メディカル・レストラン
『健康×美食ラボ』が送るメディカルフードレポート
『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫
第24回「オステリア ディ イータリー」
(イタリア料理、東京・代官山)
2010.11.5
現役の医師が、健康になれるグルメ情報をお伝えします。
「ナポリを見てから死ね。」と言いますよね。あっしは子供の頃からスパゲティが大好きなんで〜ヨボヨボになったらイタリアのナポリに行って本場のナポリタンを最後の晩餐にチョイスしてっと。。。と思ってましたら・・本場イタリアのどこを捜してもナポリタンもミートソーススパゲティもないので ありまーす。。。数年前にその事実を知ってちょっとショックでしたぁ(笑)。
つま〜り貴方がイタリアの片田舎にホームステイなどしたとします。そして日頃の御礼にナポリタンスパゲティをそこのおじいちゃん&おばあちゃんに作って差し上げます。イタリアンおじいちゃん曰く、「う〜ん美味いのぉ。これはなんと言う料理なんじゃい?」と感心して聞くことでしょう!そこですかさず胸を張って言いましょう。「おじいちゃん、これはね、ジャポリタンと言う料理です!日本では有名なんですよ。美味しいでしょう?!
とにもかくにも所長が子供の頃「スバゲッティ〜!」と言えばナポリタンかミートソースだったのですが、これは洋食屋さんにある純和風西洋料理の一つでありイタリア料理ではな かったのですねー。いやいや。。。一品料理としてもそうですがマッカーサーのサングラス同様に(いつの話だぁ!)ハンバーグの横に必ず鎮座してたナポリタンもステキでした。やはりあのケチャップと赤い輪切りのソーセージってのが子供の頃には魅力的でした。冷めても美味しいのも二重マル〜。
ところで所長の父親は医師でなくサラリーマンでしたので、あっしがガキの頃はおやじは日本各地を転勤ばかりでしておりました。たまたまおやじが東京勤務の折にどこぞのイタリア料理店に私を初 めて連れて行ってくれたのです。恐〜いおやじと男二人の夕食!小学生男子には案外緊張でした。。そしてその時の事は今でも鮮明に覚えております。
まず店に入りますと、そこには綺麗な外人の女性が笑顔で迎えてくれていきなりあっしの心拍数は飛び上がり(その頃静岡では金髪の、それも美しいレディなんぞには映画の中でしかほとんど会えなかったのでありま〜す)。そして鮮やかなチェックのテーブルクロスの架かったテーブルに運ばれてきたスパゲティは・・今まで食べてきた代物とはまったく別の味と食感!なんじゃこりゃー!! そしてよーく見れば周りの壁に並んでいるのは藁を巻いた首のなが〜いワインの瓶の林。。。中にひょろひょろとらせん状に伸びているのもあり。。。あんな長いのどうやってグラスに注ぐんじゃ?
まさに黒船を見た江戸時代の漁師の様にショックでした(例えがふるぅ〜)。まー今となって考えてみればイタリアンレストランに客寄せに外人の女性がいても不思議でなく(流石にあの 時代はボナセ〜ラ!なーんて言ってなかったと思う。。言っても誰にも通じなかったしね、笑)、運ばれてきたのはアルデンテに仕上げたボンゴレ・ロッソであり、高級に見えたワインは値段的にも味的にも大したことはないキャメルネックと言うその頃流行したキャンティワインでした。
しかしあのスパゲティの後はしばらくの間は所長の日々は悲惨でした。だってメチャクチャ美味しいイタリアンを味わってしまったのですよ。静岡に帰ったってそんな物どこにもないのであります。毎日あの金髪の。。。。いやいやアルデンテの。。。。とモヤモヤ と過ごす日々が続きました(笑)。家で母親に「本物のスパゲッティはフレッシュなトマトと新鮮なアサリが山の様に入ってて。。」といくら説明しても。。あっしの目の前に出てくるのはナポリタンとアサリの味噌汁ですよ〜母親の目の前で味噌汁にナポリタンをぶっかけて猫飯で食べてやろうかと思いました(怒)。
しかしあの頃は無理だったんですよね。オリーブオイルやフレッシュなニンニクなどある家はほとんどなかったと思います。 白ワインだって家庭には常備してなかったはず。。。。私を含めて子供が4名もいる多忙な母があっしの相手をしてくれる訳がありません。
医療界同様にこの30〜40年で料理界も格段の進化を遂げているのですね。今ではアルデンテなる単語を知らない人を捜す方が難しい。。。
さーて、今日は代官山に所長とスタッフ達は粛々と(笑)出没です。イータリー(Eataly)と言う素敵な場所をご存知でしょうか?イタリアのトリノに本店がある日本最大のイタリアンフー ドマーケットです。日本でゲット出来るイタリアの食材の最高峰の品が所狭しと置いてあり、ブランチにピッタリなオープンテラスなどなど。。。見どころ満載の空間です。その2階にあるオステリアでの今晩の所長の夕食になりました。
つま〜り貴方がイタリアの片田舎にホームステイなどしたとします。そして日頃の御礼にナポリタンスパゲティをそこのおじいちゃん&おばあちゃんに作って差し上げます。イタリアンおじいちゃん曰く、「う〜ん美味いのぉ。これはなんと言う料理なんじゃい?」と感心して聞くことでしょう!そこですかさず胸を張って言いましょう。「おじいちゃん、これはね、ジャポリタンと言う料理です!日本では有名なんですよ。美味しいでしょう?!
