メディカル・レストラン
『健康×美食ラボ』が送るメディカルフードレポート
『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫
第19回「ボリーチェ」
(イタリアン、東京・南青山)
2009.4.30
現役の医師が、健康になれるグルメ情報をお伝えします
恐怖のインフルエンザの季節も一応過ぎ去った様です。病魔の拡大は去りましたがその一方で100年に1度あるかないかの大不況は世界に広がって蔓延してしまいました。
この時代の各国の牽引役である政治家の方たちは大変ですね。国民全員の暖衣飽食が叶わないとなるや麻生さんどころかあのオバマ大統領でさえ人気が急落している昨今です。悪い方向にチェンジしてしまったぁ〜(笑)。あの就任演説の時のフィーバーぶりは何だったのでしょう?そのうちにブッシュだけでなく彼にも靴がびゅんびゅん飛んでくる日もあるかもしれません。記者会見の際はジャパニーズスタイルで全員靴を脱いでの会見になるやも。。。笑。まー飛行機のチェックでは靴を脱ぐことが常識になりつつある昨今、記者の皆様も普通にソックスでの会見に応じるかも〜。
そう言えば先日のオバマ大統領のファーストドックのお披露目で思ったのですが・・縁起を担いで黒いのにしたのでしょうか?まー真っ赤な犬もいないかぁ(爆)。
地球号の船長はショーン・コネリーの様なフィッシャーマン・ハットが似合う男性が多い様ですが、実は地球号の羅針盤をガッチリと握っているのは女性だと思います。それは食の世界においても同じではないでしょうか。
私のクリニックがある新橋では毎夜おじさん達が鯨飲馬食して発する罵声が響き渡っております。銀座の高級店のカウンターにカップルがいてもほぼ100%支払いは男性かもしれません。しかし実はそれらは特殊な食の世界なのです。それ以外の東京の食の世界を支えているのはホント〜は女性でしょう!平日ランチに女性が押しかけて嬌声が鳴り響いているお店は必ずやコストパフォーマンスは最高ですし、妙齢な女子が行列している路地にある小さなお店に外れはありませんよね。
女性と言うかよわき生き物はより良き食事にありつくために「おしゃべり」と言う情報交換を武器として生き残る術を持っている生き物なのです。彼女達の羅針盤を男性諸君も信じましょう。
さて、今回で19回になるメディカルレストラン。4年以上前の初回から久しぶりのイタリア〜ン。テーマは『女性の皆様にマストのお店』です!女性同士でディナーに行ったという設定でスタッフ達とメシメシする事に致しましたー!
この時代の各国の牽引役である政治家の方たちは大変ですね。国民全員の暖衣飽食が叶わないとなるや麻生さんどころかあのオバマ大統領でさえ人気が急落している昨今です。悪い方向にチェンジしてしまったぁ〜(笑)。あの就任演説の時のフィーバーぶりは何だったのでしょう?そのうちにブッシュだけでなく彼にも靴がびゅんびゅん飛んでくる日もあるかもしれません。記者会見の際はジャパニーズスタイルで全員靴を脱いでの会見になるやも。。。笑。まー飛行機のチェックでは靴を脱ぐことが常識になりつつある昨今、記者の皆様も普通にソックスでの会見に応じるかも〜。
そう言えば先日のオバマ大統領のファーストドックのお披露目で思ったのですが・・縁起を担いで黒いのにしたのでしょうか?まー真っ赤な犬もいないかぁ(爆)。
地球号の船長はショーン・コネリーの様なフィッシャーマン・ハットが似合う男性が多い様ですが、実は地球号の羅針盤をガッチリと握っているのは女性だと思います。それは食の世界においても同じではないでしょうか。
私のクリニックがある新橋では毎夜おじさん達が鯨飲馬食して発する罵声が響き渡っております。銀座の高級店のカウンターにカップルがいてもほぼ100%支払いは男性かもしれません。しかし実はそれらは特殊な食の世界なのです。それ以外の東京の食の世界を支えているのはホント〜は女性でしょう!平日ランチに女性が押しかけて嬌声が鳴り響いているお店は必ずやコストパフォーマンスは最高ですし、妙齢な女子が行列している路地にある小さなお店に外れはありませんよね。
女性と言うかよわき生き物はより良き食事にありつくために「おしゃべり」と言う情報交換を武器として生き残る術を持っている生き物なのです。彼女達の羅針盤を男性諸君も信じましょう。
さて、今回で19回になるメディカルレストラン。4年以上前の初回から久しぶりのイタリア〜ン。テーマは『女性の皆様にマストのお店』です!女性同士でディナーに行ったという設定でスタッフ達とメシメシする事に致しましたー!
