしまいますよね。基本的にフレンチやイタリアンなどは高カロリーと思われておりますが強ちそうとも言えません。海外の方々は自国の食事の悪い点を見直しヘルシー嗜好に変えてきております。かえって日本の洋食屋さんのメニューはそう言う意味での進化はなく高カロリーのままでござんす。洋食屋さんに行かれたら必ずさっぱりサラダなどを摂取する様に心がけてくださいね。
6)和牛メンチカツレツ
ご主人の長谷川さんはとある洋食屋の名店で長年仕事をされていた方なのでコロッケやメンチカツ、そして冬にはカキフライなどを常連客は逃さずオーダー致します。しかし全部揚げ物を端から食べていってはメディカル的にはいけません。じっと我慢をして今宵の揚げ物を選びました。本日は洋食屋さんの腕がわかるデミグラスソースのたっぷりとかかったメンチカツです(写真6)。うーん。美味しい肉と肉汁、そして究極のデミグラスソースで口の中はウィンウィン状態〜〜!一口三嘆たる美味に思わず莞爾と笑ってしまいます。マルズバーではほとんどのメニューをシェアして1皿づつ出してくれます。この分量が素晴らしいです。もしも1人分丸々1人で食べてしまったら色々な皿が食べられませんしカロリーオーバーは必至です。
シェフの長谷川氏と著名なソムリエの奥様、そして無駄な動きないスタッフの皆様のコンビネーションで幸福な時間はあっと言う間に過ぎていきます。
7)チーズ
帰る時間を惜しんで。。。最後のチーズはマストでしょう!この季節ですからソフトからウォッシュやヤギまでどっさりとチーズが揃っておりました。これも1人1人の希望を聞いて頂き丁寧に1皿づつ美味しいパンやハチミツと盛り付けて下さいました。ポイントはチーズは高カロリーですので分量を控えめオーダーする事です。そしてチーズやデザートを最後に食べたらそのカロリーを帰りのチャリやウォーキングで消費する事ですよー。皆様!このご時勢を考えて1駅と言わず2〜3駅は歩くとしましょうね〜〜♪
1)生牡蠣(三陸)
2)平田牧場のなめらか生ハムと静岡産完熟トマトのマリーネ
3)蝦夷鹿のカルパッチョ
4)ウニと卵のオマール海老ソース
5)新鮮野菜の盛り合わせ
6)和牛メンチカツレツ
7)チーズ
1)生牡蠣(三陸)
やはり冬のワインバーでのスタートはシャンパンに生牡蠣が王道でしょう。生がダメな方はオーブンで焼いた牡蠣もマルズバーのは美味しいですよ。ワインバーはボトルでのオーダー以外にその日のお薦めのシャンパンやワインが各種あるのが楽しいですよね。その品揃えもワインバーのレベルを見るのには宜しいと思います。ただ高いワインを置くだけの会員制のバーなどと違いそこそこのお値段で優良なワインを提供するマルズさんの心意気にいつも嬉しくなってしまいます。
今日のシャンパンはアンリオにしました。適度なシャープさが優しい牡蠣にピッタンコ。目をつぶって牡蠣の中の汁を吸い込むと。。。豊穣たる海の体内を感じます。この海の香りと僅かに塩分が入った汁こそ・・多分人類が原人だった頃に知った海からの素晴らしい贈り物の味です。だからこそ日本でも、そして遠く離れたフランスでも冬には手づかみで紳士も淑女も生カキをチューチュー吸っているわけです。最近はアイラ島のモルトウイスキーを牡蠣に垂らして食するのも流行っているようですが・・スターターとしての牡蠣はやはり牡蠣とレモンだけで食べたい所です。
2)平田牧場のなめらか生ハムと静岡産完熟トマトのマリーネ
トマトにハムを巻きつけて食べると。。。う〜ん、美味し〜い。生ハムにこのトマトの甘さが完璧にマリアージュしております。この塩分も少ないハムは舌に吸い付く様で〜巷で時々見かける平田牧場の製品は侮れないのですね。勉強になりました。クセも少なく脂分もあっさりしており日本人向きの生ハムだと思います。そう言えば生ハムはメロンやイチジクや柿などと食す事が多いですよね。その医学的なマッチングの理由としては、生ハムは塩分が多いのでカリウムが多い果物を一緒にとって塩分を早く腎臓から出すため。。。とか何とか言われてますがはたして本当でしょうか?