とにもかくにも所長が子供の頃「スバゲッティ〜!」と言えばナポリタンかミートソースだったのですが、これは洋食屋さんにある純和風西洋料理の一つでありイタリア料理ではな かったのですねー。いやいや。。。一品料理としてもそうですがマッカーサーのサングラス同様に(いつの話だぁ!)ハンバーグの横に必ず鎮座してたナポリタンもステキでした。やはりあのケチャップと赤い輪切りのソーセージってのが子供の頃には魅力的でした。冷めても美味しいのも二重マル〜。
ところで所長の父親は医師でなくサラリーマンでしたので、あっしがガキの頃はおやじは日本各地を転勤ばかりでしておりました。たまたまおやじが東京勤務の折にどこぞのイタリア料理店に私を初 めて連れて行ってくれたのです。恐〜いおやじと男二人の夕食!小学生男子には案外緊張でした。。そしてその時の事は今でも鮮明に覚えております。
まず店に入りますと、そこには綺麗な外人の女性が笑顔で迎えてくれていきなりあっしの心拍数は飛び上がり(その頃静岡では金髪の、それも美しいレディなんぞには映画の中でしかほとんど会えなかったのでありま〜す)。そして鮮やかなチェックのテーブルクロスの架かったテーブルに運ばれてきたスパゲティは・・今まで食べてきた代物とはまったく別の味と食感!なんじゃこりゃー!! そしてよーく見れば周りの壁に並んでいるのは藁を巻いた首のなが〜いワインの瓶の林。。。中にひょろひょろとらせん状に伸びているのもあり。。。あんな長いのどうやってグラスに注ぐんじゃ?
まさに黒船を見た江戸時代の漁師の様にショックでした(例えがふるぅ〜)。まー今となって考えてみればイタリアンレストランに客寄せに外人の女性がいても不思議でなく(流石にあの 時代はボナセ〜ラ!なーんて言ってなかったと思う。。言っても誰にも通じなかったしね、笑)、運ばれてきたのはアルデンテに仕上げたボンゴレ・ロッソであり、高級に見えたワインは値段的にも味的にも大したことはないキャメルネックと言うその頃流行したキャンティワインでした。
しかしあのスパゲティの後はしばらくの間は所長の日々は悲惨でした。だってメチャクチャ美味しいイタリアンを味わってしまったのですよ。静岡に帰ったってそんな物どこにもないのであります。毎日あの金髪の。。。。いやいやアルデンテの。。。。とモヤモヤ と過ごす日々が続きました(笑)。家で母親に「本物のスパゲッティはフレッシュなトマトと新鮮なアサリが山の様に入ってて。。」といくら説明しても。。あっしの目の前に出てくるのはナポリタンとアサリの味噌汁ですよ〜母親の目の前で味噌汁にナポリタンをぶっかけて猫飯で食べてやろうかと思いました(怒)。
しかしあの頃は無理だったんですよね。オリーブオイルやフレッシュなニンニクなどある家はほとんどなかったと思います。 白ワインだって家庭には常備してなかったはず。。。。私を含めて子供が4名もいる多忙な母があっしの相手をしてくれる訳がありません。
医療界同様にこの30〜40年で料理界も格段の進化を遂げているのですね。今ではアルデンテなる単語を知らない人を捜す方が難しい。。。
さーて、今日は代官山に所長とスタッフ達は粛々と(笑)出没です。イータリー(Eataly)と言う素敵な場所をご存知でしょうか?イタリアのトリノに本店がある日本最大のイタリアンフー ドマーケットです。日本でゲット出来るイタリアの食材の最高峰の品が所狭しと置いてあり、ブランチにピッタリなオープンテラスなどなど。。。見どころ満載の空間です。その2階にあるオステリアでの今晩の所長の夕食になりました。
(住所)東京都渋谷区代官山町20−23 代官山ラヴェリア内 イータリー代官山2F