「リストランテ ボリーチェ」 *閉店
(住所)東京都港区南青山7-10-9 南青山ラップビル1F
(電話)03-6659-4924
(営業時間)ランチ11:30〜14:30(土日祝〜15:00)
ディナー18:00〜23:00(L..22:00) 日祝〜22:00(L.O.21:00)
(定休日)月曜
(客単価)ランチ1200円〜、ディナーコース6500円〜
さて、席に着きましょう。今夜の所長の夕食は、
1)パレッネ
2)野菜の一皿
3)金眼鯛のカルパッチョ
4)ホタルイカと菜の花のスパゲッテイ
5)自家製ガルガネッリ、黒豚と椎茸のラグーソース
6)仔羊背肉のロースト
7)ドルチェ(滑らかチョコレートムース&苺&ピスタチオのジェラート)
8)ハーブティ
1)パレッネ
赤玉ねぎの乗ったアミューズです。モチモチ感のある一口大の前菜ですね。今回はとりあえずビールです。女性同士では背伸びしてお洒落にシャンパンする必要はありません。仕事でクタクタ〜喉カラカラ〜ってんでイマドキの女性は豪快にまずはビールでしょう! ンゴ ンゴ ンゴ。口角泡を飛ばすおしゃべりの前にもう口の周りはアワアワでーす。
2)野菜の一皿
黄金蕪、フルーツトマト、サトムスメ、ばってん茄子、ヤーコン、モッツァレラチーズのサラダです。どのお野菜も新鮮で甘みがあって美味しいです。女性ですもんね。やはりビタミンたっぷりでカロリーの少ないお野菜類は大事です。メディカル的にエクセレントな一品ですね。ヤーコンって知ってました?芋の一種でフラクトオリゴ糖がたっぷり入ってて大腸の環境を良くして大腸癌の予防になり便秘の解消になるって物です。女性にモテモテのお芋さんなのですね。まるで梨の様なテクスチャーが面白いです。甘い果物などの入ったサラダは所長は嫌いなのですが、この野菜の本来の甘さがをほんわか感じるサラダは素敵だと思いました。
大地の生み出す自然な甘さって言うのはこんな感じなんでしょう。ギリギリの甘さこそ本来は野生の世界での甘さです。品質改良されてメチャ甘い野菜などは麻薬の様な代物です。ご注意をー。
3)金眼鯛のカルパッチョ
一口食べた瞬間スタッフ全員が唸ります。その美味さは比類。本当に世界一の魚のカルパッチョだと思いました。程よい岩塩と玉ねぎが金眼鯛に完璧な調和をしております。金眼鯛は寿司でもちょっと火で炙ったりして甘みを引き出しますがこの品は岩塩とオリーブオイルと玉ねぎが金眼鯛の甘さを何十倍にも増幅させてます。岡村浩昭シェフには今宵初めてお会いしましたが彼の手腕をここで確信しました。シンプルな技術を使いながら素材の旨味を確実に出させるセンスに脱帽です。いやいや参った参った。
岡村浩昭シェフ(バックの壁の絵画は花澤豊良作)
4)ホタルイカと菜の花のスパゲッテイ
ホタルイカの一皿。本場のイタリアにはホタルイカの料理ってあるのでしょうか?最近では日本の春パスタの定番になってる品ですよね。さっぱり系の魚介類の後に男性ならそろそろガツンと食べたい所ですがいけないいけない。。。笑。高カロリーなバター系のソースなどとは無縁な道をまだ進みます。な〜に一口食べればその美味しさで大満足です。
5)自家製ガルガネッリ、黒豚と椎茸のラグーソース
巷の女性雑誌では食事の炭水化物を減らすダイエットが取り上げられ、医学界でも糖尿病の食事療法に低炭水化物食が取り上げられたり・・それにもめげずにパスタを食べるぞー!!笑。しかし合わせる食材を魚介類から肉系に変えても高タンパクの豚肉にしてノンカロリーの椎茸をマッチさせたところにシェフの女性への配慮が伺えます。やっと胃も落ち着いてキターーー!!爆。ガルガネッリとはショートパスタの1種類でして、中が貫けたパスタをこの素朴な器具に転がして溝をつけた物です。プリミティブな所作でソースを絡みつきやすくしてるのってなんか嬉しいですね。幼稚園の頃の粘土細工を思い出します。。。。
ガルガネッリを作る器具
6)仔羊背肉のロースト
とうとうメインです。こちらも牛でなく羊肉で女性の身体に優しいですね〜。なんで?って言いますとですね・・以前のメディカルレストランで申し上げた様に羊の肉にはLーカルニチンと言う物質が大量に含まれております。 L−カルニチンは特に女性に欠乏しやすく、不足すると体脂肪が燃えにくくなり肥満になるといわれてるんですよね。羊肉は他のどの肉より多くL−カルニチンを含んでます。たっぷり食べて最後に燃焼系の料理ってのが計算されつくしたコースです!