ハムを1本食べるわけでもなく薄く切られた数枚のハムの塩分の事を気にするなら塩辛はどうなるのでしょう?メロンに塩辛のっけて食べる人いますかねぇ?笑。そんな事より同時に口に入れた時、美味しさを相互に引き立てる食材か?って事がまずは大事ですよね。所長はこのトマトの適度な甘さこそが平田牧場の塩分の少ない生ハムにはベストマッチだと考えます。レストランでもしもあまりにも甘い果物が生ハムと出てきたら・・それはハムの塩分過多を誤魔化している証拠ではないでしょうか。
3)蝦夷鹿のカルパッチョ
今晩は特別に蝦夷鹿の肉を持ち込ませて頂きました。鹿肉をリュックに入れての飯倉の坂は老体には案外キツかったです。。。実は所長の叔父は案外有名なディアハンターでして毎年北海道から極上の鹿肉を送ってくれます。この時期に最高のジビエをワインバーに持って行かない道理はございません。隣にオープンしてます同系列のビストロ・マルズのシェフのお見立てで今晩は鹿のカルパッチョにしてもらいました。「最高の鹿肉ですので生で食べて下さい。鹿肉の認識が変わると思いますよ。」との事。さっきまで生々しかった鹿肉は美しい正円に盛り付けられて目の前にー。マルズバーだから〇の形にされたのでしょうか?(本当のお店の名前の謂れは「所長のコメント」に書いてありま〜す)
確かに目を閉じて食べてみますと肉なのか赤身の魚なのか判らないぐらいの上品で繊細な味です。鹿は馬などと同じ高蛋白低脂肪な食材でメディカル的にチョーお薦めです。まさに馬鹿にできません!!笑。
これだけのあっさり系ですのでワインは白のシャルドネを合わせました。その名も「ナカイ」と言い日本人の中井章恵 (なかい あきよし)氏がカリフォルニアのソノマで作られているワインです。ルネッサ〜〜ンス!ワーハッハッハ〜!!笑。改めてスタッフ達と乾杯して口に含んでみますと〜キリリとしながらもフルーティーな香りが長く残ります。そう言えばあのルネッサンスの原動力とは「飽くなき探究心」だと本を読んで先日知りました。
長谷川さんと雪原でのマタギの叔父、そして異国の地カリフォルニアでの中井氏の飽くなき探究心があって成立した本日のこの料理とワインの奇跡的な出会い。。。。ボーッと感嘆に浸っている所長をよそに・・気がつくとスタッフ達はあっと言うまに奇跡的な出会いをペロリと平らげておりました〜!犬じゃないんだからもっとじっくりと味わえってーの!!
4)ウニと卵のオマール海老ソース
おー!これぞマルズバーの名物料理!!サッパリ系の肉の次に濃厚系の海の幸!!!こんな一般のレストランでは出来ないような配列のメニュー構成もいやな顔一つせずに作って頂けるのがマルズバーなのです。肉に白を合わせた後ここからは魚介類に赤ワインを合わせて食させて頂きます。選んだのはナパのRAMEY(レミー)。高級食材店「ディーン&デルーカ」が経営しているワイナリーで長年活躍されたデヴィット・レミー氏が独立して世に出した品です。素晴らしいバランスでエレガントなワインであります。「レミーの美味しいレストラン」てなネズこうが活躍する映画がござんしたが〜正に「レミーの美味しいワイン」ってな感じでーす(関係ないんすけどレミーの映画の本編前の短編映画「リフテッド」の所長は大ファンなのです、爆)。
この品の食材を考えますと全て固いカラに囲まれた物でそろえてあります。それは海老、海胆、卵。世の中の本当に美味しい柔らかい物は固い殻でプレデターから守られているのかもしれません。スプーンで口に入れるとあまりの大量の旨味で言葉を出すのも忘れます。残念ながらこの美味しさを写真でお伝えする事は不可能です。来店して頂くしかありませ〜ん!フレンチなどのお店に海胆やアワビなどを使った美味なる魚介のサラダがありますがその対蹠点たる一品。!!この作品こそマルズバーに来ないと出会えない物なのであります!分量も適度ですのでメディカル的にも宜しいと思います(もしもこれを丼一杯食べたら確実に痛風になります、笑)。
5)新鮮野菜の盛り合わせ
ピッカピカのお野菜軍団を見てください!野菜などの植物の細胞は動物と違って細胞壁(cell wall)で囲まれています。だからシャキシャキするのですね。噛んだ時のシャキシャキ音こそ新鮮さの証し。店の中に私とラボスタッフ3名の噛んでいるシャリシャリ音が響きまーす。
カロリーリッチな作品の後にはカロリーオフ系で一時お腹を休める事が必要です。全部こってり系で固めてはメタボになってしまいますよね。基本的にフレンチやイタリアンなどは高カロリーと思われておりますが強ちそうとも言えません。海外の方々は自国の食事の悪い点を見直しヘルシー嗜好に変えてきております。かえって日本の洋食屋さんのメニューはそう言う意味での進化はなく高カロリーのままでござんす。洋食屋さんに行かれたら必ずさっぱりサラダなどを摂取する様に心がけてくださいね。
6)和牛メンチカツレツ