(電話)03−5784−2739
(営業時間)ランチタイム11:30〜14:30(L.O)、ディナータイム18:00〜21:30(L.O) *日曜日のみ11:30〜20:00(L.O)
(定休日)月曜夜(ディナータイム)・火曜日
さて、席に着きましょう。今夜の所長の夕食は、
①新鮮サンマのカルパッチョ
②岩手産短角牛のたたきとヴィテッロ・トンナート
③柿の木茸、白舞茸、花びら茸のタヤリン
④岩手産短角牛のブラザート
⑤三種のチーズのトルタ
⑥モカで淹れたコーヒーと小菓子
①新鮮サンマのカルパッチョ
サンマはイタリアにはいないそうな。。。ナポリタンとは言いませんがこの品も和風西洋料理なのですね(笑)。しかし抜群の新鮮さで塩分も抑えてありスプマンテと合わせますと目の前にはジェノバ湾の青い海が広がる〜わけはないのですが(笑)。 っとそこに イータリーの1階の釜で焼いているパンが登場です。
イータリーの1階の釜で焼いたパン。
これが全部美味いんだわ。酵母 の酸味がしっかりと舌に感じられます。イタリアではパンが不味いのは常識ですがここは日本です。うーーん。すんごく美味しい!これこそ純和風西洋料理かも!多分こんなに美味しいパンはイタリアにはないと思います。
②岩手産短角牛のたたきとヴィテッロ・トンナート
今晩はイタリア料理と言いますかもっとコアなイタリア北西部のピエモンテ州の料理です。ピエモンテ州の隣はすぐフランスで海はありません。つまりは最初っから最後まで肉肉肉なんだ そうです。当然ワインも赤赤赤。そんな話をパンを齧りながらお聞きしてて魚好きな所長はちょっと不安になってました。ところがこのお肉の前菜を一口入れた途端にあっしの海馬(脳の中で記憶を司る中枢)が45年以上前までぶっ飛びました!!なんじゃこりゃー!小学生時代のあの金髪(しつこいって!)の衝撃が再び我が舌に〜〜!!
左側のたたきはですね。。。肉なのですがサンマ以上の新鮮さ溢れる作品です。勿論臭みなど皆無ですし油分も微かにしか感じないのに感動の一品です。もしも目をつぶって食べたら牛肉だと当てられる人はほとんどいないのでは。。。それと対照的に右側のヴィテッロ・トンナートはツナのソースがアクセントになっててたたきと同じ肉を使っているのに飽きさせない仕組みになってます(ピエモンテ州の代表的な前菜だそうな)。限りなくギリギリにうす〜く肉を沿いでありツナソースの美味しさも相まって箸が、いやいやナイフとフォークが止まりません。ナイフとフォークが右往左往しながら名残惜しくあっと言う間に食べきってしまいました。本当に美味しい料理は面白い本と同様に終わってしまうのが残り惜しい物ですね〜。
③柿の木茸、白舞茸、花びら茸のタヤリン
タヤリン?ミポリンとか優子りんとか、可愛らしい女の子には許せるネーミングですが。。。なんやこの料理?(写真4)って思ってたら実はピエモンテ州ではタリアテッレをタヤリンと言うんだと!!ビックリですよね。驚くと言えば一口食べると。。。いや〜スパゲティのアルデンテには今となっては何も驚かないけど・・似ているも微妙 に非なる麺と茸のシコシコしたテクスチャーが心地よい〜。麺と言うピッチの上での三種の茸のダービーマッチはどいつもこいつも甲乙告げがたい美味さです。そしてこのタヤリンの麺は水はいっさい使用せず卵の黄身だけで作られるのだとか。色白のタヤリン。。。君が好きだよ〜爆。
④岩手産短角牛のブラザート