7)ドルチェ(滑らかチョコレートムース&苺&ピスタチオのジェラート)
女性です。デザートタイムで〜す♪一口食べたら。。。。ううううま〜〜い!!これじゃ男性だって別腹でしょ!今年NO.1のデザートです!!このチョコムースはゼラチンを使用しないで作ってあるそうです!(企業秘密、笑)
8)ハーブティ
女性ってデザートタイムからまた一段とおしゃべりのボルテージが上がりますよね。甘い物で血糖が上がるからでしょうか?笑。不思議です。。。女性陣には「エスプレッソ。ダブルでね。」ではあっと言う間に飲み干して時間が持ちませーん。ボリーチェさんのハーブティでとにかく時を惜しんで最後の最後までカンバセーションして下さいね。
さて、今回19回目のメディカルレストランは4年前の1月にスタートした第1回目の時の初心に戻ってのイタリアン企画でしたが・・同じスタンスではオモローないので、いつものオヤジ設定から女性版に一気に変えての企画にしました。「王様のブランチ」ってより「女王様のディナー」ってな今晩の夕食にスタッフ達は大喜び〜!シェフのきめ細やかな心遣いと技に改めて感動したひとときでした。イタリアンでも十分にヘルシーに、そして女性の身体に適応した献立だったと思います。
1)パレッネ
2)野菜の一皿
3)金眼鯛のカルパッチョ
4)ホタルイカと菜の花のスパゲッテイ
5)自家製ガルガネッリ、黒豚と椎茸のラグーソース
6)仔羊背肉のロースト
7)ドルチェ(滑らかチョコレートムース&苺&ピスタチオのジェラート)
8)ハーブティ
1)パレッネ
赤玉ねぎの乗ったアミューズです。モチモチ感のある一口大の前菜ですね。今回はとりあえずビールです。女性同士では背伸びしてお洒落にシャンパンする必要はありません。仕事でクタクタ〜喉カラカラ〜ってんでイマドキの女性は豪快にまずはビールでしょう! ンゴ ンゴ ンゴ。口角泡を飛ばすおしゃべりの前にもう口の周りはアワアワでーす。
2)野菜の一皿
黄金蕪、フルーツトマト、サトムスメ、ばってん茄子、ヤーコン、モッツァレラチーズのサラダです。どのお野菜も新鮮で甘みがあって美味しいです。女性ですもんね。やはりビタミンたっぷりでカロリーの少ないお野菜類は大事です。メディカル的にエクセレントな一品ですね。ヤーコンって知ってました?芋の一種でフラクトオリゴ糖がたっぷり入ってて大腸の環境を良くして大腸癌の予防になり便秘の解消になるって物です。女性にモテモテのお芋さんなのですね。まるで梨の様なテクスチャーが面白いです。甘い果物などの入ったサラダは所長は嫌いなのですが、この野菜の本来の甘さがをほんわか感じるサラダは素敵だと思いました。
大地の生み出す自然な甘さって言うのはこんな感じなんでしょう。ギリギリの甘さこそ本来は野生の世界での甘さです。品質改良されてメチャ甘い野菜などは麻薬の様な代物です。ご注意をー。
3)金眼鯛のカルパッチョ
一口食べた瞬間スタッフ全員が唸ります。その美味さは比類。本当に世界一の魚のカルパッチョだと思いました。程よい岩塩と玉ねぎが金眼鯛に完璧な調和をしております。金眼鯛は寿司でもちょっと火で炙ったりして甘みを引き出しますがこの品は岩塩とオリーブオイルと玉ねぎが金眼鯛の甘さを何十倍にも増幅させてます。岡村浩昭シェフには今宵初めてお会いしましたが彼の手腕をここで確信しました。シンプルな技術を使いながら素材の旨味を確実に出させるセンスに脱帽です。いやいや参った参った。