ご主人の長谷川さんはとある洋食屋の名店で長年仕事をされていた方なのでコロッケやメンチカツ、そして冬にはカキフライなどを常連客は逃さずオーダー致します。しかし全部揚げ物を端から食べていってはメディカル的にはいけません。じっと我慢をして今宵の揚げ物を選びました。本日は洋食屋さんの腕がわかるデミグラスソースのたっぷりとかかったメンチカツです(写真6)。うーん。美味しい肉と肉汁、そして究極のデミグラスソースで口の中はウィンウィン状態〜〜!一口三嘆たる美味に思わず莞爾と笑ってしまいます。マルズバーではほとんどのメニューをシェアして1皿づつ出してくれます。この分量が素晴らしいです。もしも1人分丸々1人で食べてしまったら色々な皿が食べられませんしカロリーオーバーは必至です。
シェフの長谷川氏と著名なソムリエの奥様、そして無駄な動きないスタッフの皆様のコンビネーションで幸福な時間はあっと言う間に過ぎていきます。
7)チーズ
帰る時間を惜しんで。。。最後のチーズはマストでしょう!この季節ですからソフトからウォッシュやヤギまでどっさりとチーズが揃っておりました。これも1人1人の希望を聞いて頂き丁寧に1皿づつ美味しいパンやハチミツと盛り付けて下さいました。ポイントはチーズは高カロリーですので分量を控えめオーダーする事です。そしてチーズやデザートを最後に食べたらそのカロリーを帰りのチャリやウォーキングで消費する事ですよー。皆様!このご時勢を考えて1駅と言わず2〜3駅は歩くとしましょうね〜〜♪
所長のコメント:
今回のお店は実は数年前にあるダンディーな患者さんから教わった所です。それ以来教えて頂いた当人よりも頻繁に所長は利用させて頂いておりま〜す。お店の周りはたまには物騒な事もある所でして(所長も帰りのチャリの運転には気を使いました〜)そんな中、長谷川御夫婦やスタッフの皆様の様にポンギに相応しくない優しい人達が長年にわたり矜持を持って孤軍奮闘の活躍をされ、本当に美味しい物とワインが好きな各界の諸人がこぞって来店する六本木の泰斗になられている事が奇跡かもしれません。皆様にも上品に来店して大事にして使って頂きたい小体なお店ですのでどうぞ宜しくお願いいたしまーす!
マルズバーのご主人は所謂「脳ある鷹は爪を隠す」って諺がピッタリの方です。いつもカウンターの奥にて忙しそうに調理をされているのでなかなかお話できませんが・・もしも暇そうでしたら是非お声をかけ下さい。「私の名前は長谷川マサルって言うんですけどね〜才能がないので名前のマサルの「サ」の字を抜いてマルズバーにしたんですよ〜」とおっしゃる謙虚系の巨匠のお話は料理を数段美味しくして免疫もたかめてくれる事でしょう!
今回のポイントを要約しますと、ワインバーでは小皿にシェアする事、サラダなどさっぱり系も取り入れてオーダーする事、チーズなどは本当に少なく盛り付けてもらう事、などなどで総カロリーをコントロールする事でしょう。美味しい物がカロリーが多めなのであります。そして魚介類や肉などのバランスなども考えて食しましょう。今まで十回以上に渡ってメディカルレストランで色々と申し上げてきた健康食の裏技は永遠にある訳ではありません。是非ともバックナンバーも再度読み直して頂けましたら幸甚でございます。
話は変わり今回の医学的な話題はここ数年騒がれている新型高病原性のインフルエンザの事です。
政府も遅ればせながらこのインフルエンザへの対策の方針変更が先日行われ、徐々にですが進歩をし煮詰まってきておりますが、それでもなおインフルエンザ対策に関しましてはまだまだ日本は Developing Country つまり発展途上国レベルなのが実情です。
一方で国民の皆様はマスコミから中途半端な恐怖を植えつけられております。所長のクリニックにも今年は生まれて初めてワクチンを接種するとおっしゃる方々がとても多く来院されるのですが、その動機をお尋ねしますと「恐ろしいインフルエンザで死にたくな〜い。」と皆様おっしゃるだけでキチンとした情報が与えられておりません。医学的な知識を持たれていない一般の方々はマスコミに踊らされる事なく実情を理解した上で例年通りのワクチンを接種すべきとも感じたのでこの話題を取り上げる事に致しました。そう言えばこのメディカルレストランの企画が開始された4年前ぐらいから致死的な鳥インフルエンザの脅威が話題になり始めてたんですよね。。。
政府が他国に遅れて先日声明を発した様に、もしも新型のインフルエンザが発生した場合、水際作戦も封じ込め作戦も失敗し、その感染拡大を止める事は不可能で半年で国民の半分が、そして数年後には全国民が感染すると予測されております。そして1918年のスペイン風邪(世界で4000万以上死亡)と同じ最悪の高病原性の新型インフルエンザがアウトブレイクすると想定しますと日本では2万〜214万の死亡者が出ると予測されております。専門家の方々のシュミレーションには様々な意見があり統一見解は出来ておりませんが、どちらにしろ大地震や911よりも大量の死者が出る事は確実です(これらはあくまでワクチンも抗ウイルス薬など使用しない場合の統計ですが)。