ピエモンテからの総攻撃です。肉ホールディングス状態であります!!ブラザートとはとろ火で煮込んだ牛肉の事だそうです。ここではひれ肉を5時間も煮込むのだそうでまったく ナイフのいらない柔らかさ〜。このローズマリーもイータリーの裏にある代官山の菜園で育てられているのだそうで素晴らしく香り高いです。本当に 美味しい物って。。。うまい!とどうしても普通な言葉なのですが叫んでしまいますよねー。バローロとのマリアージュも素晴らしい。
⑤三種のチーズのトルタ
牛と羊と山羊の三種の乳のチーズで作られたトルタです。甘くてまったりとした口当たりが・・今晩の宴の最後の時間に向かって優しく我々を導きます。まだワインも残っててコーヒーにはまだ早い。しかし目は虚ろ。。。な黄昏時間ってありますよね。今晩食べたカロリーを考えながら。。。チーズかドルチェか選択を迫られる時間でもあります。そこ〜で鈴木カップリングではないですが、チーズとトルタをカップリングさせてしまうと言う発想がノーベル賞ものです!ほど良い甘さがカラ党の男性にもうけるはず。スタッフの皆もこいつと一緒にあとちょっと残っている幸せな時間をじんわりと楽しむ事が出来ました。
⑥モカで淹れたコーヒーと小菓子
今宵のクローサーは小さくない(笑)小菓子(写真7)とガテマラ産のコーヒーです。お菓子も満腹なのにまだまだ入る入る!エスプレッソは黒くて熱くって美しくって。。。どこかのチームのピッチャーに似ております。当然砂糖なしで頂戴しましょう。
砂糖なしでも本当に美味しいコーヒーは微かにですがオトナの甘さを感じます。それは甘さを感じるフレーバーだけなのかもしれませんが。。。エスプレッソの美味しい甘さって・・人生色々あって苦いも辛いも知り尽くして、清濁合わせ飲めるチョイ悪オヤジだけ(チョイ悪アネゴも)が感じ取れるのかもなぁ。。なーんてオヤジ所長は密かに思ってます。
さて、本日はイータリーの社長兼著名なソムリエでもある林茂さんのお話を拝聴しながら素晴らしい夕食が送れました。せっかくですので林さんに料理に 合わせるワインも選んでもらったのは言うまでもありません。シェフの腕も勿論なのですが、選んでもらったワインと該博なる林さんのお話も加わって三位一体の至高の夜になりました。
林茂さん
ピエモンテ州は肉肉肉だったのでメディカルレストランの唱える「健康に良くって美味しい料理」というスタンスの企画には少々不安だったのですがなんのなんの!肉を食らわば皿まで〜(笑)の素晴らしさ!まずは最初に日本人の好きな生魚をピエモンテ料理にプラス!それも青魚ですか らねEPAなどがバッチシ摂取出来ます。その後のパンにはバターはおろかオリーブオイルさえイータリーでは出しません。バターはかえって繊細な美味しい旨みと風味を消してしまう。。とのポリシーからなのですがこれが余計な油の摂取をおさえメディカル的にはとってもナイスです。
その後のメニューでもシツコイ油をまったく感じない最高の短角牛のヒレ肉を中心に組み立てられており高蛋白であり低脂肪と言う奇跡の美味しさを肉料理で提供出来てお ります。パスタも茸と言うミネラルに溢れほとんどカロリーオフの食材をふんだんに取り入れてありボリューム的にも大満足になっております。後半戦もチーズとドルチェでは多すぎるので一挙に両者を合わせてしまう閃き!食後のコーヒーの高貴な香りがお酒の飲みすぎを防いでくれるやも。
深谷政宏シェフ(左)と、林茂社長。
まだお若いのに様々な技を持っており計算された身体に優しいピエモンテ料理を作られる深谷政宏シェフには驚きました。むか〜し卒業していく好きな先輩に「せ、せ、せ、先輩の第二ボタンをくださ〜い!」って言うベタなシーンがあったのですが(知らね〜だろ〜なぁ。。)、ここで所長としては、「し、し、し、シェフのトックをくださ〜い!」と叫びたかったです!