岡村浩昭シェフ(バックの壁の絵画は花澤豊良作)
4)ホタルイカと菜の花のスパゲッテイ
ホタルイカの一皿。本場のイタリアにはホタルイカの料理ってあるのでしょうか?最近では日本の春パスタの定番になってる品ですよね。さっぱり系の魚介類の後に男性ならそろそろガツンと食べたい所ですがいけないいけない。。。笑。高カロリーなバター系のソースなどとは無縁な道をまだ進みます。な〜に一口食べればその美味しさで大満足です。
5)自家製ガルガネッリ、黒豚と椎茸のラグーソース
巷の女性雑誌では食事の炭水化物を減らすダイエットが取り上げられ、医学界でも糖尿病の食事療法に低炭水化物食が取り上げられたり・・それにもめげずにパスタを食べるぞー!!笑。しかし合わせる食材を魚介類から肉系に変えても高タンパクの豚肉にしてノンカロリーの椎茸をマッチさせたところにシェフの女性への配慮が伺えます。やっと胃も落ち着いてキターーー!!爆。ガルガネッリとはショートパスタの1種類でして、中が貫けたパスタをこの素朴な器具に転がして溝をつけた物です。プリミティブな所作でソースを絡みつきやすくしてるのってなんか嬉しいですね。幼稚園の頃の粘土細工を思い出します。。。。
ガルガネッリを作る器具
6)仔羊背肉のロースト
とうとうメインです。こちらも牛でなく羊肉で女性の身体に優しいですね〜。なんで?って言いますとですね・・以前のメディカルレストランで申し上げた様に羊の肉にはLーカルニチンと言う物質が大量に含まれております。 L−カルニチンは特に女性に欠乏しやすく、不足すると体脂肪が燃えにくくなり肥満になるといわれてるんですよね。羊肉は他のどの肉より多くL−カルニチンを含んでます。たっぷり食べて最後に燃焼系の料理ってのが計算されつくしたコースです!
7)ドルチェ(滑らかチョコレートムース&苺&ピスタチオのジェラート)
女性です。デザートタイムで〜す♪一口食べたら。。。。ううううま〜〜い!!これじゃ男性だって別腹でしょ!今年NO.1のデザートです!!このチョコムースはゼラチンを使用しないで作ってあるそうです!(企業秘密、笑)
8)ハーブティ
女性ってデザートタイムからまた一段とおしゃべりのボルテージが上がりますよね。甘い物で血糖が上がるからでしょうか?笑。不思議です。。。女性陣には「エスプレッソ。ダブルでね。」ではあっと言う間に飲み干して時間が持ちませーん。ボリーチェさんのハーブティでとにかく時を惜しんで最後の最後までカンバセーションして下さいね。
さて、今回19回目のメディカルレストランは4年前の1月にスタートした第1回目の時の初心に戻ってのイタリアン企画でしたが・・同じスタンスではオモローないので、いつものオヤジ設定から女性版に一気に変えての企画にしました。「王様のブランチ」ってより「女王様のディナー」ってな今晩の夕食にスタッフ達は大喜び〜!シェフのきめ細やかな心遣いと技に改めて感動したひとときでした。イタリアンでも十分にヘルシーに、そして女性の身体に適応した献立だったと思います。
所長のコメント:
今回の医学的考察の方も初心に帰っての「健康とアブラ」のお話でーす。
医学の常識はあっと言う間に変わってしまいます。数年の間で加療方針や診断基準がどんどん変わっていくので時々はオサライをしないといけません。一緒に勉強を致しましょう!