感染が止められないとしたら行政に頼らず我々個人個人はどの様に対処したら良いかを勉強して自己防御をいたしましょう。
まず、予防と言うことになりますとワクチンです。
しかし今日の通常のインフルエンザのワクチンでは高病原性新型インフルエンザの予防効果はほとんどないって事を理解すべきです。近未来にもっともアウトブレイクが想定されているH5N1タイプの高病原性新型インフルエンザは今まで人類が一度も体験した事のないタイプのインフルエンザでありその防御のためのワクチンは製造されておりません。今日臨床治験の行われているプレパンデミックワクチンと言われているのは鳥型の高病原性のH5N1インフルエンザから作り出したワクチンであります。ヒト型から作り出した訳ではないので効果も不確実です。その上、例年接種する通常のワクチンとは製造方法も違い副作用の懸念も大いにあり。。。もしも製造されてもパンデミック前の国民への接種には異議を唱える専門家も多いです。
人間は直ぐにパニックになる生き物です。インフルエンザに関しましてもパニックになり判断を誤ったアメリカでの苦い経験があります。それは1976年の「豚インフルエンザ事件」です。この年の2月にアメリカ陸軍基地で豚インフルエンザが発生し若い兵士が死にました。1918年のスペイン風邪と同じH1N1タイプである事も判り4000〜5000万人が死亡したスペイン風邪の再来か!と大問題となり10月から時の大統領フォード以下4000万人にプレパンデミックワクチンが接種され、ワクチンの副作用で神経麻痺やギランバレー症候群などが数百人も発生してワクチン接種は突然に中止。結局その後豚インフルエンザの発生はなく、後に残ったのは副作用への多くの訴訟だけだった。。。という事件です。
今回の日本に備蓄されるプレパンデミックワクチンの副作用の確率がはっきりとまだ出ておりませんが、もしもアウトブレイクの際には国家機構と医療行為を支える人々から迅速に接種すべきかと思われます。あくまでヒト型のウイルスから製造した物ではないので感染を防御できるか不明ではありますが新型の高病原性のインフルエンザがH5N1タイプでしたら同タイプですのである程度以上の免疫は付いて軽症ですむ可能性があるからです(接種して3週間ぐらいしないと免疫が成り立たないと思われるので即座の国の判断が必要ですが)。
パンデミックは沢山の死者を出して約2ヶ月で終焉するはずですので研究者がアウトブレイクの後にパンデミックワクチンを製造してもその第一波には間に合いません。今日の方法ですと製造には半年以上の時間が必要ですので第二波には間に合うでしょう。つまりそれ以降は死亡者は激減できると想定されます。
さて、これらの事から例年のワクチン接種は無意味だと皆様に考えられてしまいますと・・これもまた間違った判断になってしまいます。もしも高熱の患者さんが病院に訪れてインフルエンザの診断がなされても簡単にはこの人が例年のインフルエンザに罹患したのか高病原性のインフルエンザに罹患したかの区別はつけられないのです。そうなりますと・・一瞬にして周りの人達は人類お決まりのパニック状態になります。余計なパニックを引き起こさないためにもパンデミック時には通常のインフルエンザの患者さんを出さないのがかなり大事だと理解頂けたと思います。そのためにも是非これからも毎年必ず通常のインフルエンザワクチンの接種を続けて下さーい。
そしてもう一つ大事なワクチンがあります。それは肺炎球菌による肺炎の予防ワクチンです(ニューモバックスと言います)。ヒト型の高病原性インフルエンザの死因は重症の二次的な肺炎の合併で呼吸不全に陥る事です。ですので肺炎の重大な原因菌である肺炎球菌の感染をしない様にこのワクチンを接種しておくべきと考えます。ちなみにこのワクチンは毎年の接種はいりません(少なくとも5年は効き目が持続するはずです)。副作用もほぼありませんし出来る限り接種しておくべきでしょう。
さてここまでが予防のお話。これからは治療薬のお話でーす。
今日アマンタジン、タミフル、リレンザの3種類の有名なインフルエンザ治療薬がありますが、アマンタジンは耐性ウイルスが既に多く出現しておりまず効果はないと考えられております。有名な治療薬のタミフルなのですが徐々にこの薬にも耐性のウイルスが出現しつつあり効果が懸念されます。そうなりますと・・残りのリレンザが新型の高病原性のインフルエンザの第一の治療薬になる可能性がある事になります。しかしこれさえまだヒト型の高病原性インフルエンザに実際に使用した事がないので判りません。