力量溢れる彼がイータリーと言う日本最大のグロッサリーや菜園を借景として活躍出来る訳ですからまさに鬼に金棒です。是非多くの方々に深谷シェフの作る本物のピエモンテ料理を味わって頂きたいですね〜。
ところで最近所長が患者さんに内視鏡検査をする際に患者さんが「先生、食道が心配なんです。。。詳しく見て下さいねー。」などと申されます。やはりサザンの桑田佳祐や指揮者の小澤征爾が食道癌になった影響の大きさを感じます。「先生、どうしたら食道癌にならずに上手く酒飲めますかね?」などの質問も多くのサラリーマンの方々から聞かれます。
そこでお酒と食道癌の事は2007年のメディカルレストラン第10回「シャンウェイ」の回にで書きましたが今回は再度新しい事実なども交えてお酒と食道癌の事を書こうと思いまーす。
3年前に申し上げた様に、ちょっとでもアルコール(エタノール)が身体に入ると顔が赤くなって気分が悪くなるのでお酒がまったく飲めない人をフラッシャーといいます(日本人の約7%)。彼等はお酒が飲めないのですから食道癌にはなりにくいです よね。そして日本人の4割はちょっとは赤くなるけど徐々に飲んでいるうちにいつの間にやらイケルくち!になる「かくれフラッシャー」と言われる集団です。そして残りの5割強の人達がまったく赤くもならない酒の強〜いタイプのノンフラッシャーであります。。
一番の注意しないといけないのがこの「かくれフラッシャー」の人達だって事までは以前に申し上げました。それはエタノールが体内で分解されるとアセトアルデヒドという強力な発癌物質になり、このアセトアルデヒドを分解する能力がイマイチのかくれフラッ シャーは自分の能力以上にお酒を飲んでしまうためアセトアルデヒドが身体に溜まりやすく、結果として発癌に結び付くからであります。そしてなんと!かくれフラッシャーの人はノンフラッシャーの7.1倍も食道
癌になりやすいのであります!
「だ・か・ら〜!かくれフラッシャーのあなたはお酒飲んじゃダメなのよー!」って世の奥さま達が一斉に旦那に発する一言でかたずけられたらこんなに世の中簡単な事はありませーん。だけどそこをなんとか。。。。っておっしゃる旦那衆に賢い情報を提供するのがこのコラムです。『敵を知って己を守る』!
ではどの様にしたら危険をある程度回避してお酒が飲めるのでしょう?
①まずはタバコは吸わない方が良いです。タバコにも実はアセトアルデヒドがしっかりと入っているのです。両者が噛みあうと極悪の相乗効果になってしまいます(タバコは それだけでなく50種類以上の発癌物質を含んでおります)。食道だけでなく喉頭癌などにも大きく関係しております。
②強い酒(蒸留酒)をストレートで飲まない事。強いアルコールはアセトアルデ ヒドとは関係のない食道癌の危険因子になります。しかし。。。酒飲みとしては良いお酒は薄めないで飲みたい物ですよね。風味などが薄れますからね。困ったものです。どうしても。。。って人はチェイサーを酒の後に直ぐにゴクゴクと飲むことでも食道のダメージは多少は違うと思いますよ〜。
③アセトアルデヒドは強い酒ほど含有濃度は高いのです。その点からも蒸留酒はあまりお薦めできません。お薦めは1、ビール 2、ワイン 3、日本酒って事になり ます(日本酒は蔵元などでかなり変わりますが)。逆にシェリーとポートワインはアセトアルデヒド含有量がとても多くて!ひや酒ならぬひや汗とアルデヒド的(笑)にはまったくお薦め出来ませーん。つまり食後にポートなど飲みながらシガー吹かしているのはとても危険な事かもしれません。トホホ。。。しかし良い知らせもありますぞー。蒸留酒の中のウォッカのアセトアルデヒド含有量はビールより少ないのであります!つま〜り ウォッ カベースのアルコール弱めのカクテルなどが食道には安心だと言えるでしょう。ムフフ。。。
④食道でのアセトアルデヒド濃度を薄める作用として唾液をどんどん分泌させるってことも大事かもしれません。って言いましても酒飲みながらガムや梅干しを噛むわけにもいかないので・・お酒だけでなくって酸っぱい物など食事をちゃ〜んと摂取するって事でしょう。酒だけを飲むのはダメー!であります。
⑤最後に。。。外国の論文によりますと、酒好きに「お酒をグラスにワンショッ ト分だけ自分で注いで下さい。」と指示しますと、太くて短いタンブラー型のグラスと細くて長いハイボール型のグラスではほとんどの人が無意識でタンブラー型に多く注いでしまうと言います。その差恐るべし!なんとハイボール型よりもタンブラー型の方に20%も多くほとんどの人が注いでしまうんだそうですよ。2割ってかなりの差ですよね。つまりご自宅で酒を飲む場合には必ず長〜いハイボール型のグラスを使って「2杯まで!」とか 自分でルールを作っって飲酒する方がよろしいようで。。