さて、今日までの医学界においての脂質の研究の歴史を列挙しますと。。。
まずは血中の総コレステロールが多いと動脈硬化が強くなる事が知られ、その総コレステロールの中には実は善玉(HDLコレステロール)と悪玉(LDLコレステロール)が存在する事が発見されました。
それからはどの様な食生活や様々な生活習慣をしたら悪玉を減らし善玉を増やせるのかと言う研究がされ、同時に薬物の開発と治験が行われます。脂質だけではなく他の動脈硬化促進因子である血圧や血糖のリサーチも同時に進行し、これらが高脂血症と同時に存在すると格段と動脈硬化が進行する事なども判ってきます。
しかし降圧剤や糖尿病の薬は次々と発見される中、なかなか劇的にコレステロールを低下させる薬剤は見つからなかったのです。しかし1989年に日本で開発されたプラバスタチンと言う画期的な薬剤が発売されて新展開が訪れます。世界中の医師達はこの武器を用いてこぞってコレステロールの高い患者さんの治療を開始します。
そして総コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールを低下させれば動脈硬化を減少させられるという成果がはっきりと出ます。しかし患者さんの総コレステロールと悪玉のコレステロールを理想のレベルまでに低下させてもその効果は30〜40%以上には延びない事も判明し、それから先に進むためには違う方向からのアプローチが必要だと言うこともわかって参ります。
まもなく血中の脂質だけでなく身体の脂肪組織の研究が可能になり、一慨に脂肪組織と言っても皮下脂肪と内臓脂肪は同じ物ではなく、内臓脂肪の方は血をドロドロにして動脈硬化を促進するホルモン様の物質を何種類も血中に分泌している事がわかり・・一挙に内臓脂肪を減らそう運動が展開されました。
そして皆様もご存知の通り日本は世界に先がけての「メタボリック健診」なる物を開始しました。腹囲で内臓脂肪量を予測し、その減少をさせる事で動脈硬化を減少させればもっと寿命が延びるだろう。。。。との想定による国から国民への指導が下ったわけです。
腹囲の他のメタボリック症候群の診断基準の項目は、高血圧の有無、高血糖の有無、高中性脂肪の有無、善玉コレステロールの減少があるかどうか、です。総コレステロールや悪玉コレステロールが高いと動脈硬化が進展するのは当然として敢えて診断基準項目から外しているおります。
今まで長期にわたり医師は血中の『高い』総コレステロールと『高い』悪玉コレステロールを減らす様に患者さんに言い続けており、世界中で「高脂血症」と言う悪者をなくす運動が行われていたのに〜突如としてコレステロールに関しては善玉コレステロールの『低い』事も問題提起として取り上げたためでしょう。。。この時点まで何十年と使用していた「高脂血症」と言う言葉はなくなり「脂質異常症」と言うヘンテコな病名に変わりました(なんで突然に〜)。
メタボリック健診は申し上げた様に世界初であり、各国は数年後に日本国の出すメタボリック健診の効果を興味深く見守っている状況です。まー簡単に言えばメタボ健診は世界が注目する1億2600万人の人体実験です。
これだけ治療方針から診断基準まで数年のうちに色々と変わるんですから当然医師のえ〜かげんな治療方針に異論を唱える一派も出てくる事になります。昨今の本屋さんの新書コーナーには「コレステロールは減らすべきではない!」との論調の新書系が竹の子の様に生えて来ててすっかり竹林になってます。その中には所謂トンデモ本に近い書籍も多いのですが一概に否定できない著書も入ってます。
変わった事を言ったり書いたりしないと目立たない世の中ですからどうしてもトンデモ的な口調になるのでしょうね。。。しかし少なくとも2007年までの数多くの論文を拝読しますと、悪玉コレステロールの多い患者さんにスタチン系の薬剤(前述した日本で開発された系統のコレステロールを下げる薬)を使用して寿命が延びる事は事実です。
問題になっているのは、スタチン系の薬剤はコレステロールを低下させる以外にも身体の酸化をおさえたり炎症を抑制したり血管の内膜の安定化をはかったりと。。。他にも身体に良い機序が多々あると想定され、それが血管系のアクシデントをおさえてる結果、寿命を延ばしているのではないか?との想定で議論が加熱していることです。
まーどちらにしろ全てコレステロールで片がつく訳ではないと思いますし。。。もう片方の大事な脂質の「中性脂肪」を無視してても良いのでしょうか?