そして日本のインフルエンザ治療薬の備蓄の話になるのですが、日本では備蓄量は先進国では最低の量しかなく慌てて先日から急速に備蓄増加させているのは良いのですが〜その備蓄している治療薬がほとんどタミフルだと言う事がとても問題かと考えます。あまりにもリレンザの量が少なくバランスがとても悪いのです。リレンザは吸入薬なのでタミフルのカプセル錠と違い薬以外にも吸入器がそれぞれ必要ですので備蓄する場合に場所をとって面倒です。しかしタミフルが効果がなかった場合のためにも国が本腰を上げて日本中あちこちに2剤をバランス良く備蓄し、いざと言うときに迅速に医療施設などに配布できる様にして置くべきと考えます。
また上記しましたとおり、二次的肺炎が死因になる事が多いのですから抗生物質も各家庭にてある程度は確保されておいた方が良いとも考えます。とにかく一度パンデミックになりましたら労働人口の40%が労働不可能になり、あらゆる物流が寸断してしまいます。人々はパニックに陥り感染を恐れ街は閑散として時々マスクをした人が歩いている程度になるでしょう。全国民が対人恐怖症になって家に籠ってしまいます。2ヶ月ぐらいの間使用する物資は早めに備えておいて損はないでしょう。そして政府はウイルス用の特別なN95マスクを国民に配布すべきでしょう。定額給付金など配っている場合じゃないっつーの!!
各国では意味がないと否定された「発熱外来」なる物を日本で設置する動きがあります。
高熱の人が一般外来に来てもしも高病原性のインフルエンザだったら他の人に感染してしまうので発熱外来に集めようって計画です。しかしもしも高熱の人で逆にインフルエンザでない人がその外来に行ったらどうなるのでしょう?飛んで火に入る夏の虫。。。。。感染しに行くような物ですよね。そんな恐い外来に誰が行くのでしょうか?それに電車やバスやあちこちの交通手段を使って遠方の指定病院の特別外来に行く途中にバスや電車にウイルスをばら撒いて行くわけですからね。。。。。そんな事するなら「発熱診療チーム」を作りTVでその存在と電話番号を国民に教え、もしもインフルエンザになった場合は連絡をもらってチームが各家庭に出向きそこで診療行為をする方がもっとずっと宜しいとも思えます。インフルエンザの判定キットを薬局で入手させたりあるいはキットの出てくる自動販売機を日本のあちこちに設置して自分の家でインフルエンザかどうかの判定を出来るようにするのも良いかもしれません。判定方法は少し慣れる事が必要ですからこれもTVで動画で説明すると良いでしょう。
とにかくパンデミックになったら止める事はほぼ不可能と結論は出ています。特に日本ほど人口密度が高くて物資と人の流れが激しい国土で防ぐことは他の国よりずっと困難でしょう。ですので第一波の感染者をいかに少なくするか!って事が死亡者を減らす全てのキーポイントなのですからどの人もなるべく他の人に接っさない事が一番なのですよね。そのあたりを国民全員で考えないといけません。
ところで近未来にアウトブレイクする高病原性インフルエンザはH5N1タイプでない可能性も残っております。たとえばインフルエンザの種類はHだけでも1〜14まで分類されます。今日まで人類が体験しているのは僅かにH1から3までのたった3種類だけなのです(やれやれ。。)。H7やH9などもアウトブレイクする可能性も十分になります。しかしH5N1タイプよりは病原性は低いと想定されてますのでまずはH5N1タイプのパンデミックを想定して世界中が動いているのは正しいと思われます。
どちらにしろパンデミックになったら本当に本当のグローバルな最重要な大事件です。そしてH5N1が来なくっても必ず何らかのタイプのインフエエンザが周期的に永遠に人類を襲ってくるはずです。今後も見えない小さな敵と果てしなく戦っていかなくてはならないのですね。。。。
明るい方の話題としましては、ワクチン製造の短縮を狙って優れたサイエンシスト達が寝食を惜しんで新しいワクチン製造方法を開発中であり、成功すればパンデミックの第一波の途中からワクチンが使用できる事になります。また治療薬としましては富山化学が臨床試験をしている今までとはまったく違ったインフルザの新薬などがあります。治験などが早く上手くいき今後の人類の強い見方になってくれるといいですねー。
また、恐ろしいH5N1タイプのヒト型高病原性インフルエンザは世界中にアウトブレイクしないと言う専門家も多数おります。それは数年前からアジアでH5N1タイプの高病原性インフルエンザの患者さんが発生し、発症した人の死亡率は高いのにも関わらずまわりの接触した人々に急速に広がる事もなく、今日でも世界中に蔓延していない事実から・・以外と感染力は低いのではないか?と考えているのですね。もしもそうなら。。。。と所長も心から祈りたいです。
マルズバーのご主人は所謂「脳ある鷹は爪を隠す」って諺がピッタリの方です。いつもカウンターの奥にて忙しそうに調理をされているのでなかなかお話できませんが・・もしも暇そうでしたら是非お声をかけ下さい。「私の名前は長谷川マサルって言うんですけどね〜才能がないので名前のマサルの「サ」の字を抜いてマルズバーにしたんですよ〜」とおっしゃる謙虚系の巨匠のお話は料理を数段美味しくして免疫もたかめてくれる事でしょう!