独り言:
チリの落盤事故の33名全員が69日目に救出されたのは凄かったですね。暗い話ばかりな今日の世界で映画の様な大感動なハッピーエンドってなかなか無いよなぁと思いました。映画化されると聞きましたが。。。もしもあっしがプロデューサーなら煙やら震動やら体験着きの3D映画にしますよー!売店ではチリバーガーとトウガラシ入りのから〜いチリビールを売りまくり、観客には落盤事故の時とそっくりの3Dサングラスとヘルメットをしてもらいます。前売り券を買われた人には全員フェニックスカプセルストラップが付いてくる〜!これしかないっしょ!!笑。
①新鮮サンマのカルパッチョ
②岩手産短角牛のたたきとヴィテッロ・トンナート
③柿の木茸、白舞茸、花びら茸のタヤリン
④岩手産短角牛のブラザート
⑤三種のチーズのトルタ
⑥モカで淹れたコーヒーと小菓子
①新鮮サンマのカルパッチョ
サンマはイタリアにはいないそうな。。。ナポリタンとは言いませんがこの品も和風西洋料理なのですね(笑)。しかし抜群の新鮮さで塩分も抑えてありスプマンテと合わせますと目の前にはジェノバ湾の青い海が広がる〜わけはないのですが(笑)。 っとそこに イータリーの1階の釜で焼いているパンが登場です。
イータリーの1階の釜で焼いたパン。
これが全部美味いんだわ。酵母 の酸味がしっかりと舌に感じられます。イタリアではパンが不味いのは常識ですがここは日本です。うーーん。すんごく美味しい!これこそ純和風西洋料理かも!多分こんなに美味しいパンはイタリアにはないと思います。
②岩手産短角牛のたたきとヴィテッロ・トンナート
今晩はイタリア料理と言いますかもっとコアなイタリア北西部のピエモンテ州の料理です。ピエモンテ州の隣はすぐフランスで海はありません。つまりは最初っから最後まで肉肉肉なんだ そうです。当然ワインも赤赤赤。そんな話をパンを齧りながらお聞きしてて魚好きな所長はちょっと不安になってました。ところがこのお肉の前菜を一口入れた途端にあっしの海馬(脳の中で記憶を司る中枢)が45年以上前までぶっ飛びました!!なんじゃこりゃー!小学生時代のあの金髪(しつこいって!)の衝撃が再び我が舌に〜〜!!
左側のたたきはですね。。。肉なのですがサンマ以上の新鮮さ溢れる作品です。勿論臭みなど皆無ですし油分も微かにしか感じないのに感動の一品です。もしも目をつぶって食べたら牛肉だと当てられる人はほとんどいないのでは。。。それと対照的に右側のヴィテッロ・トンナートはツナのソースがアクセントになっててたたきと同じ肉を使っているのに飽きさせない仕組みになってます(ピエモンテ州の代表的な前菜だそうな)。限りなくギリギリにうす〜く肉を沿いでありツナソースの美味しさも相まって箸が、いやいやナイフとフォークが止まりません。ナイフとフォークが右往左往しながら名残惜しくあっと言う間に食べきってしまいました。本当に美味しい料理は面白い本と同様に終わってしまうのが残り惜しい物ですね〜。
③柿の木茸、白舞茸、花びら茸のタヤリン
タヤリン?ミポリンとか優子りんとか、可愛らしい女の子には許せるネーミングですが。。。なんやこの料理?(写真4)って思ってたら実はピエモンテ州ではタリアテッレをタヤリンと言うんだと!!ビックリですよね。驚くと言えば一口食べると。。。いや〜スパゲティのアルデンテには今となっては何も驚かないけど・・似ているも微妙 に非なる麺と茸のシコシコしたテクスチャーが心地よい〜。麺と言うピッチの上での三種の茸のダービーマッチはどいつもこいつも甲乙告げがたい美味さです。そしてこのタヤリンの麺は水はいっさい使用せず卵の黄身だけで作られるのだとか。色白のタヤリン。。。君が好きだよ〜爆。
④岩手産短角牛のブラザート
ピエモンテからの総攻撃です。肉ホールディングス状態であります!!ブラザートとはとろ火で煮込んだ牛肉の事だそうです。ここではひれ肉を5時間も煮込むのだそうでまったく ナイフのいらない柔らかさ〜。このローズマリーもイータリーの裏にある代官山の菜園で育てられているのだそうで素晴らしく香り高いです。本当に 美味しい物って。。。うまい!とどうしても普通な言葉なのですが叫んでしまいますよねー。バローロとのマリアージュも素晴らしい。
⑤三種のチーズのトルタ
牛と羊と山羊の三種の乳のチーズで作られたトルタです。甘くてまったりとした口当たりが・・今晩の宴の最後の時間に向かって優しく我々を導きます。まだワインも残っててコーヒーにはまだ早い。しかし目は虚ろ。。。な黄昏時間ってありますよね。今晩食べたカロリーを考えながら。。。チーズかドルチェか選択を迫られる時間でもあります。そこ〜で鈴木カップリングではないですが、チーズとトルタをカップリングさせてしまうと言う発想がノーベル賞ものです!ほど良い甘さがカラ党の男性にもうけるはず。スタッフの皆もこいつと一緒にあとちょっと残っている幸せな時間をじんわりと楽しむ事が出来ました。