高脂血症と言っていた頃の初期には高コレステロール血症と高中性脂肪血症を指して「高脂血症」と言ってました。コレステロールの研究経過は上記したとおりですが中性脂肪はどうなのでしょう。以前から中性脂肪が高いと膵炎をおこしたりコレステロールと共に動脈硬化を引き起こすと言われてましたが今回のメタボ健診で改めて診断基準項目として取り上げられるまでしばらくはコレステロールをメジャーリーグとするなら中性脂肪は3A、いや2Aレベルにまで格下げさせられてました。
その理由としては中性脂肪に関して目新しい話題もなく、検査の判定がなかなか困難な事があげられると思います。
外来の患者さんで採血の時に食事をしてきたかどうかを気にされる方が多くいらっしゃいます。しかし採血検査の多くの検査項目の中で食後に数値が変動するのは血糖と中性脂肪ぐらいなのです。尿酸もコレステロールも空腹時と食後で大きな変動などありません(採血の前の数日間のトータルの食生活の反映はあるでしょうが)。
この場合の空腹時とは食後10時間以上経過した時になりますので完全に空腹でなければ御自身の中性脂肪のデータを中性脂肪の正常値(空腹で大体149mg/dl以下)と比較するのは理論的に間違っていることになります。ところが人間ドックならいざ知らず、一般外来の定期的採血検査に朝食を抜いてハラペコで病院に来られて採血される人がどれくらいいるでしょう。皆様お仕事はあるわ日常の生活パターンはあるわ。。。つまり中性脂肪の検査や治験などは非常に困難を極める事になります。なかなか患者さんも同意をしてくれないでしょう。
それよりも皆様よ〜く考えて下さい。中性脂肪は食事やアルコールを摂取後急速に上昇し約10時間ぐらいかけて徐々に低下して元にもどります。。毎日3回食事をする今日の人間の生活を想定しますと。。。。朝7時に朝食を食べるとして昼食が13時だとしたらその間は中性脂肪はずっと上昇したままになっている訳です。その後は間食をしないで19時頃から夕食を食べるとしても、やはり昼食から夕食までは中性脂肪は完全には低下しないで血中に増加したまま存在するはずです。夕食を20〜21時ぐらいに終わったとして寝るとします。ここから朝食の朝7時までの間は10〜11時間であります。つまりやっと中性脂肪が元にもどったら直ぐに食事が始まり・・24時間のうちになんと中性脂肪が空腹時のレベルにあるのは1時間ぐらいしかないって事です。
これってオカシくないですか?少なくとも中性脂肪では空腹でない状態のレベルがずっと血中に持続している訳ですから。。。
本来は食後に中性脂肪がどの程度まで上昇すると心臓病や他の血管性疾患が増加するかなどの研究が行われ、食後のデータを持って論じてないといけないと所長には思えてならないのであります。
つまりいくら「私は中性脂肪は正常ですよー。」とか「俺はハラはデブだけど血圧や中性脂肪は正常だからメタボじゃないだよね。」なんて言ってても、食後の中性脂肪が実は異常に高値を示してて数年後にしっかり動脈硬化。。。なんて人がわんさか世の中にいるはずなのです。
では血糖の様に一定の食事を摂取させて、食後の中性脂肪の上昇度をみる負荷試験をすれば宜しいと思いますが・・まだ世の中で認められた負荷試験の大規模な実験データは存在しません。それはあまりにも中性脂肪の変動の個人差が大きくってデータの解析が出来ていないからです。
そして糖尿病の患者さんへの検査には便利なヘモグロビンA1Cという項目があります。これはなんと採血した日から遡って大体2ヵ月間ぐらいの間の平均血糖値を示す検査項目なのです。今日この検査をしないで糖尿病の治療をしている内科医は皆無だと思いますし、この検査が行われる様になって糖尿病の治療は飛躍的に進歩しました。しかし残念ながら中性脂肪にはヘモグロビンA1Cの様な便利な中性脂肪のマーカーも発見されておりません。
何十年と放置されている食後の中性脂肪の問題が今後どのようにブレークスルーするのか。そしてまったく新しい動脈硬化のマーカーの発表などが待ち望まれます。まだまだこれからアブラの検査や治療には二転三転ありそうですね〜。
医学の常識はあっと言う間に変わってしまいます。数年の間で加療方針や診断基準がどんどん変わっていくので時々はオサライをしないといけません。一緒に勉強を致しましょう!