今回のポイントを要約しますと、ワインバーでは小皿にシェアする事、サラダなどさっぱり系も取り入れてオーダーする事、チーズなどは本当に少なく盛り付けてもらう事、などなどで総カロリーをコントロールする事でしょう。美味しい物がカロリーが多めなのであります。そして魚介類や肉などのバランスなども考えて食しましょう。今まで十回以上に渡ってメディカルレストランで色々と申し上げてきた健康食の裏技は永遠にある訳ではありません。是非ともバックナンバーも再度読み直して頂けましたら幸甚でございます。
話は変わり今回の医学的な話題はここ数年騒がれている新型高病原性のインフルエンザの事です。
政府も遅ればせながらこのインフルエンザへの対策の方針変更が先日行われ、徐々にですが進歩をし煮詰まってきておりますが、それでもなおインフルエンザ対策に関しましてはまだまだ日本は Developing Country つまり発展途上国レベルなのが実情です。
一方で国民の皆様はマスコミから中途半端な恐怖を植えつけられております。所長のクリニックにも今年は生まれて初めてワクチンを接種するとおっしゃる方々がとても多く来院されるのですが、その動機をお尋ねしますと「恐ろしいインフルエンザで死にたくな〜い。」と皆様おっしゃるだけでキチンとした情報が与えられておりません。医学的な知識を持たれていない一般の方々はマスコミに踊らされる事なく実情を理解した上で例年通りのワクチンを接種すべきとも感じたのでこの話題を取り上げる事に致しました。そう言えばこのメディカルレストランの企画が開始された4年前ぐらいから致死的な鳥インフルエンザの脅威が話題になり始めてたんですよね。。。
政府が他国に遅れて先日声明を発した様に、もしも新型のインフルエンザが発生した場合、水際作戦も封じ込め作戦も失敗し、その感染拡大を止める事は不可能で半年で国民の半分が、そして数年後には全国民が感染すると予測されております。そして1918年のスペイン風邪(世界で4000万以上死亡)と同じ最悪の高病原性の新型インフルエンザがアウトブレイクすると想定しますと日本では2万〜214万の死亡者が出ると予測されております。専門家の方々のシュミレーションには様々な意見があり統一見解は出来ておりませんが、どちらにしろ大地震や911よりも大量の死者が出る事は確実です(これらはあくまでワクチンも抗ウイルス薬など使用しない場合の統計ですが)。
感染が止められないとしたら行政に頼らず我々個人個人はどの様に対処したら良いかを勉強して自己防御をいたしましょう。
まず、予防と言うことになりますとワクチンです。
しかし今日の通常のインフルエンザのワクチンでは高病原性新型インフルエンザの予防効果はほとんどないって事を理解すべきです。近未来にもっともアウトブレイクが想定されているH5N1タイプの高病原性新型インフルエンザは今まで人類が一度も体験した事のないタイプのインフルエンザでありその防御のためのワクチンは製造されておりません。今日臨床治験の行われているプレパンデミックワクチンと言われているのは鳥型の高病原性のH5N1インフルエンザから作り出したワクチンであります。ヒト型から作り出した訳ではないので効果も不確実です。その上、例年接種する通常のワクチンとは製造方法も違い副作用の懸念も大いにあり。。。もしも製造されてもパンデミック前の国民への接種には異議を唱える専門家も多いです。
人間は直ぐにパニックになる生き物です。インフルエンザに関しましてもパニックになり判断を誤ったアメリカでの苦い経験があります。それは1976年の「豚インフルエンザ事件」です。この年の2月にアメリカ陸軍基地で豚インフルエンザが発生し若い兵士が死にました。1918年のスペイン風邪と同じH1N1タイプである事も判り4000〜5000万人が死亡したスペイン風邪の再来か!と大問題となり10月から時の大統領フォード以下4000万人にプレパンデミックワクチンが接種され、ワクチンの副作用で神経麻痺やギランバレー症候群などが数百人も発生してワクチン接種は突然に中止。結局その後豚インフルエンザの発生はなく、後に残ったのは副作用への多くの訴訟だけだった。。。という事件です。
