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2009年12月19日
 農業で障害者雇用を解決。

 現在、常用労働者数56人以上の民間企業は、障害者を1.8%以上雇用しなければいけません。これを満たしていない場合は、不足障害者1名当たり年間60万円の納付金を国に収めなければいけません。事実上の罰金です。常用労働者300人以下の企業からは徴収されませんが、基準を下げようという動きもあるそうです。

 今、障害者雇用で注目されている法人があります。

 先日、農業生産法人 株式会社 夢農会の共同代表の萬成哲也さんが三重県から会社に来てくれました。水耕栽培用のプラントを格安の3千万円で販売している会社で、現在全国に40ヶ所以上に設置されています。プラントが安いだけでなく、育てた野菜の販路も確保してくれるのが人気の秘密です。

 実は、夢農会が有名になったのは、障害者雇用。水耕栽培の自社農場で20名の障害者を雇用し、障害者雇用の義務のある企業から障害者の出向を受け入れていることです。

 企業は障害者を雇用し給料を払って、農場に派遣します。農場側は無償の人件費で農場を運営出来る訳です。心配なのは障害者の働き具合ですが、萬成さんは、「私が出張中は彼らに任せ、全く問題ない」と言います。企業戦士でウツになった方も、農業に従事するとイキイキするという話も聞きました。

 農業の収益は極めて厳しいので、農場も助かります。こんな動きを、同法人が納入したプラントに広めていこうとしています。夢農会の目標は日本全国で500ヶ所です。そこで獲れた野菜を使うレストランを立ちあげ、全国展開しようともしています。

 大手企業からの問い合わせが既に6千件に達しているそうです。大手外食企業からの問い合わせも多く、自社農園として水耕栽培プラントを導入したり、夢農会への派遣により農業へのかかわりを強めることができ、障害者雇用という社会貢献も出来ると興味を示しています。夢農会にとっても野菜の販路として、外食企業の参加は大歓迎です。萬成さんもラーメンチェーンの出身です。

 人気は高いが、儲からない農業。先日の「みんなの店長会議」で講演いただいた、生産者連合デコポンの代表の井尻弘さんも、農業への新規参入者は多いが大多数が失敗し、「お勧めしません」と話していました。

 そんな厳しい農業ですが、色んなアイデアが生まれ面白い市場に変わっていきそうです。夢農会も株式公開を目指しているそうです。

農業生産法人 株式会社 夢農会

(安田 正明)
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