さて、今日までの医学界においての脂質の研究の歴史を列挙しますと。。。
まずは血中の総コレステロールが多いと動脈硬化が強くなる事が知られ、その総コレステロールの中には実は善玉(HDLコレステロール)と悪玉(LDLコレステロール)が存在する事が発見されました。
それからはどの様な食生活や様々な生活習慣をしたら悪玉を減らし善玉を増やせるのかと言う研究がされ、同時に薬物の開発と治験が行われます。脂質だけではなく他の動脈硬化促進因子である血圧や血糖のリサーチも同時に進行し、これらが高脂血症と同時に存在すると格段と動脈硬化が進行する事なども判ってきます。
しかし降圧剤や糖尿病の薬は次々と発見される中、なかなか劇的にコレステロールを低下させる薬剤は見つからなかったのです。しかし1989年に日本で開発されたプラバスタチンと言う画期的な薬剤が発売されて新展開が訪れます。世界中の医師達はこの武器を用いてこぞってコレステロールの高い患者さんの治療を開始します。
そして総コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールを低下させれば動脈硬化を減少させられるという成果がはっきりと出ます。しかし患者さんの総コレステロールと悪玉のコレステロールを理想のレベルまでに低下させてもその効果は30〜40%以上には延びない事も判明し、それから先に進むためには違う方向からのアプローチが必要だと言うこともわかって参ります。
まもなく血中の脂質だけでなく身体の脂肪組織の研究が可能になり、一慨に脂肪組織と言っても皮下脂肪と内臓脂肪は同じ物ではなく、内臓脂肪の方は血をドロドロにして動脈硬化を促進するホルモン様の物質を何種類も血中に分泌している事がわかり・・一挙に内臓脂肪を減らそう運動が展開されました。
そして皆様もご存知の通り日本は世界に先がけての「メタボリック健診」なる物を開始しました。腹囲で内臓脂肪量を予測し、その減少をさせる事で動脈硬化を減少させればもっと寿命が延びるだろう。。。。との想定による国から国民への指導が下ったわけです。
腹囲の他のメタボリック症候群の診断基準の項目は、高血圧の有無、高血糖の有無、高中性脂肪の有無、善玉コレステロールの減少があるかどうか、です。総コレステロールや悪玉コレステロールが高いと動脈硬化が進展するのは当然として敢えて診断基準項目から外しているおります。
今まで長期にわたり医師は血中の『高い』総コレステロールと『高い』悪玉コレステロールを減らす様に患者さんに言い続けており、世界中で「高脂血症」と言う悪者をなくす運動が行われていたのに〜突如としてコレステロールに関しては善玉コレステロールの『低い』事も問題提起として取り上げたためでしょう。。。この時点まで何十年と使用していた「高脂血症」と言う言葉はなくなり「脂質異常症」と言うヘンテコな病名に変わりました(なんで突然に〜)。
メタボリック健診は申し上げた様に世界初であり、各国は数年後に日本国の出すメタボリック健診の効果を興味深く見守っている状況です。まー簡単に言えばメタボ健診は世界が注目する1億2600万人の人体実験です。
これだけ治療方針から診断基準まで数年のうちに色々と変わるんですから当然医師のえ〜かげんな治療方針に異論を唱える一派も出てくる事になります。昨今の本屋さんの新書コーナーには「コレステロールは減らすべきではない!」との論調の新書系が竹の子の様に生えて来ててすっかり竹林になってます。その中には所謂トンデモ本に近い書籍も多いのですが一概に否定できない著書も入ってます。
変わった事を言ったり書いたりしないと目立たない世の中ですからどうしてもトンデモ的な口調になるのでしょうね。。。しかし少なくとも2007年までの数多くの論文を拝読しますと、悪玉コレステロールの多い患者さんにスタチン系の薬剤(前述した日本で開発された系統のコレステロールを下げる薬)を使用して寿命が延びる事は事実です。
問題になっているのは、スタチン系の薬剤はコレステロールを低下させる以外にも身体の酸化をおさえたり炎症を抑制したり血管の内膜の安定化をはかったりと。。。他にも身体に良い機序が多々あると想定され、それが血管系のアクシデントをおさえてる結果、寿命を延ばしているのではないか?との想定で議論が加熱していることです。
まーどちらにしろ全てコレステロールで片がつく訳ではないと思いますし。。。もう片方の大事な脂質の「中性脂肪」を無視してても良いのでしょうか?