今回の日本に備蓄されるプレパンデミックワクチンの副作用の確率がはっきりとまだ出ておりませんが、もしもアウトブレイクの際には国家機構と医療行為を支える人々から迅速に接種すべきかと思われます。あくまでヒト型のウイルスから製造した物ではないので感染を防御できるか不明ではありますが新型の高病原性のインフルエンザがH5N1タイプでしたら同タイプですのである程度以上の免疫は付いて軽症ですむ可能性があるからです(接種して3週間ぐらいしないと免疫が成り立たないと思われるので即座の国の判断が必要ですが)。
パンデミックは沢山の死者を出して約2ヶ月で終焉するはずですので研究者がアウトブレイクの後にパンデミックワクチンを製造してもその第一波には間に合いません。今日の方法ですと製造には半年以上の時間が必要ですので第二波には間に合うでしょう。つまりそれ以降は死亡者は激減できると想定されます。
さて、これらの事から例年のワクチン接種は無意味だと皆様に考えられてしまいますと・・これもまた間違った判断になってしまいます。もしも高熱の患者さんが病院に訪れてインフルエンザの診断がなされても簡単にはこの人が例年のインフルエンザに罹患したのか高病原性のインフルエンザに罹患したかの区別はつけられないのです。そうなりますと・・一瞬にして周りの人達は人類お決まりのパニック状態になります。余計なパニックを引き起こさないためにもパンデミック時には通常のインフルエンザの患者さんを出さないのがかなり大事だと理解頂けたと思います。そのためにも是非これからも毎年必ず通常のインフルエンザワクチンの接種を続けて下さーい。
そしてもう一つ大事なワクチンがあります。それは肺炎球菌による肺炎の予防ワクチンです(ニューモバックスと言います)。ヒト型の高病原性インフルエンザの死因は重症の二次的な肺炎の合併で呼吸不全に陥る事です。ですので肺炎の重大な原因菌である肺炎球菌の感染をしない様にこのワクチンを接種しておくべきと考えます。ちなみにこのワクチンは毎年の接種はいりません(少なくとも5年は効き目が持続するはずです)。副作用もほぼありませんし出来る限り接種しておくべきでしょう。
さてここまでが予防のお話。これからは治療薬のお話でーす。
今日アマンタジン、タミフル、リレンザの3種類の有名なインフルエンザ治療薬がありますが、アマンタジンは耐性ウイルスが既に多く出現しておりまず効果はないと考えられております。有名な治療薬のタミフルなのですが徐々にこの薬にも耐性のウイルスが出現しつつあり効果が懸念されます。そうなりますと・・残りのリレンザが新型の高病原性のインフルエンザの第一の治療薬になる可能性がある事になります。しかしこれさえまだヒト型の高病原性インフルエンザに実際に使用した事がないので判りません。
そして日本のインフルエンザ治療薬の備蓄の話になるのですが、日本では備蓄量は先進国では最低の量しかなく慌てて先日から急速に備蓄増加させているのは良いのですが〜その備蓄している治療薬がほとんどタミフルだと言う事がとても問題かと考えます。あまりにもリレンザの量が少なくバランスがとても悪いのです。リレンザは吸入薬なのでタミフルのカプセル錠と違い薬以外にも吸入器がそれぞれ必要ですので備蓄する場合に場所をとって面倒です。しかしタミフルが効果がなかった場合のためにも国が本腰を上げて日本中あちこちに2剤をバランス良く備蓄し、いざと言うときに迅速に医療施設などに配布できる様にして置くべきと考えます。
また上記しましたとおり、二次的肺炎が死因になる事が多いのですから抗生物質も各家庭にてある程度は確保されておいた方が良いとも考えます。とにかく一度パンデミックになりましたら労働人口の40%が労働不可能になり、あらゆる物流が寸断してしまいます。人々はパニックに陥り感染を恐れ街は閑散として時々マスクをした人が歩いている程度になるでしょう。全国民が対人恐怖症になって家に籠ってしまいます。2ヶ月ぐらいの間使用する物資は早めに備えておいて損はないでしょう。そして政府はウイルス用の特別なN95マスクを国民に配布すべきでしょう。定額給付金など配っている場合じゃないっつーの!!