⑥モカで淹れたコーヒーと小菓子
今宵のクローサーは小さくない(笑)小菓子(写真7)とガテマラ産のコーヒーです。お菓子も満腹なのにまだまだ入る入る!エスプレッソは黒くて熱くって美しくって。。。どこかのチームのピッチャーに似ております。当然砂糖なしで頂戴しましょう。
砂糖なしでも本当に美味しいコーヒーは微かにですがオトナの甘さを感じます。それは甘さを感じるフレーバーだけなのかもしれませんが。。。エスプレッソの美味しい甘さって・・人生色々あって苦いも辛いも知り尽くして、清濁合わせ飲めるチョイ悪オヤジだけ(チョイ悪アネゴも)が感じ取れるのかもなぁ。。なーんてオヤジ所長は密かに思ってます。
さて、本日はイータリーの社長兼著名なソムリエでもある林茂さんのお話を拝聴しながら素晴らしい夕食が送れました。せっかくですので林さんに料理に 合わせるワインも選んでもらったのは言うまでもありません。シェフの腕も勿論なのですが、選んでもらったワインと該博なる林さんのお話も加わって三位一体の至高の夜になりました。
林茂さん
ピエモンテ州は肉肉肉だったのでメディカルレストランの唱える「健康に良くって美味しい料理」というスタンスの企画には少々不安だったのですがなんのなんの!肉を食らわば皿まで〜(笑)の素晴らしさ!まずは最初に日本人の好きな生魚をピエモンテ料理にプラス!それも青魚ですか らねEPAなどがバッチシ摂取出来ます。その後のパンにはバターはおろかオリーブオイルさえイータリーでは出しません。バターはかえって繊細な美味しい旨みと風味を消してしまう。。とのポリシーからなのですがこれが余計な油の摂取をおさえメディカル的にはとってもナイスです。
その後のメニューでもシツコイ油をまったく感じない最高の短角牛のヒレ肉を中心に組み立てられており高蛋白であり低脂肪と言う奇跡の美味しさを肉料理で提供出来てお ります。パスタも茸と言うミネラルに溢れほとんどカロリーオフの食材をふんだんに取り入れてありボリューム的にも大満足になっております。後半戦もチーズとドルチェでは多すぎるので一挙に両者を合わせてしまう閃き!食後のコーヒーの高貴な香りがお酒の飲みすぎを防いでくれるやも。
深谷政宏シェフ(左)と、林茂社長。
まだお若いのに様々な技を持っており計算された身体に優しいピエモンテ料理を作られる深谷政宏シェフには驚きました。むか〜し卒業していく好きな先輩に「せ、せ、せ、先輩の第二ボタンをくださ〜い!」って言うベタなシーンがあったのですが(知らね〜だろ〜なぁ。。)、ここで所長としては、「し、し、し、シェフのトックをくださ〜い!」と叫びたかったです!
力量溢れる彼がイータリーと言う日本最大のグロッサリーや菜園を借景として活躍出来る訳ですからまさに鬼に金棒です。是非多くの方々に深谷シェフの作る本物のピエモンテ料理を味わって頂きたいですね〜。
ところで最近所長が患者さんに内視鏡検査をする際に患者さんが「先生、食道が心配なんです。。。詳しく見て下さいねー。」などと申されます。やはりサザンの桑田佳祐や指揮者の小澤征爾が食道癌になった影響の大きさを感じます。「先生、どうしたら食道癌にならずに上手く酒飲めますかね?」などの質問も多くのサラリーマンの方々から聞かれます。
そこでお酒と食道癌の事は2007年のメディカルレストラン第10回「シャンウェイ」の回にで書きましたが今回は再度新しい事実なども交えてお酒と食道癌の事を書こうと思いまーす。
3年前に申し上げた様に、ちょっとでもアルコール(エタノール)が身体に入ると顔が赤くなって気分が悪くなるのでお酒がまったく飲めない人をフラッシャーといいます(日本人の約7%)。彼等はお酒が飲めないのですから食道癌にはなりにくいです よね。そして日本人の4割はちょっとは赤くなるけど徐々に飲んでいるうちにいつの間にやらイケルくち!になる「かくれフラッシャー」と言われる集団です。そして残りの5割強の人達がまったく赤くもならない酒の強〜いタイプのノンフラッシャーであります。。
一番の注意しないといけないのがこの「かくれフラッシャー」の人達だって事までは以前に申し上げました。それはエタノールが体内で分解されるとアセトアルデヒドという強力な発癌物質になり、このアセトアルデヒドを分解する能力がイマイチのかくれフラッ シャーは自分の能力以上にお酒を飲んでしまうためアセトアルデヒドが身体に溜まりやすく、結果として発癌に結び付くからであります。そしてなんと!かくれフラッシャーの人はノンフラッシャーの7.1倍も食道
癌になりやすいのであります!