高脂血症と言っていた頃の初期には高コレステロール血症と高中性脂肪血症を指して「高脂血症」と言ってました。コレステロールの研究経過は上記したとおりですが中性脂肪はどうなのでしょう。以前から中性脂肪が高いと膵炎をおこしたりコレステロールと共に動脈硬化を引き起こすと言われてましたが今回のメタボ健診で改めて診断基準項目として取り上げられるまでしばらくはコレステロールをメジャーリーグとするなら中性脂肪は3A、いや2Aレベルにまで格下げさせられてました。
その理由としては中性脂肪に関して目新しい話題もなく、検査の判定がなかなか困難な事があげられると思います。
外来の患者さんで採血の時に食事をしてきたかどうかを気にされる方が多くいらっしゃいます。しかし採血検査の多くの検査項目の中で食後に数値が変動するのは血糖と中性脂肪ぐらいなのです。尿酸もコレステロールも空腹時と食後で大きな変動などありません(採血の前の数日間のトータルの食生活の反映はあるでしょうが)。
この場合の空腹時とは食後10時間以上経過した時になりますので完全に空腹でなければ御自身の中性脂肪のデータを中性脂肪の正常値(空腹で大体149mg/dl以下)と比較するのは理論的に間違っていることになります。ところが人間ドックならいざ知らず、一般外来の定期的採血検査に朝食を抜いてハラペコで病院に来られて採血される人がどれくらいいるでしょう。皆様お仕事はあるわ日常の生活パターンはあるわ。。。つまり中性脂肪の検査や治験などは非常に困難を極める事になります。なかなか患者さんも同意をしてくれないでしょう。
それよりも皆様よ〜く考えて下さい。中性脂肪は食事やアルコールを摂取後急速に上昇し約10時間ぐらいかけて徐々に低下して元にもどります。。毎日3回食事をする今日の人間の生活を想定しますと。。。。朝7時に朝食を食べるとして昼食が13時だとしたらその間は中性脂肪はずっと上昇したままになっている訳です。その後は間食をしないで19時頃から夕食を食べるとしても、やはり昼食から夕食までは中性脂肪は完全には低下しないで血中に増加したまま存在するはずです。夕食を20〜21時ぐらいに終わったとして寝るとします。ここから朝食の朝7時までの間は10〜11時間であります。つまりやっと中性脂肪が元にもどったら直ぐに食事が始まり・・24時間のうちになんと中性脂肪が空腹時のレベルにあるのは1時間ぐらいしかないって事です。
これってオカシくないですか?少なくとも中性脂肪では空腹でない状態のレベルがずっと血中に持続している訳ですから。。。
本来は食後に中性脂肪がどの程度まで上昇すると心臓病や他の血管性疾患が増加するかなどの研究が行われ、食後のデータを持って論じてないといけないと所長には思えてならないのであります。
つまりいくら「私は中性脂肪は正常ですよー。」とか「俺はハラはデブだけど血圧や中性脂肪は正常だからメタボじゃないだよね。」なんて言ってても、食後の中性脂肪が実は異常に高値を示してて数年後にしっかり動脈硬化。。。なんて人がわんさか世の中にいるはずなのです。
では血糖の様に一定の食事を摂取させて、食後の中性脂肪の上昇度をみる負荷試験をすれば宜しいと思いますが・・まだ世の中で認められた負荷試験の大規模な実験データは存在しません。それはあまりにも中性脂肪の変動の個人差が大きくってデータの解析が出来ていないからです。
そして糖尿病の患者さんへの検査には便利なヘモグロビンA1Cという項目があります。これはなんと採血した日から遡って大体2ヵ月間ぐらいの間の平均血糖値を示す検査項目なのです。今日この検査をしないで糖尿病の治療をしている内科医は皆無だと思いますし、この検査が行われる様になって糖尿病の治療は飛躍的に進歩しました。しかし残念ながら中性脂肪にはヘモグロビンA1Cの様な便利な中性脂肪のマーカーも発見されておりません。
何十年と放置されている食後の中性脂肪の問題が今後どのようにブレークスルーするのか。そしてまったく新しい動脈硬化のマーカーの発表などが待ち望まれます。まだまだこれからアブラの検査や治療には二転三転ありそうですね〜。
所長の独り言
今年のマスターズはなんとアンヘル・カブレラとケニー・ペリーとチャド・キャンベルと言うメタボ三兄弟(爆)のプレイオフになりました。あのタイガーやミケルソン(画面で見ると彼はかなり身体を絞りましたよね)などのアスリートゴルファーを尻目に大活躍のメタボ三兄弟!!誰が彼らのプレイオフを予測したでしょう!それもキャンベル以外は親しみのあるオヤジだ〜し。
メタボメタボと言われても、今日「ちょいワルおやじ」が持てはやされてる様に未来は「ちょいメタおやじ」に医学的には人気が集まるかもしれませんよー。
執筆 『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫 2009年4月24日
『健康×美食ラボ』所長 岡野内科診療所院長 |