各国では意味がないと否定された「発熱外来」なる物を日本で設置する動きがあります。
高熱の人が一般外来に来てもしも高病原性のインフルエンザだったら他の人に感染してしまうので発熱外来に集めようって計画です。しかしもしも高熱の人で逆にインフルエンザでない人がその外来に行ったらどうなるのでしょう?飛んで火に入る夏の虫。。。。。感染しに行くような物ですよね。そんな恐い外来に誰が行くのでしょうか?それに電車やバスやあちこちの交通手段を使って遠方の指定病院の特別外来に行く途中にバスや電車にウイルスをばら撒いて行くわけですからね。。。。。そんな事するなら「発熱診療チーム」を作りTVでその存在と電話番号を国民に教え、もしもインフルエンザになった場合は連絡をもらってチームが各家庭に出向きそこで診療行為をする方がもっとずっと宜しいとも思えます。インフルエンザの判定キットを薬局で入手させたりあるいはキットの出てくる自動販売機を日本のあちこちに設置して自分の家でインフルエンザかどうかの判定を出来るようにするのも良いかもしれません。判定方法は少し慣れる事が必要ですからこれもTVで動画で説明すると良いでしょう。
とにかくパンデミックになったら止める事はほぼ不可能と結論は出ています。特に日本ほど人口密度が高くて物資と人の流れが激しい国土で防ぐことは他の国よりずっと困難でしょう。ですので第一波の感染者をいかに少なくするか!って事が死亡者を減らす全てのキーポイントなのですからどの人もなるべく他の人に接っさない事が一番なのですよね。そのあたりを国民全員で考えないといけません。
ところで近未来にアウトブレイクする高病原性インフルエンザはH5N1タイプでない可能性も残っております。たとえばインフルエンザの種類はHだけでも1〜14まで分類されます。今日まで人類が体験しているのは僅かにH1から3までのたった3種類だけなのです(やれやれ。。)。H7やH9などもアウトブレイクする可能性も十分になります。しかしH5N1タイプよりは病原性は低いと想定されてますのでまずはH5N1タイプのパンデミックを想定して世界中が動いているのは正しいと思われます。
どちらにしろパンデミックになったら本当に本当のグローバルな最重要な大事件です。そしてH5N1が来なくっても必ず何らかのタイプのインフエエンザが周期的に永遠に人類を襲ってくるはずです。今後も見えない小さな敵と果てしなく戦っていかなくてはならないのですね。。。。
明るい方の話題としましては、ワクチン製造の短縮を狙って優れたサイエンシスト達が寝食を惜しんで新しいワクチン製造方法を開発中であり、成功すればパンデミックの第一波の途中からワクチンが使用できる事になります。また治療薬としましては富山化学が臨床試験をしている今までとはまったく違ったインフルザの新薬などがあります。治験などが早く上手くいき今後の人類の強い見方になってくれるといいですねー。
また、恐ろしいH5N1タイプのヒト型高病原性インフルエンザは世界中にアウトブレイクしないと言う専門家も多数おります。それは数年前からアジアでH5N1タイプの高病原性インフルエンザの患者さんが発生し、発症した人の死亡率は高いのにも関わらずまわりの接触した人々に急速に広がる事もなく、今日でも世界中に蔓延していない事実から・・以外と感染力は低いのではないか?と考えているのですね。もしもそうなら。。。。と所長も心から祈りたいです。
所長の独り言
不景気のど真ん中にもっと真っ暗な話題になってしまいました。メディカルレストランとしましては、本当はインフルエンザに効果のあるヨーグルトや御食事などを皆様に紹介してどんどん食べて頂きたかったのですが。。。そんな物は今の所まったくなく。。。外来でお酒好きな患者さんに「うがいをちゃんとしてますか?」と聞きますと「うん。毎日アルコール消毒してまっせー!」と返事が返ってきます。ジョークでウイルスが消毒出来ればなぁ。。。
あやふやな記憶なのですが・・・村上春樹の初期の傑作「ノルウェイの森」の中で主人公が女友達に嫌いな物を聞かれて「鳥肉と性病としゃべりすぎる床屋がきらいだ。」って答えるシーンがあったと思います。今の世だったら「鳥インフルエンザとエイズとしゃべりすぎる美容師がきらいだ。」とでもなるんでしょうかね〜笑。
執筆 『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫 2008年12月16日
『健康×美食ラボ』所長 岡野内科診療所院長 |