「だ・か・ら〜!かくれフラッシャーのあなたはお酒飲んじゃダメなのよー!」って世の奥さま達が一斉に旦那に発する一言でかたずけられたらこんなに世の中簡単な事はありませーん。だけどそこをなんとか。。。。っておっしゃる旦那衆に賢い情報を提供するのがこのコラムです。『敵を知って己を守る』!
ではどの様にしたら危険をある程度回避してお酒が飲めるのでしょう?
①まずはタバコは吸わない方が良いです。タバコにも実はアセトアルデヒドがしっかりと入っているのです。両者が噛みあうと極悪の相乗効果になってしまいます(タバコは それだけでなく50種類以上の発癌物質を含んでおります)。食道だけでなく喉頭癌などにも大きく関係しております。
②強い酒(蒸留酒)をストレートで飲まない事。強いアルコールはアセトアルデ ヒドとは関係のない食道癌の危険因子になります。しかし。。。酒飲みとしては良いお酒は薄めないで飲みたい物ですよね。風味などが薄れますからね。困ったものです。どうしても。。。って人はチェイサーを酒の後に直ぐにゴクゴクと飲むことでも食道のダメージは多少は違うと思いますよ〜。
③アセトアルデヒドは強い酒ほど含有濃度は高いのです。その点からも蒸留酒はあまりお薦めできません。お薦めは1、ビール 2、ワイン 3、日本酒って事になり ます(日本酒は蔵元などでかなり変わりますが)。逆にシェリーとポートワインはアセトアルデヒド含有量がとても多くて!ひや酒ならぬひや汗とアルデヒド的(笑)にはまったくお薦め出来ませーん。つまり食後にポートなど飲みながらシガー吹かしているのはとても危険な事かもしれません。トホホ。。。しかし良い知らせもありますぞー。蒸留酒の中のウォッカのアセトアルデヒド含有量はビールより少ないのであります!つま〜り ウォッ カベースのアルコール弱めのカクテルなどが食道には安心だと言えるでしょう。ムフフ。。。
④食道でのアセトアルデヒド濃度を薄める作用として唾液をどんどん分泌させるってことも大事かもしれません。って言いましても酒飲みながらガムや梅干しを噛むわけにもいかないので・・お酒だけでなくって酸っぱい物など食事をちゃ〜んと摂取するって事でしょう。酒だけを飲むのはダメー!であります。
⑤最後に。。。外国の論文によりますと、酒好きに「お酒をグラスにワンショッ ト分だけ自分で注いで下さい。」と指示しますと、太くて短いタンブラー型のグラスと細くて長いハイボール型のグラスではほとんどの人が無意識でタンブラー型に多く注いでしまうと言います。その差恐るべし!なんとハイボール型よりもタンブラー型の方に20%も多くほとんどの人が注いでしまうんだそうですよ。2割ってかなりの差ですよね。つまりご自宅で酒を飲む場合には必ず長〜いハイボール型のグラスを使って「2杯まで!」とか 自分でルールを作っって飲酒する方がよろしいようで。。
独り言:
チリの落盤事故の33名全員が69日目に救出されたのは凄かったですね。暗い話ばかりな今日の世界で映画の様な大感動なハッピーエンドってなかなか無いよなぁと思いました。映画化されると聞きましたが。。。もしもあっしがプロデューサーなら煙やら震動やら体験着きの3D映画にしますよー!売店ではチリバーガーとトウガラシ入りのから〜いチリビールを売りまくり、観客には落盤事故の時とそっくりの3Dサングラスとヘルメットをしてもらいます。前売り券を買われた人には全員フェニックスカプセルストラップが付いてくる〜!これしかないっしょ!!笑。
執筆 『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫 2010年10月29日
『健康×美食ラボ』所長 岡野内科診療所院長 |